左手のインク

左手の人差し指に
たまたま付いただけの
紅いインク
紅というより 紅黒い
紅黒いというより 赤黒い

いつか見た 血の色と同じ
こんな色で 暖かさを
紙に撫でていた私は
壊れていますか


赤黒いインクは
手の指先に付いただけ
もっと上まで 手首を越えて
体中に浴びてみたい
本当に浴びたいのは違うけど

あの時 私が私じゃなかったら
心が窒息するくらいの
真っ赤な海に溺れていられた
今だから そんな気がする

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?