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Firewatchの感想と考察【浮気を疑いあうカップルのそれ】

だいたいこういうのは定型を作って評価していけばいいのに形が変わるんですね。しっくりきた形と出会ったとき、それを定型にするのでよろしくおねがいします。後半はネタバレあるので注意

一応僕のプレイリスト置いときます。
ミステリー好きな人は見ないでやってほしい!


どんなゲーム?

Firewatchはアメリカ・ワイオミング州の自然保護区が舞台の1人称視点ミステリーアドベンチャー。

時は1989年、あなたは面倒な生活から逃げ出すように森林火災監視員となった男『ヘンリー』です。山の上の監視塔から火事の元となる煙を見張り、別の監視塔の上司『デリラ』とこの荒野の安全を守るのが仕事です。暑く乾燥した夏は、特に注意が必要ですが、彼女との交信はこの広大な自然の中で唯一、小さなトランシーバーだけ。

監視塔の周りだけでなく森林公園内で起こる奇妙なできごとや手付かずの大自然に直面しながら、トランシーバー越しの”対話の選択”で問題を解決し、彼女との人間関係を構築していけるのでしょうか?

となっています。


ゲームの個人的評価

おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆☆ 8点!
すごい良かったですね。一言でいうと映画の中を歩いているといった感じ。
めったにおススメしない僕ですが、ストーリーを楽しめる方にはオスススススメです。
ストーリーメインなんでアクションとかクリエイティブなところはあまりないですが、そういう人にもやってほしくはあります。
異様な没入感と自分で作り出す物語と結末の関係も見どころと思います。(あと序盤にブラジャーが落ちてるのも)
あと無駄にだらだらと長くならないのもよいです。約5時間あれば一周は終わるとおもいます。

どのゲームも基本的に僕は結構第三者として見ちゃうところがあるんですね。そんな私でもこのゲームはめちゃめちゃ主人公として森の中を走り回りました。若干酔いそうになるので、設定のモーションブラーと頭揺れを消すといいと思います。

なぜ、このゲームには没入感があったか。

それは序盤に水辺で遊ぶ女性の声とその周りに落ちている下着のシーンがあるからです。気が付いたら虜でした。よって没入感ある。 Q.E.D

うそです。(嘘ではないけど)

最初は選択肢を選んで物語を進めていく、いわゆるサウンドノベル的なゲームとして始まります。その内容の展開のリズム感がよく選択する場面の数や内容も自分の感情を入れやすいものになっており、その段階で気づいたら主人公になっていました。ものの10分で自分のことをヘンリーだと思ってしまう絶妙なプロローグになっています。

一通り主人公ヘンリーのバックグラウンドを理解したうえでアドベンチャーのモードに入っていきます。リアリティのあるというよりはデフォルメされ世界観のあるフィールドもよくできていて冒険感も味わえますし、ところどころ無線相手であるデリラとの会話も楽しみながら進んでいくので退屈しません。(ちょっとうるさいけどそれも個性として楽しめます)


マップ上では結構距離があるように見えますがこの距離がちょうど絶妙にできていると思います。たまにある景色キレイ系のゲームだと景色を楽しんでもらうために長く走ることになるものもありますが、このゲームはミステリーの部分を考えている時間と目的地に向かっている時間がちょうどにできているので走っている時間が苦痛になりません。
映画だとそこで立ち止まることはできないですが、ゆっくり考えたいときは立ち止まれるのもいいですね。


以降ネタバレあり感想とちょっと考察

エンディングを迎えどこか胸に違和感を持っていると思います。結局どういう話なんだと。
プレイしているときに感じたあの大きな闇の組織はどこに消えたのかと。
監視されていたとなると僕がブラジャーを見るために戻ったのもばれているのかと!!!

ある方の考察をプレイ後に見ましたが、デリラが実は真犯人なのではないかという説でした。
確かに主人公は自分ので得た情報は謎の研究所があるということぐらいで、ほかのものはデリラから情報を与えられてます。
なのですべてデリラに操られていて、しかも最後に顔を見ることもなく消えてしまうというのもあり何となくつじつまが合う気がします。
ですが、自分がプレイして思ったのは、あえていろんな解釈を残すように物語を作られていて、真犯人は自分が作り上げるものになっているような気がします。

芥川龍之介の『藪の中』に近い結末と思っています。
パターンとしては
・物語通りネッドが犯人
・デリラが真犯人
・ヘンリーが錯乱
この3パターンに誘導してるように見えます。
どの線にしても違和感が残ります。
だいたいあの研究所と通信傍受システムの存在の意味が分からないのがなんとも。

ヘンリーが錯乱に関しては勝手に誘導されてるだけ感も否めないですが、
自分がおかしくなった選択肢や、ジュリアからの電話、ジュリアの症状が実は自分症状とするとそこそこつじつま合うようになっていてこれもあるのかも思えるようになっています。
ジュリアの症状はそれをよぎらせるために説明された気さえする。ジュリアが引き離されるのも自分のせいの可能性もあるし。
(っていうかヘンリーが病気だったらどんな流れでも記憶があいまいでつじつま合っちゃうけど)

で、ここまで結末の考察を書いてきましたが、このゲームの良さは予想外の結末というよりこの考えさせられる部分で、
ミステリー作品のすべてがつながって気持ちいいいいいっていうところに重きを置いていないように思います。

途中で現れた研究所であったり、ネッドの家等いろんなことを考えられるようになっていて勝手に頭の中で大きな話にしちゃう。
これは現実でも起きることで、彼氏が帰ってくるの遅い!!これは浮気だ!ってなるのに近い気がします。

結論としてはいろいろ考えれるようになっていてわからないを楽しんでくれってことだと思います。(得意の面倒くさくなったエンド)

P.S.
いつも見てくれているK氏による感想考察も興味深いところがあったので一部転載しておきます。感謝。
https://twitter.com/i/events/1369259639871660033


過去・・・現実というべきか・・・。起こってしまったことに向き合い、これからをより良くするために歩き出すべきだ、と。
起こってしまったことに向き合えず、あの森に居続けることを選んだネッド。そしてそれを見て、「もうここには戻らない」と決めたデリラとヘンリー。
私はその対比に、この物語の示したいところがあると思う
ちなみに「fire」には「苦悩」という意味もあります。
火あぶりの刑的な、罪とか罰のイメージらしいですが。
デリラには不倫、ヘンリーには介護放棄(とは言えないと思うけど)、そしてネッドにも・・・。それぞれ罪を抱えている
自分の"罪"を"見つめ直す"・・・FireWatchにはそういう意味もあるかもしれない。

firewatchというタイトルに重みを感じることができて面白いなと思いました。更に角度をつけて考察してくれているのでもしよかったら見てみてください。2021/3/3のついーと。

他人の力でおしまい

では。

steam: Firewatch
©
http://www.firewatchgame.com/about/

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