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デボラ・カーが無人島に持っていくもの

BBCのラジオシリーズで、無人島に持って行くものを聞かれたデボラ・カーの答えは・・・

ディスク:ドヴォルザーク作曲 交響曲第9番”新世界より”
本 : オックスフォード英語大辞典(The Oxford English Dictionary)
宝物(Luxury): 毛糸とかぎ針(Wool and a crochet hook) 

本を尋ねる質問は「聖書とシェークスピアと百科事典以外で、1冊選ぶなら」でした。 シェークスピアがいかにもイギリスらしいですね。 

オックスフォード英語大辞典(略称OED)といえば、11世紀半ばからの英語を網羅する全20巻+補遺版の大辞典です。デボラ・カーは、言葉に対して人並み以上の興味を持っていたようで、OEDを読んでいて飽きないと言っています。夫のヴィアテル(老人と海・アフリカの女王・陽はまた昇る等の脚本家)の影響もあったかも知れません。二人が住んだ家には本が溢れていました。

画像:YouTube  "Deborah Kerr at Her Finest"より

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娘さんに「クマのプーさん」を読んでいる微笑ましい写真も残っています。読書は好きだったのでしょう。 

画像引用:https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71718356/picture_pc_903be595377eebae63c9a899d6f06baa.jpg

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少し脱線しますが・・・一生かかっても読み切れなさそうなOEDを、なんと読破した人がいます(そして、僕はOEDを読んだ) その本によれば、Tricoteuseという単語は、”編み物をする女性、特に、フランス革命の際にギロチン処刑に参列し、たくさんの首が転がっている中でも座って編物をする女性”を差すとのこと。本当にそんな女性がいて、実用語だったのか半信半疑でしたが、たまたま見たテレビ番組の1シーンにびっくり。マッカーシーによるレッドパージの公聴会で、編み物をしながら傍聴する女性が複数映っていたのです!(「カラーでよみがえるアメリカ 1950年代」:NHK BS世界のドキュメンタリー ) 

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これを見ると、ギロチンの前で編み物をしている人がいても、不思議はない気がしました。 手を動かしているとシリアスな状況でも落ち着くのでしょうか・・・う~ん、謎です。

50年代といえば、デボラ・カーが代表作にも恵まれ、キャリアのなかで最も輝いていた時・・・他の多くの女性と同じように、デボラ・カーも編み物が好きだったようで、キングソロモンのアフリカロケでも、撮影の合間に編み物をしていました。CGなどない時代の過酷なロケだったのに、何だか楽しそう♪ この写真を見ると、OEDに ”ライオンや猛獣がウロウロしているアフリカで編み物をする女性”という単語を追加してほしくなります。娘さんのものを編んでいたのかな。

画像:YouTube  "Deborah Kerr at Her Finest"より

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というわけで、無人島に持っていく宝物(Luxury)は、毛糸とかぎ針でした。最初デボラ・カーは、生きているものは駄目だと思うけど、と前置きして、かぎ針と(毛糸をとるための)羊の群れと答えています。それがあれば忙しくしていられるし、あらゆる種類のビキニが作れるとも。ユーモラスで茶目っ気のある言い方が、デボラ・カーらしくて好き❤

こちらは既にスターだったデボラ・カーが、ストッキングを繕っている珍しい写真です↓

画像引用:https://sewingmachinations.files.wordpress.com/2015/10/deboarh-kerr-darning-stocking.jpg

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今回の記事は、下記のサイトをもとに書きました。デボラの声が心地よくて、ときどき聞きたくなります。 自身が紹介した8曲のなかからオールラウンダーとして選んだ1曲は、ドヴォルザークの「交響曲第9番 新世界より」でした。 スコットランド生まれで、常に新しいキャリアを求め続けたデボラ・カーらしい選曲です。