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帝国ホテル 中央玄関

愛知県犬山市にある「博物館 明治村」に大正12年に竣工し、昭和43年に解体された「帝国ホテル 中央玄関」が移築されている。  

フランク・ロイド・ライトは、この帝国ホテルの完成を見なかったと聞く。
工期の度重なる延長、それに伴う施工主との衝突。
1913年の初訪日から、弟子である遠藤新によって完成するまで、実に10年という月日を要している。

この仕事を請け負った時期の彼は、人生の中で最も辛い時ではなかっただろうか。
離婚問題で揉めに揉め、ようやく新妻と新しい生活を送るために建てたタリアセンで使用人が新妻、子供、弟子の7人を殺害し放火。
彼は出張中で難を逃れるが、何もかもを失ってしまったのである。
傷心の侭で請け負った仕事で、今度は解雇。
僕はこの建物を訪れるたび、一人の男の慟哭を聞くのである。

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