ルパートの滴(なみだ)

涙型破壊兵器
爆発する場所を知っていて
敢えて割るか 敢えて慰めるか

知っているなら
触れずにいればいいものを
興味本位で近付いて
傷みを負った時に
「自分は悪くない」とか

狡いよ
この目から流れるだけなら
知らんぷりしてれば割れたりしないのに
眺めて「綺麗」と心に触れるから
融けた涙型のガラスが割れる


誰にだって急所はある
ルパートの滴は
「はじまり」が欠けて爆ぜる
知らないと逃げていても
欠片は事実を真正面からぶつけてくる

そうだよ
生きてて何を
空に願おうと
日々虚ろい往く暦事には
決して目もくれずに

狡いよ
私はどうしてここに居るの?
誰かの願いを叶えるくらいなら
いっそ海の泡と砕けようか
己が角を折って人並みになれるだろうか


「泣いても意味が伝わらない」と
本当は言いたく無いのだけれど
その奥の心に向き合えないから
自分に背負えない人が宣うの

どんな滴も形が多くて
傷を愛でても
慰めでは増えるだけ
狡いよね
誰も爆ぜる程の滴に触れられない

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