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私たちは食べたもので出来ているvol.17#169

皆様、おはようございます。
佐伯です。

毎週土曜日は食について様々な角度から検証していく連載を始めたいと思います。

私は仕事柄、様々な食品に関わることがあります。
一つの製品に生産者様やメーカー様のこだわりや信念など、様々な思いが込められております。
これが製品の美味しさや健康への配慮、地球への配慮など様々な面でも思いが反映されています。

さて、先週も少し触れましたが紅麹菌について徐々に解明が進みました。
一方で誤った報道や偏向報道、悪意あるフェイクニュースも増え更に混乱する事態となっています。

こういった場合は当事者である小林製薬と公的機関の一次情報をきちんと確認することが大事です。
SNSはもちろん、テレビや新聞などのオールドメディアも結局はこういった一次情報を基に発信者の私見が混ざった状態なので分かりやすさと言う点では良いですが私見が入るため二次情報となります。
その為、記者の事実誤認によって間違った内容を配信している場合もあります。
十分に気を付けて情報収集をして下さい。


①食品に華を添える赤色の食品着色料について

今回、誤認報道やフェイクニュースにも成りました多くの赤色着色料に紅麹菌が使用されているという報道です。

完全に嘘ではありませんが、決して本当という訳でもありません。
赤色着色料には様々な種類があり、ビーツやパプリカから抽出したものなど複数の種類があります。

しかし、鮮やかな赤色を出すというのは意外と難しいことです。

蛇足になりますが日本画の絵の具は宝石を砕いて膠と混ぜて美しい色を出します。
そのくらい天然の鮮やかな色というのは高価で難しいという事をまずはお伝えしたいと思います。

さて食品着色料は、食品に色を付けるために使用される物質です。
大きく分けて、天然由来のものと化学合成されたものがあります。

色は食品の見た目を良くし、味や品質のイメージを向上させるために重要です。
世界各国の食品安全機関は、食品着色料の使用に関して厳格な規制を設けており、消費者の安全が最優先されます。

②現在主流の赤色の食品着色料について

私もこの仕事を始めてから知った面白い事実を皆様と共有したいと思います。

世の中の着色料には天然由来のものと合成着色料と呼ばれる人工的に作られたものがあります。

ちなみに皆様、コチニール色素(カルミン酸)というのをご存知ですか?
実はこちらエンジムシという虫から抽出される天然の赤色着色料です。

この色素は、古代からアメリカ大陸の先住民によって使用されてきました。エンジムシから色素を抽出するプロセスは複雑で、大量のエンジムシが必要とされますが、得られる赤色は非常に鮮やかで安定しています。
食品だけでなく、化粧品や絵の具にも使用されることがあります。

コチニール色素は16世紀にスペイン人によってヨーロッパに紹介された後、その鮮やかな赤色は、染料としてだけでなく、絵の具や化粧品の着色料としても高く評価されました。
その為、長い年月を掛けて使用されてきたこともあり安全性については一定の保証はあります。

しかし何事にも落とし穴はあります。
一部の人々では、コチニール色素に対するアレルギー反応が報告されています。
十分に気を付けて摂取、ご使用をして下さい。

現代では、食品安全と健康への関心の高まりから、天然着色料への需要が増加しています。
天然成分から抽出される赤色着色料は、合成着色料に比べて安全性の面で優れているとされ、消費者からの信頼も高いです。
最新の研究では、野菜や果物から新たな色素を抽出する方法が開発されており、より安全で持続可能な食品着色料の提供に向けた取り組みが進んでいます。

③最後に

食品着色料は、見た目だけでなく、私たちの食生活に大きな影響を与える要素です。
特に赤色の着色料は、その鮮やかな色合いで多くの食品に彩りを添えています。
コチニール色素のような天然由来の色素は、その歴史と安全性から今なお価値が高く評価されていますが、現代の科学は、より安全で環境に優しい着色料の開発を進めています。
食品を選ぶ際には、その色の源を知ることが、より健康的で持続可能な食生活への第一歩です。

それでは皆様、ご機嫌よう。

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