シルフ-風の精霊-

風はどこまで続くのだろう
誰のところまで届くのだろう

シルフ
目には見えない
美しい妖精

小さな音も
大きな音も
どんな音楽でも奏でられる
それがシルフ


音が誰かに届くまでは
時間がかかるし
いつかシャボン玉みたいに
消えて失くなってしまう

風に花びらをのせて
大空へ飛ばそう
手紙を紙飛行機にして
大空へ飛ばそう

シルフは風の精霊
どこまでも運んでいく
誰のところにでも
運んでいく


シルフが怒って
太陽が雲に
潜り込んでしまったら
曇り空に木の葉が舞う

木の葉の命は
美しく果てる

シルフが泣いて
雲を押し退けると
紅葉が空に舞い上がる

太陽は怖がりながら
顔を覗かせて言う

‐シルフ、君は強い精霊‐

シルフは答える

‐人を苦しませるのに?‐

まだ何もわからないシルフ
でもいつか学べる

そしてシルフ‐風の精霊‐
女王として
大空に君臨する日がくる


シルフの歌が聴こえる
窓を閉めても
押し入れに閉じ込もっても
歌が聴こえる

心の耳にしか聴こえない
それがシルフの歌

海が寂しいとき
風はさざ波になり
森が生きる楽しみを
忘れたとき
風はざわめきに変わる

どこにでもある風
シルフは目には見えない
変幻自在の妖精

シルフ
空と海の女王
偉大なる無知な
風の精霊

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