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クラフトマン探訪/新しいスタイルの鯉のぼり ワタナベ鯉のぼりさん

「クラフトマン探訪」は、愛知の伝統工芸コーディネーター中村亜弓が様々な伝統のものづくりの作業場へ訪問し、クラフトマンの作品や想いなどを発信する取材記事です。

第2弾は愛知県岡崎市で江戸時代から手描きの鯉のぼりを作り続けるワタナベ鯉のぼりさん。

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鯉のぼりといえば、端午の節句に男児の健やかな成長を願って鯉の形の飾りを家の庭先に飾る日本の風習です。
住宅環境の変化と少子高齢化に対し、鯉のぼりの文化をどのように次の世代へ継ないでゆくのか、ワタナベ鯉のぼりの取締役:渡辺健一郎さんにお話を伺いました。

全国でも珍しい手描きの鯉のぼり

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今は9月上旬。大きな鯉のぼりはこどもの日が終わった後の5〜7月に染め終わっていて、現在は小さな鯉のぼりの制作中でした。

写真は職人さんが木綿に顔料を使って染めている様子。描く場所や技法の種類によって様々な筆を使用していました。

ぼかしを表現するために、前に塗った色(黄色)が乾く前に赤を塗り重ねるのが大切だそう。乾いてしまうとグラデーションが上手くできないので時間勝負です!

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布の横を板でピンと張って浮かせた状態で染めていました。

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因みに中部地方の鯉のぼりは「お腹が黄色」なのが特徴です。

浮世絵が鯉のぼりに!広重鯉

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こちらの職人さんも赤い鯉のぼりを染めていました。この鯉のぼりは浮世絵を題材にした単色で染める「広重鯉」シリーズ。

シンプルなのに手描きならではの勢いある模様がかっこよく、海外からも注目されている作品です。

こちらも大迫力、武者絵幟

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工場の玄関にあったこちらの武者絵幟(むしゃえのぼり)徳川家康と加藤清正が描かれています。

武者絵幟は鯉のぼりと同様に端午の節句に飾られる幟(地域性もあり)
鯉のぼりと一緒に飾ったり、鯉のぼりの代わりに飾る人もいるとか。

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こちらは九州地方に多い黒地がベースの幟。
虎と月の間には名前を入れるそうです、九州男児って感じで力強いですね。

取材の日はあいにくの雨でしたが、晴れていたらこの写真のような幟を染める様子も見学できる予定でした。
後で偶然発見したのですが、GoogleMapの航空写真に幟を中庭で染める様子が写っていました。こんな感じで作業しているのですね。

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新しいスタイルの鯉のぼり

ワタナベ鯉のぼりさんでは、通常の鯉のぼりももちろん販売しています。

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ポリエステル生地のプリント鯉のぼり。このピンクかわいい。

近年の住宅環境の変化に伴い、小さいサイズの鯉のぼりもありました。

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その中でもオシャレ!と思ったのが室内で年中インテリアとして楽しんでいただける屏風やタペストリーの商品。

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▲タペストリー 鯉の目の前にハートが♡
鯉のぼり屋さんによってマークが異なるらしく、ハートを見つけたらワタナベ鯉のぼりさんの可能性が高いそうです。

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▲暖簾(のれん)こちらもハートがついてます。

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▲職人の手描きタペストリー
とてもオシャレで鯉のぼりとして飾るのはもちろん、普段から絵画のように飾っておきたい一品です。

ワタナベ鯉のぼりさんはいつか竜になる

今回取材していて思ったのは、職人さんたちが若いこと。ちょうど70代の職人から今の人たちに世代交代したところだそうです。

取締役も若手育成に積極的で、それに応えるかのように職人も個々の強みを生かした作品を作っていました。

鯉のぼりの話の一つに、中国の故事「鯉の滝登り」があります。

黄河の急流にある竜門と呼ばれる滝を多くの魚が登ろうと試みたが、鯉のみが登りきり竜になれたお話。登竜門もこの故事に基づいています。

は!もしかして黄腹なのは黄河の「黄」?←話がそれました。

会社全体で新しいことに挑戦するワタナベ鯉のぼりさん、将来は竜のように海外で有名な会社になっているかもしれませんね。

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工場の裏の鯉のぼりは…カラスよけw

ワタナベ鯉のぼり

〒444-0825 愛知県岡崎市福岡町西後田10−3
TEL:0564-51-9103



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