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【講演記事】Sports Forum 21 The Baseballより「スポーツアナリストとは」①

1月16日にNPO法人スポーツ・健康・医科学アカデミー主催の第22回 SportsForum21 The BaseballでAthlity所属の渋谷暁享氏が講演しました。
その時の内容を、今回は記事として再構成し、公開します。
第1回の今回は、スポーツアナリストの基本的な説明、またそれを取り巻く現在の状況についてのお話です。

スポーツアナリストとは

映像やICTを活用して、選手の技術の向上、戦術の立案、指導者がコーチングする上での基礎資料の提供などを行うものです。その意味では、パフォーマンスの向上に直結するサポートを行っているとも言えます。
さらに、チームの中にいながらも、選手やコーチとは違った視点で俯瞰的に競技を見てもいます。そのため、チームの中のあらゆる人たちのつなぎ役としての役割も担っています。

現在のトップスポーツを取り巻く環境

昨今、スポーツを取り扱うメディアが増加したこともあり、トップスポーツにおけるエンターテインメント性が高まり、メディアなどでも競技や選手に関するあらゆるデータが可視化される機会が増えています。
これは、テクノロジーの進歩により、様々なデータを取得することが可能になったという事が大きいでしょう。
それに伴い、競技力強化の面でもデータの可視化により、著しく競技力が向上しています。それは、単にデータを取得する技術というだけでなく、サポートスタッフの作業の効率化まで含め、競技力向上をもたらしていると言えます。

押し寄せるデータの波

データの可視化が進んでいるというお話をしましたが、データはいくら膨大なデータ量があろうとも、それを正しく解釈することができなければ、それは全く意味がありません。むしろ、正しく解釈できず、選手をミスリードしてしまうことで、より悪い結果につながる可能性すらあります。
さらに、こちらが膨大なデータを手に入れられるという事は、ライバルたちも同様に膨大なデータを手に入れられる可能性があるということです。
このような環境は、より複雑な状況を生み、勝利するための目標達成を難しくしていると言えます。

データの波を乗りこなすアナリスト

データと一口に言っても、多種多様なデータがあります。それを個々のコーチがすべて理解し、解釈するのはあまり現実ではありません。そのためのポジションこそが、アナリストといえます。膨大な量のデータを分析・解釈し、必要な局面で、必要な相手に、適切な方法でインプットすることで、データをマイナス要因ではなく、プラス要因として働かせ、勝利に導く存在がアナリストなのです。

チームにおける課題

では、アナリストさえいれば万事解決でしょうか?これまでにもアナリストが分析しているチームは多数存在しています。ですが、なかなか結果に結びつかないという話も耳にします。では、どのような課題が考えられるでしょうか?

  • データをアナリストが分析しても、各専門家や選手に伝えるのはコーチ

  • アナリストが個々に関係者に伝えると、情報伝達が偏ってしまう可能性がある

  • 各専門家スタッフの個々の情報が共有・循環されにくい

アナリストの存在というよりは、それを活かすための体制づくりに課題があるように思われます。また、アナリストが存在しないときに比べて、勝利の可能性は高くなったものの、同じ体制で臨むチームも増えてきているため、勝利をつかむのが難しくもなっています。

世界に目を向けると

では、アナリストを組み込んだ体制は、これからできあがっていくものでしょうか?答えはNoです。世界に目を向けてみると、すでにアナリストを軸とした体制を運用しているチームが多く存在します。
それは、アナリストをあらゆる専門家スタッフからの情報のハブとし、情報の循環と相互確認を十分に行うことで、チーム全体の効率化を図るというものです。
このことが、より多角的なデータの解釈を生み、選手のミスリードのリスクを減らすことにつながっています。
我々Athlityでも、このようなアナリストを軸としたチームでのサポートを実施しています。

アナリストについてお話しましたが、いかがだったでしょうか?
次回は具体的な事例を交えたお話をしたいと思います。

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講演者紹介

  • 渋谷 暁享(しぶや としゆき)

  • 所属:株式会社スポーツセンシング スポーツアナリスト

  • 青森県競技力向上対策本部強化対策委員会ワーキンググループ専門委員

  • 日本ボッチャ協会 日本代表火ノ玉JAPAN アナリスト

  • 元・(独)日本スポーツ振興センター
    ハイパフォーマンスサポート事業 パラリンピック パフォーマンス分析スタッフ
    マルチサポート戦略事業 オリンピック  パフォーマンス分析スタッフ


事務局:株式会社プラミン
主管:株式会社スポーツセンシング


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