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【能登半島地震の話】そして誰も居なくなった。#174

皆様、おはようございます。
佐伯です。

毎週、定期的に能登半島地震の被害についてご報告していますが、いよいよ大変な事態が表面化してきたので今回はそのお話をしたいと思います。

行政、と言うよりは議会と市長の動きがあまりにも遅く、不勉強のきわみにより、最悪の事態が起きました。

暗い話になって申し訳ありません。

まずはこちらの動画をご覧下さい。

端的に申しますと長い年月を掛けて住民の皆様が築きあげたコミュニティが崩壊し始めました。

理由は液状化による地盤沈下と家屋の損壊です。

インタビュー中の高齢女性もお話をしていましたが、これから夏になります。
伏木地区は他の地区に比べ、夏と冬の寒暖差が非常に激しい地域です。
半壊した家屋で過ごせるほど甘くはありません。
彼女の下した決断はもっともだと思いますし、とても悔しい気持ちなのも非常に理解できます。

作業にあたっていた市の職員さんもできることを一生懸命しているのもわかります。
一緒に下水道の清掃をして下さっている高岡市衛生公社さんも伏木地区に本社があるため自社も被災しています。
それにも関わらず懸命に協力して下さっています。

私はインタビューを受けている市の職員さんの疲弊し、困惑し言いたい事があるけど言えない顔をみてわかりました。

「人手と予算が未だに政治が付けてくれていないと。」


最初に私が市議会と市長が不勉強と申した理由の一つはこちらです。

東日本大震災前後のコミュニティに対する考え方の変化

出典レポート:信州大学 人文学部 辻竜平 教授

上記のレポートに限らず、先の阪神淡路大震災、東日本大震災である事実が結論付けられました。
それは災害時の地域コミュニティの重要性と行政はその存続に最大限のサポートを行うことが必要だと言う事実です。

市長及び市議会議員の方々があれだけ世間を震撼させた災害から何も学んでいないとは言わせません。

そして、住民の方々こそ街の宝であり屋台骨であることをまさか認識していないとは言わせません。

人と人の関係性は一朝一夕で築けるものではありません。
だからこそ、古臭いと言われようが地縁によるコミュニティは災害時の瞬発力として力を発揮します。

ですが、皆それぞれ生活があり食べていかなければなりません。
地震が発生した直後の混乱期は地縁の関係性で乗り切ることができますが、その後の生活は不可能です。

こちらの記事でも解説しましたが、復旧には3年掛かるとの見通しです。
3年間です。
あの被害の大きさを鑑みると確かに掛かると思います。

ですが、その3年間まさか傾いた家で住民の皆様に何のアナウンスも希望も持たせずに待たせるつもりだったとは思いもよりませんでした。

先の女性の話に戻りますが、悔しいけど転居するしかないと言うのは本当にもっともな話です。

市長や市議会の皆様に伺いたいものです。

「皆様は3年間、傾いた家で戸もまともに閉まらず、夏は暑く、冬は隙間風が通り、いつ倒壊するかもわからない住宅で過ごせますか?」

常識的に考えて無理でしょう。
最前線で現場復旧にあたり状況を深く理解しながらも、全く判断しない政治に困惑しているのが先ほどの職員さんの困った顔です。

住民の方も悔しいですが、現場の職員さんも本当に悔しい思いで一杯だと思います。


そもそも予算については市長に専決権があります。
実は地方自治法第179条及び第180条の規定により首長(市長)は専決処分(市長の判断で決めても良い)が可能なのです。

ですが、後日、議会に対しきちんと報告する義務があります。
その為、濫用出来ないよう正常に昨日する議会が必要になってきます。

富山県知事の新田知事はその辺をきちんと理解しておられ緊急で今回の災害対策の予算を組みました。

月とスッポン程の対応の差です。
百歩譲って市長と議会がこの規定を知らなかったとしても、周りの幹部職員が説明すべきです。

と、思ったのですが実はそもそも高岡市には職員がそもそも不足していたのでした。

こちらをご覧ください。

「未来高岡」の創造に向けて 高岡市行財政改革推進方針 -第 2 次行財政改革アクションプラン-

こちらは高岡市の職員間では有名な悪名高き通称「高岡市アクションプラン」です。
さて、1番わかりやすいところを抜粋しました。

コストカットのため、職員の適正化という理由でH27から比べ132人の職員を削減したと自慢げに記載しています。

では、職員の適正数とは一体何人なでしょうか?

私が思うに緊急時に筒が無く行政が運営でき、1日でも早く住民の皆様が日常に戻れるよう職員をフル稼働できる人数ではないでしょうか?

こちらのプランが悪名高い理由は、危機感と想像力が欠如したにも関わらず
野心と出世欲だけは1流の一部の幹部職員が自らの出世のために市長と議会が喜びそうな内容をまとめたプランなのです。

また、市長も議会もほんの少しで良いので良心があれば間違っていると気が付くはずなのですがそうはなりませんでした。

結果はご覧のとおりです。
今回の地震を機に次々と大事な住民の皆様が街を去りました。


本来であれば退職した私が市政についてあれこれ言うのはお門違いなのかも知れません。
ですが、今回の報道を見て愕然としました。

そして、悔しくて悔しく堪らなく今回この記事を記しました。
明日、共に街づくりをしている仲間と会うので自分達に何ができるかを話し合いたいと思います。

それでは皆様、ご機嫌よう。

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