妖女〜あやしめ〜

幼子を手に取り
その小さな両腕を持ち
生まれたての清んだ皮膚を
容赦なく引き裂く

幼子は自らを分けた人形
己の何を封じたのか

幼子は裂かれ
血を流すことなく
死んでゆく
幼子が死んだ瞬間
心の鍵がひとつ壊れた


妖女は子どもを揺さ振り
可哀いと笑いながら
幼子を放り出しては
紅い涙を流す

井戸に落とそうか
それとも海に流そうか

幼子は小さな舟に揺られ
どこかの街に流れ着く
流れ着いたその先で
壊れた人形は
誰かを呪いはじめる

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