melt

大地に見立てた床に
身体を溶かして
手のひらを光に透かして見ても
爪先が白く光って終わる
形を消し去りたいのに
私はいつまでも私を消せないんだ

いつからか透明人間とやらを憧れて
夢の中でも身体を捨てて
空を浮いて揺りと舞うのが
心地良さを知ったから
早くその時が来ないかと思い願ってしまう

触れたものは本当は全部痛いはずで
些細な傷みなら気にせず生きてゆける
生まれる前から何故かそんなことを叩き込まれ
いつか死ぬ日を怖がらせてしまうんだ

溶かして 浮かべば 私は何処へ往く
行き先の定まらぬまま 漂い また融ける
見立てた大地に身体を委ねて
空に解かして 消え去れば 私は

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