マガジンのカバー画像

研究生活セット

108
研究活動,研究生活,研究環境に関連するトピックを集めました。研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセットです。
研究者の生活についてまとめた,研究とはどういうものか,研究者は何を考えるのかなどを知るためのセット…
¥1,499
運営しているクリエイター

2018年11月の記事一覧

引用文献トップ100

数年前のものですが,「世界で最も引用された論文トップ100」という記事があります。どういった論文の引用が多いのでしょうか。 この記事によると,引用回数トップの論文はこれです。ただし,記事が4年ほど前のものですので,いまもこの論文がトップなのかどうかはわかりません。 山の頂の小石この記事にもありますが,よく引用されるトップ100の論文というのは,高い山にたとえれば,頂上のほんの1センチにも満たないところにある論文のようなものだということです。山の頂上に乗っている小石のような

日本人の自尊感情は低下していることを示した論文のウラ話

日本人全体が,だんだんと自信を失っているのではないか,と感じている人がいるようです。学校の先生の中にも,「最近の生徒たちは自信がないのでは」と考える人がいるようです。 自信を失っているのであれば,なんとか対処しなければいけない,と考えがちですが,「そもそも本当にそうなっているの?」というところから疑問を抱く人もいます。 目次・信じるためには ・メタ分析 ・過去の記録を研究に ・記録にこだわる理由 ・メタ分析も過去の記録 ・時間横断的メタ分析 ・歴史を扱う ・何なら可能か?

研究を継続させるやる気

今回は,「面白いから研究をするんだ」という話を聞くと,どうして「そういう研究なら趣味でやれ!」ということを言い出す人が出てくるのか,という問題について考えてみようと思います。 研究の話をすると必ずと言っていいほど聞かれるのが「それは何の役に立つのですか?」という疑問です。 この疑問を耳にするたびに,私が思う疑問は「誰にとって役に立つという答えを求めているのだろう?」ということと,「どういうことを役立つと想定しているのだろう?」ということです。 必ず役に立つ研究はどこかで

最初の本を出版したときの話

高校生のとき,「いつか自分の名前が表紙に書かれた本を出版したい」と思っていました。小説なのか,詩集なのか,ノンフィクションなのか,いったいどんなジャンルの本になるのかは,高校生の自分自身にはまったく予想がつきませんでしたが。それは当時の自分にはいつかそうなったらいいな,というあこがれのようなものでした。 いくら「本を出したい」と思っても,最初から出版社に知り合いがいるわけではありません。 いまなら,ネットに書いた文章から出版へとつながる,ということもあると思いますが,そう

研究の流行を追ってみる

今回は自己愛(ナルシシズム)の研究がどうやって広まってきたのかを見てみたいと思います。これをひとつの例として,ある領域の研究が始まり,広がっていく様子を一歩引いて眺めてみようという試みです。 1980年代と90年代,そして21世紀に入っても,特にアメリカのパーソナリティ心理学ではナルシシズムの研究が盛んに行われてきました。特に初期は,今のように市民権を得た概念ではなく,少し変わったテーマという位置づけでした。 下でも書きますが,2011年から2018年までの8年間に,“n