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〈ARK × 21年3Q 成績まとめ〉

ARK trade information (Twitter:@ActiveArk)です。本日はARKが3Q(7-9月)の成果と、個別銘柄のパフォーマンスについて言及していましたのでレポートいたします。

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■ 3Qマーケット振り返りと、今後の見立て

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3Qはマクロ的な逆風により、広範なグローバル株式指数はほぼ横ばいとなりました。市場はコロナ/デルタ型の増加、サプライチェーンの不足、中国政府の取り締まりなどを受けて、景気減速の懸念に反応しました。

米国の上院は1兆ドル規模のインフラ法案を数ヶ月の交渉の末に可決しましたが、党内対立により3.5兆ドル規模のインフラ法案の実現が危ぶまれています。中間選挙が本格化する中、不人気で負担の大きい税制は成立しない可能性があります。

当四半期の10年債利回りは1.49%と、6月とほぼ同水準で、3月末のピーク時の1.74%を下回りました。ARKは、債券市場はこれまで報道されてきたインフレ懸念を裏付けるものではないと考えています。将来的に在庫調整とインフレ率の低下が起こるというARKの見通しが正しければ、金融政策が株式市場に与える影響は穏やかなります。

ARKの見解ではインフレはデフレに変わっていくと考えています。コロナによる価格暴落と、サプライチェーン起因による二重三重の発注により、在庫は増加しています。今後6ヶ月の間に、原油価格の高騰・景況感の低下・中国の技術、金融サービスに対する締め付けなどにより経済成長が鈍化した場合、商品価格が暴落する可能性があります。

既に木材や鉄鉱石の価格は、今年の春のピーク時から50%も下落しています。原油は依然として異常で、ESGの義務化により化石燃料から再生可能エネルギーにシフトさせる中、原油価格は2018年につけた高値を超えています。とはいえ原油価格の上昇は、ガソリン車から電気自動車へのシフトを加速させているようにも思えます。


当四半期においては相反する経済指標により、グロース株とバリュー株の間で綱引きが行われ、消費やヘルスケアなどのディフェンシブ・セクターも上昇を見せました。ARKは投資家がコロナの際に、消費者の家庭内に蓄積された在庫に注目し始めていると考えています。家計在庫の蓄積が理解されれば、インフレからデフレや成長率の低下への懸念が高まる可能性があります。

直近9~12ヶ月間、シクリカルの中でエネルギーと金融サービスが最大の恩恵を受けています。しかしこれは、今後5年間にイノベーションによって最も破壊されるとARKが考えているセクターです。ARKの見解では、自律走行型電気自動車と、暗号通貨やブロックチェーン技術に関連した分散型金融サービス(DeFi)を含むデジタルウォレットが、両方を大きく破壊すると考えています。

※経済全体感を理解したい方はこちらもどうぞ↓

■ 個別銘柄の解説

 S&P500やMSCIワールド・インデックスと比較して、ARKのETFはアンダーパフォームしました。

〈 ARKK 〉

- Roku (ROKU)とZoom Video Communications (ZM)は、パフォーマンスを低下させる要因となりました。Zoomは同社の主力製品であるSMB/個人向けミーティング製品の成長鈍化が指摘され、パフォーマンスを低下させました。

しかし昨年のコロナウイルス危機の真っ只中に355%という驚異的な伸びを示した売上に対し、前期比では予想を上回る54%の増益となりました。また、10人以上の従業員を抱える顧客数は36%増加しました。加えて約200万のZoom Phoneは、勢いを増しているように見えます。

世界経済の回復に伴い、解約が増えるのは驚きではありませんが、ARKはビデオ会議とPBXで最も技術力が高いZoomは、巨大なエンタープライズ・コミュニケーションの分野でシェアを拡大し、この減速を克服する可能性が高いと考えています。

※zoomに関するARKの見解、前回決算内容はこちらからどうぞ↓


〈 ARKF 〉


- Zillow Group (Z)とPinterest (PINS)がパフォーマンスを低下させる要因となりました。Zillowは、2Qの売上高の伸びと粗利益率は好調でしたが、利益面で失敗しました。また住宅ローン金利の上昇に伴う住宅市場の減速が懸念され、株価が下落しました。

Pinterestは、プラットフォームの月間アクティブユーザー数(MAU)が前四半期比で減少しました。MAUは前四半期比で2,400万人減少し、4億5,400万人となりましたが、Pinterestは売上高が前年同期比で125%増加し、売上高・ユーザー1人当たりの平均売上高(ARPU)・利益の各指標がコンセンサスを上回りました。ARKはポストPinterestについて次のように考えています。

COVID再開がユーザー低下に寄与したかもしれないが、モバイルユーザーの継続的な成長は、モバイルの世界でのPinterestが高いエンゲージメントを残しています。Pinterestは、ユーザー同士が興味のあるものやインスピレーションの源を発見することを目的としたソーシャルメディアプラットフォームであり、ソーシャルコマースへの移行の際の主要な受益者となる可能性を示唆しています。

一方ETFへの貢献度が高かったのは、Sea (SE)とLendingClub (LC)です。Seaは2Qで予想以上の増収増益を達成し、通期の業績見通しを上方修正しました。東南アジアおよび台湾では、Shopee(Seeが所有)が、2021年1QのAndroidにおけるアクティブユーザー数およびアプリ内での総利用時間で、第1位となりました。

LendingClubはオリジネーション・フィーと純金利収入の増加により、前四半期比93%の収益成長率を達成したことで、コンセンサス予想を劇的に上回る2Qの収益を発表し、株価上昇しました。

〈 ARKQ 〉

- 損失額が大きかったのは、Kratos Defense & Security(KTOS)とBaidu(BIDU)です。KTOSは多数の顧客契約を発表したにもかかわらず、パフォーマンスを低下させました。投資家の関心は、政府がスカイボーグをプログラムオブレコードとみなすのが遅れる可能性を示唆しています。ARKは、Kratosが急成長中の軍用ドローン市場をリードする立場にあると考えています。

Baiduの株価は、中国政府が機密データにアクセスする技術系企業を取り締まったことで、売り込まれました。


貢献度が高かったのは、Tesla (TSLA)とUnity Software (U)です。Teslaは中国での販売が特に好調であり、2Qの売上高と利益の両方が予想を上回ったことで高く評価されました。またTeslaはAIデーにおいて、トレーニング用コンピュータと自律走行の画期的な進展を紹介しました。

※AI day詳細はこちら↓


Unity Softwareは2Qで売上高および利益が予想を上回った事で、株価上昇しました。Unity は音声とテキストの両方のチャットを含む、より安全なゲーム環境を実現できるAIに特化したプラットフォームであるOTOも買収しました。

〈 ARKW 〉

- Skillz(SKLZ)とRoku(ROKU)がマイナスに寄与しました。Skillzはモバイルゲーム分野での競争が業績に影響したものの、収益の伸びは目覚ましく、プロのeスポーツ選手や愛好家がカジュアルプレイヤーと1対1の対戦を行うプライマリーゲームのエコシステムの可能性を示していると考えています。

Rokuは2Qの決算発表で、経済活動の再開によりユーザー数が予想よりも伸び悩んだために下落しました。ARKはRokuがリニアTVからコネクテッドTVやストリーミングへの移行に対応するための有利な立場にあるという高い確信を持っています。

〈 ARKG 〉

- Teladoc Health(TDOC)とFate Therapeutics(FATE)がマイナスに寄与しました。Teladocはパンデミック後の世界で成長が鈍化し続けるのではないか。また潜在的な競争相手ご現れるのではないかという投資家の懸念から、アンダーパフォームしました。

当社の見解ではパンデミックにより、バーチャル・ケアへの継続的な移行が加速しています。このトレンドにおいて、テレメディスン・プロバイダーの中では、チャネル・アクセス・サービス内容・地理的条件・データの優位性により、Teladocが最も有利な立場にあると考えています。


Fate Therapeuticsは、8月にキラー細胞プログラムのデータを発表した後、大幅に株価が下落しました。投資家は反応の持続性を懸念していたようですが、ARKは今回のデータは自己CART細胞療法の結果と比べても遜色ないと考えています。

さらに同社は、強い抗腫瘍活性を示すin vivo候補の前臨床結果を発表しました。米国ではがんの約90%が固形がんであり、固形がんに対するNK細胞療法は、CART細胞療法よりも有望であると考えられます。

一方ETFへの貢献度が高かったのは、Arcturus Therapeutics(ARCT)とRegeneron Pharmaceutical(REGN)です。
Arcturus Therapeuticsは、サノフィ(SNY)が希少疾患に特化したmRNA治療薬企業であるTranslate Bio(TBIO)の買収を発表したことで上昇しました。またシンガポールとベトナムでSARS-CoV-2の新種のワクチンを製造する契約を結んだことも、Arcturusのパフォーマンス向上に貢献しました。

RegeneronはWHOの勧告を受けたのか、COVID-19抗体カクテルの需要が増加し、2Qの業績予想を上回りました。

〈 ARKX 〉

- JD Logistics (2618 HK)と Kratos Defense & Security (KTOS) がマイナスに寄与しました。中国政府が個人情報などの機密データを扱う企業を取り締まったことで、中国の株式、特にテクノロジー関連企業の株式が大きく売られました。ARKはJD Logisticsが、ドローンや配送ロボットは「共同繁栄」に注力する中国から利益を得られると考えています。

貢献度が高かったのは、Unity(U)とNetflix(NFLX)です。Netflixは第2Qの視聴者数が予想を下回ったものの、「Squid Game」という韓国映画の世界的な成功は、より多くのユーザーがブロードバンドサービスにアクセスできるようになり、Netflixの国際的な成長の追い風となる可能性があります。

〈 PRNT 〉

- 3D systems(DDD)は、新しい生産グレードのアクリレート樹脂を発表しましたが、ETF最大の下落要因となりました。この強靭な新材料は、長期の機械的使用に耐えうる大規模な製造を可能にします。

一方貢献度が高かったのは、Straumann Holding (STMN)です。同社は上半期の収益を発表し、前年同期比で約63%の増収を達成しました。同社は、歯科技工所向けの3Dプリンターを製造しています。またStraumannは以前にClearCorrectを買収しました。ClearCorrectは、3Dプリントされた型を使って歯科用アライナーを作成するAlign(ALGN)の競合企業です。

〈 IZRL 〉

- Nano Dimensions (NNDM)が、昨年の春に急騰した後、引き続き調整が続いていることが最大の下落要因となりました。ARKはNano Dimensionsが、従来のプリント基板では実現できなかった新しいフォームファクターを可能にすると考えています。

Inmode (INMD)は、収益・利益・ガイダンスが予想を上回っただけでなく、新しいボディコンタリング技術EvolveXを発表したこと、また2:1の株式分割を発表したことで、ETF貢献度トップとなりました。Inmodeは形成外科に注力しており、独自の高周波アシスト脂肪分解技術と深部皮下フラクショナル高周波技術をベースに、低侵襲の美容医療製品の設計、開発、製造、販売を行っています。


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