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真性S女 アトリエ・エス と行く万葉のたび

第四十回 酒を讃むる歌

とどーんと十三首、一括掲載!

 験なき ものを思はずは 一杯の 濁れる酒を 飲むべくあるらし (338)

 酒の名を 聖と負ほせし いにしへの 大き聖の言の宣しさ (339)

 いにしへの 七の賢しき 人たちも 欲りせしものは 酒にしあるらし (340)

 賢しみと 物言ふよりは 酒飲みて 酔ひ泣きするし まさりたるらし (341)

 言はむすべ 為むすべ知らず 極まりて 貴きものは 酒にしあるらし (342)

 なかなかに 人とあらずは 酒壷に なりにてしかも 酒に染みなむ (343)

 あな醜 賢しらをすと 酒飲まぬ 人をよく見ば 猿にかも似む (344)

 価なき 宝といふとも 一杯の 濁れる酒に あにまさめやも (345)

 夜光る 玉といふとも 酒飲みて 心を遣るに あにしかめやも (346)

 世間の遊びの道に楽しきは酔ひ泣きするにあるべくあるらし (347)

 この世にし 楽しくあらば 来む世には 虫に鳥にも 我れはなりなむ (348)

 生ける者 遂にも死ぬる ものにあれば この世なる間は 楽しくをあらな (349)

 黙居りて 賢しらするは 酒飲みて 酔ひ泣きするに なほしかずけり (350)

えー、後先になりましたが、巻三、大宰帥(だざいのそち)大伴卿こと大伴旅人の歌です。


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