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〈ARK CEO/Cathie × 雇用統計 22年8月7日〉

こんにちは。ARK trade information (Twitter:@ActiveArk)です。

本日は8月7日に収録された、ARK CEO / cathie のマーケット説明をご紹介いたします。下記の動画(40分程度)を端的にまとめております。

本レポートは無料でお楽しみ頂けますが、記事を今後作成継続するか考えております。是非価値を感じて頂いた方はサポートお願いいたします☺

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■金融政策

 2020年半ばに前年比27%の貨幣増加率から5.9%に下がりました。このままいけば、今後6ヶ月間は0%台の経済成長率になるでしょう。もしそうなれば、世界恐慌以来初めてのことだと思います。もちろん、経済活動の大きな足かせになりますので、景気刺激策を講じる必要があります。足元はその逆の状況であり、多くの人が”不況に陥っている”という考え方に驚くのだと思います。

現在、FRBはCPI・PPI等のインフレ指標を見ており、CPIは前年比9.1%、PPIは11.3% 上昇しました。これは非常に高い数字です。私たちはこの数字が維持されるとは思っておらず、市場が予想しているよりもはるかに速いスピードで価格下落を引き起こすと考えています。

FRBが注目しているもう一つの遅行指標は雇用統計で、FRBの主張の一つは、経済は75ベーシスポイントの利上げに耐えられると考えています。確かに雇用が堅調であれば、深刻な不況に陥ることはありません。

ご存知のように、私たちはかなり長い間、不況の状態だと言い続けてきました。GDPの統計では、実質GDP成長率が2四半期連続でマイナスとなっており、テクニカル・リセッションの状態といえます。

■雇用統計

リセッションに入ったことを確認するものの一つとして、雇用統計が挙げられます。今日発表された非農業部門雇用者数は52万8000人の増加でした。賃金は予想よりも高い状況でした。しかし注意すべき点は、雇用統計が遅行指標である点です。

企業や家庭を対象にしたより広範な調査であるハウスメジャーでは、今月の雇用数は17万9000人増加しましたが、雇用統計と比べると増加分が弱いように見えます。また過去4ヶ月を見ると、20万人にまで落ち込んでおり、かなり低調な様子がうかがえます。

”雇用統計という”重要なデータを信じられない理由は、私たちがモニターしている他の全ての雇用指標が、急速に弱くなっていることを物語っているからです。初期失業保険申請件数を見ると、確か17万件前後を底に、55%程度上昇しています。 これは1969年以来、失業の指標としては最速の上昇です。

ヨーロッパでは39%の雇用が削減されています。また購買担当者景気指数と雇用指標が発表されましたが、両方とも低下しています。平均時給は、前月比0.3%台で推移していますが、3月に5.6%上昇した事に比べると下がってきています。

ミシガン大学消費者態度調査について、7月の数値は、80年代初頭よりも低く観測史上最低の数値となりました。当時は不況が続き、インフレと金利が15%台の状況でした。インフレに伴う購買力の低下、ウクライナでの戦争、サプライチェーン問題の悪化などが関係しています。

■経済

(原油)
原油価格が下がり始めたのは、需要破壊が起きているからです。ロシア・ウクライナ情勢を筆頭に供給制約はあるかもしれませんが、需要破壊はかなり深刻です。

7月にはガソリン需要が前年比8%減となりました。昨年はまだ旅行シーズンでも旅行に出る人が少なかったのに減少しているのです。消費者がガソリン代を払えない、予算が少ないない、この種の値上げを許さないということで、今、本当の需要破壊が起こっているわけです。

(住宅)
6月に新規販売が前月比8%減少し、中古住宅販売が前月比5.4%減少しています。年率換算すると、中古住宅販売は60%以上減少しているといえます。

(自動車)
自動車は若干の回復があり、6→7月で1,300→1,350万台になりました。しかし通常は1,750万台との販売台数のようなので、かなり低い数字といえます。この現象は不況時の数値と一致しています。

一方でガソリン車の販売台数は18%減少しましたが、電気自動車の販売台数は71%増加しています。この事実に自動車メーカーをかなり困惑しているようです。またテスラの資本支出はフォードやGMの資本支出を上回ることがコンセンサス予想です。私たちは、テスラがまもなく別の工場の設立を発表すると考えているので、テスラの設備投資は1年以内に彼らを上回ると考えています。

(小売店)
もう一つ私が景気後退だと考える理由は、ウォルマート、ターゲット、ホームデポ、コストコの在庫が積み上がっていることです。もしGDPが上方修正されれば、不況から脱却し、プラスに転じる可能性すらありますが、消費者の買い控えによって在庫が積み上がり、値引きによって在庫を解消しなければならないため不況に突入すると思います。ターゲットでは70%オフのセールがあちこちで行われており、最終的にはCPIに反映されるでしょう。

私たちがモニターしているもう一つのポイントは、生産性です。私たちの見立てでは、2Qは生産性が2.5%下がると考えています。前年同期比でこんなに悪いのは見たことがありません。これは収益性にとって本当に問題なのです。

■マーケット

(債券市場)
債券市場では、FRBが7月27日に75bpの利上げをすると誰もが予想しました。しかし興味深いことに長期金利は、FRBと歩調を合わせるスタンスをとっていません。

代わりに私たちが見ているのは、6月14日の長期金利です。6月14日に3.5%となった長期金利は、雇用統計を受けて後で、ほぼ70bp下がって2.83%となりました。一方、短期金利の2年物国債利回りは、一足飛びに上昇し3.24%となりました。つまり、イールドカーブが反転しているのです。今後インフレに関して、サプライズはかなり下振れすると考えています。

ハイ・イールド債券スプレッドとクレジット・デフォルト・スワップの2つとも同様に落ち着いてきています。かなり急速に上昇していましたが、クレジット・デフォルト・スワップの平均は6月30日にピークを迎え、現在では下がっています。ハイ・イールド債券のスプレッドは、7月5日に10年債の利回りよりも6%高くなりました。
この理由としてリセッションに入ったと信じる人が増え、圧力が下がるからだと思います。

(コモディティ)
この1年間、銅は1ポンドあたり4-5ドルの範囲にありましたが、現在は3.54ドル、つまり25%減となっています。金については2年間取引レンジにあり、ピークは2020年の8月でした。2100ドルでピークを迎え 、1790ドルまで下がっており、取引レンジの下限にあります。

木材は1711ドルから474ドルへ下落しました。この大きな下落は、住宅やその他指標に起きていることを裏付けるものです。先週は建設統計が発表されましたが、6月は1.1%減でした。これはこのセクターにとって非常に急激な減少です。

■仮想通貨


私たちが非常にポジティブな兆候として捉えている1つとして、ビットコインの200週移動平均を挙げます。ごく最近200週移動平均線を割ったことは、非常にネガティブな兆候でした。「もしこのまますぐに回復できなければ、おそらく13,000ドルを目指すことになるだろう」と言っていました。

それから、最近出たもう一つの心強いニュースは、BlackRockとCoinbase間の合意です。BlackRockは40兆ドル相当の資産を暗号通貨へ移行することを望んでおり、Coinbaseはそれを実現するために提携しました。これは、ビットコイン等の暗号資産が新しい資産であることを証明するもので、この中には、「参加したいが、プラグインが難しすぎる」という金融機関の需要が原因となっているものもあります。

この弱気相場が終わるかどうかはわかりませんし、取引レンジに入るかもしれません。しかし、リーダーシップがイノベーション銘柄の方向に戻ってきたことは、非常に喜ばしいことです。私たちは皆未来に目を向け、過去にこだわるのではなく、世界はどうなっていくのかに注目しています。


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