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オミクロンにワクチンは効きますか? 5-11歳のこどもに対するワクチンの有効性

オミクロンの出現以来、5〜11歳の子供に対するファイザーBNT162b2ワクチンの有効性に関する、実際のエビデンスは限られているため、この研究は重要と思われます。

2022年2月28日にニューヨーク州での研究が発表されました。オミクロンに対するファイザー BNT162b2  COVID-19ワクチンの有効性は、子ども、特に5〜11歳の子どもでは急速に低下しています 。研究は2月28日にプレプリント(査読前論文)で明らかになりました。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.02.25.22271454v1.full.pdf


この研究では、2022年1月30日までの5歳から11歳の子どもと12歳から17歳の青年におけるファイザー BNT162b2  ワクチンの有効率を調べました。

ワクチン接種を2回完全に接種された個人とワクチン接種されていない個人の両方で、5〜11歳の365,502人の子どもと12〜17歳の852,384人の青年におけるCOVID-19感染の発生率と入院率を調べています。

まず下の表をみてください、右端の列は、ワクチン接種率です。5~11歳では、接種率は最大でも23.4%、つまりワクチンを接種したのは4人に1人以下ということです。
また、5-11歳のVE (Vaccine Effectiveness、ワクチン有効率)は、週を追うごとに下がってきており、Jan.24-30 の週では12%になっています。

5-11歳代では、緊急使用許可(EUA)として承認される規定となる50%の有効率にほとんど達していないことに注意してください。

New COVID-19 Cases and Hospitalizations by Vaccine Status, Children Ages 5-17 in New York State, November 29, 2021 – January 30, 2022


ワクチン有効率とは、誤解されがちなのですが、ワクチンしなかった人がもしもワクチンをしていれば、罹らないですんだ率、ということです。
ややこしいですね。例えば、、
ワクチン接種してない100名のうち50名は罹らずに50名は罹ったときに、
ワクチンした100名は、95名罹らず5名罹ったのであれば、ワクチンしなくて罹った50名がもしもワクチンしていたら罹るのは5名に減り、45名は罹らずにすんだということで、45/ 50×100=90%が、ワクチンをしたらかからずに済んだと推定され、この数値 をワクチン有効率といいます。

表のCases は症例という意味です。罹患者の数が示されています。
ワクチン有効率12%とは、
ワクチンしてないと10万人あたり70人罹り、ワクチンすると10万人あたり62人罹りました。8人減るので、8/70×100=12%がワクチンをしていたら罹らずに済んだと推定されます。この一人の罹患者を減らすために、10万人×0.12=1.2万人 ですので、1人の子どもがコロナに罹らないようにするために12,000人の子どもにワクチンを接種する必要があるということになります。効率が悪いですね。オミクロンが増えてくると、感染予防に対するワクチン有効率は低下しています。

入院率を見てみましょう。表の下の方、Hospitalization とは入院です。12-17歳においては、感染予防率は50%以下を示していますが、入院率は直近でもなお70%台を上回っており、12-17歳の入院を減らす効果はありそうです。
重症化予防には効果があるともいえます。

論文では
グラフも示されています。

感染に対するワクチン有効率: Vaccine Effectiveness against Infection, by Week and Year of Age



この研究の時期、研究対象となった子どもたちは、日が降るごとにオミクロンにさらされるようになりました。なので、オミクロンに対する感染予防率と入院予防率といえると思います。
オミクロンは、新型コロナウイルス🦠SARS-CoV-2の以前の菌株よりも高い割合で、ワクチンを介した免疫を回避することが広く認められています。
しかし、子ども達は自然とコロナから逃れる技が備わっていることが知られています。
これには、自然免疫を含む複数の理由があります。子ども達のコロナ撃退能力はすごいのです。

ワクチンはリスクとベネフィットを天秤にかけて利益が上回る場合に、接種を考えます。以上のような限定的利益で、予防接種を続けることは正当化できないように思われます。

まとめます。
この論文の結論は、オミクロン時代には、BNT162b2の症例に対する有効率は、特に5〜11歳の子どもにとって急速に低下しました、と言うことです。

なお、著者らはさらに、ワクチンが重度の病気に対して効果が見込めることと、5歳から11歳の推奨用量が少なすぎることを提案し、より高い用量が問題を解決するかもしれないことも示唆しています。

日本ではこのような研究をすぐに報告できる準備が出来ていません。残念ながらすぐ提示することができないのです。

アメリカの研究結果であり、査読前で複数の科学者らにまだ認められていない論文ですが、参考になれば幸いです。


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