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Trifariについて

こんにちは。アトリエ ニノンでございます。

アトリエ ニノンオンラインストアでは、2月12日より「Trifari Fair(トリファリ フェア)」開催しております。

ご存知の方も多いかもしれませんが、トリファリは別名「ラインストーンキング」とも呼ばれたブランドで、1950~60年代に最も人気になったアメリカのコスチュームジュエリーブランドの一つです。

コスチュームジュエリーとは、1920年代にCHANELが初めて作った、貴金属・宝石以外で作られたジュエリーのことです。

それは、それまで宝石の種類・価値で地位や権力を表すものだったジュエリーが、初めておしゃれをするために作られた瞬間でした。

今回は、そんなコスチュームジュエリーの中でも、人気と技術が高く、今でもコレクターやファンの多いTrifari(トリファリ)というブランドの歴史や特徴的なアイテムをご紹介していきます。

TRIFARI (1910年代~1990年代)の歴史

1883年、イタリアのナポリで生まれたGusabo Trifari(グスタフ・トリファリ)は、祖父の経営するゴールドスミスという会社で働きながら、ジュエリーの知識を身につけます。
(ナポリ出身のジュエリーということで、トリファリはイタリア系のコレクターにも人気があるようです。)

1904年、アメリカのニューヨークに移民したグスタフは、彼の叔父とコスチュームジュエリーの製造を始めました。 これがTrifariの原型です。

1910年、グスタフと叔父はTrifari & Trifariという会社を設立し、ジュエリーの販売を始めますが、そのあとすぐにグスタフは独立。

1912年、ヘアーアクセサリーを製造する会社に方向転換するも、ショートヘアの流行により髪飾りが売れなくなり、ハイクオリティーコスチュームジュエリーを製造販売するTrifariを設立しました。

1917年、Leo Krussmanという人物にセールスマネージャーに就任してもらい大成功。翌年には社名をTrifari & Krussmanと変更します。

1923年には、Karl Fishelという人物にセールスマンとして就任してもらい、さらなる成長を遂げます。
この時には社名をTrifari , Kussman & Fishel(TKF)と変更します。 (一般的にはTrifariと呼ばれていたようです。)

1930年~1968年には、コスチュームジュエリーデザインの巨匠、Alfred Philippe(アルフレッドフィリップ)がメインデザイナーに就任。
アルフレッド・フィリップは、カルティエやヴァン クリーフ&アーペルをクライアントに持っていたため、トリファリが一気に有名になります。
フィリップは宝石のジュエリーを扱うのと同じ情熱をもって仕事に取り組み、彼の作り出す革新的で美しいデザインは、アメリカのコスチュームジュエリー業界を圧巻。
彼がデザインしたラインはコレクターにも特に人気があり、現在でもかなりの高値のつく物があります。

1940年代初期頃には、戦争で合金の使用が規制されたことにより、今まではほとんどのアイテムが合金で作られていたところを、シルバーが使われました。シルバーは金属としては柔らかく、武器に使用するのには不向きだったため規制の対象にならなかったとのこと。
シルバーの上からゴールドのメッキをかけて作られたジュエリーは、今でも大変人気があり高値で取引されています。
ちなみに、 当時はというと金属規制の為のシルバー使用により販売価格がぐっと上がってしまったにもかかわらず、その売れ行きに影響を与えることは無かったと言われています。
この頃の刻印は、TRIFARI STERLINGと掘られています。1942年~1945年頃のものに多く残っています。

そして戦後。トリファリが最も繁栄した黄金期です。
テレビ、一軒家、家電、マイカー、エルヴィス・プレスリー、マリリン・モンローなどの時代ですね。
トリファリは時代の波に乗り、「Jewels by Trifari」をキャッチコピーに、VOGUE誌やテレビにて宣伝を積極的に行い、アメリカで確固たる地位を築きました。

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1950年には、ブロードウェイミュージカルのためのジュエリー製作もしました。そして、「アクセサリーといえばトリファリ」といわれるほどの支持を獲得しました。

また、アイゼンハワー大統領婦人が、大統領就任式にトリファリのパールセットジュエリーを着用したことで全米での人気に火が付きます。
同年、イギリスでエリザベス女王の戴冠がありました。トリファリはそれに敬意を称し、イギリス王室をテーマにしたジュエリーシリーズを制作。
その際、戴冠用のガウンを製造したブランド「ノーマン・ハートネル」が、トリファリのジュエリーを販売します。そのことでイギリスでも瞬く間に大流行となりました。

1968年になると、長年トリファリに貢献していたAlfred Philippe(アルフレッド・フィリップ)が引退してしまいます。そのことをきっかけに、残念ながら衰退が始まり、1975年にはホールマーク社に売却。

1994年には、Monet社のグループに買収されることとなりました。


優秀なデザイナーと、これまた優秀なセールスマン2人がいたことでTrifariが大きくなっていったことがわかる歴史ですね。
ここからは、トリファリのシグニチャーピースをご紹介してまいります。


王冠とジェリーベリー

アルフレッド・フィリップの有名な作品です。
王冠モチーフのアイテムや、ジェリーベリーと呼ばれる大きな丸いカボションを使用したピースは、今でもとても人気があります。
50年代まで色のバリエーションを変え3つのサイズで製造され、先ほど歴史の中でお話したエリザベス2世の戴冠式を祝い作られたジュエリーというのが、1953年に作られた王冠のスペシャルエディションです。
初期のものは戦時中のためベースにスターリングシルバーが使われ、サイズの大きいものは一番高く取引されています。

Day&Night 両用パリュール

こちらはアトリエ ニノンでたくさんご用意しているアイテム。
50年~60年代に多く見られたもので、植物をモチーフにし、様々な大きさのラインストーンやパールを使ったパリュールは非常に人気がありました。
絶妙なニュアンスのメタルワークが非常に魅力的で、その上にラインストーンやパールがふんだんに使われています。
当時の、昼と夜でジュエリーを付け替えることが多かった女性達に、非常に人気だったそうです。

リバースデザイン

50年代初頭にアルフレッド・フィリップによってデザインされたアイテムを、流行に合わせて再デザインして販売されたラインのことです。トリファリのアイテムをご覧になったことがある方はご存知だと思われますが、トリファリにはピカピカとした表面の仕上げになっているものと、つや消しの仕上げになっているアイテムがあります。ツヤのあるものがアルフレッドのオリジナル、つや消しのアイテムは「リバースデザイン」としてリメイクされ、後年発売されたものと言われています。

フルーツサラダ (トゥッティ・フルッティ) シリーズ

当時、カルティエがインドのマハラジャの為に製作した宝石彫刻を真似て作られたシリーズ。
マハラジャとは、「大王」という意味でインドの権力者のことで、当時贅の限りを尽くしたジュエリーが彼らの為に作られていました。
それを真似て、アルフレッド・フィリップが作ったものがフルーツサラダというシリーズ。
カルティエの場合は宝石で作る為色に限りがありますが、トリファリの場合はガラスですのでどんな表現でもできてしまうところも魅力でした。

日本人デザイナーによるコレクション

1970年代にトリファリで働いたアーティスト兼ジュエリーデザイナーとして、Kunio Matsumotoという日本人がいました。
とてもレアですが、通常のトリファリの刻印とは別の個所に、「Kunio Matsumoto」という刻印が入っているものがあります。
非常に大ぶりな植物のモチーフや、インパクトのある幾何学的な模様などが特徴的です。

Limited edition

Trifari™という刻印が入っているアイテムがあります。
これらは1990年代に作られたもので、「最後のTrifari」と呼ばれています。
1990年代らしく、シンプルでモダンな雰囲気の作品がたくさん作られています。
その中にLimited editionというラインがあり、これは1940〜50年代のデザインの復刻版であり、1つのアイテムが300個程しか製造されないことに加え、どれも高品質で作られました。
そのため現代でも非常に高値で取引されており、パッケージの残っているものだとその価値は高まります。

Trifanium(トリファニウム)

「トリファニウム」とはトリファリが特許を取得したメッキ技術です。
トリファリのメッキ技術は大変高く、メッキが剥がれてしまったものはほとんど見られません。ヴィンテージジュエリーというと、ところどころ剥げがあるものをよく見ますが、トリファリの場合は経年変化により薄くなっているメッキを見ることがある、という感じです。
本物のゴールドのように、柔らかい布で拭けば元の輝きを取り戻します。

刻印

Trifariは、ほとんど初めに「すべての商品に刻印が入っている」ことを宣伝したブランドで、刻印と年代 Trifariはそのアクセサリーの刻印により大体の年代を見ることができます。

1910年代…TK
1920年頃~1935年…KTF
1930年代~1960年代…Crown Trifari(Tの文字の上に王冠)
1932~1954年…TRIFARI PAT PEND(主にアルフレッド・フィリップによってデザインされたジュエリーについています)
(1942年~1945年頃…TRIFARI STERLING)
1955年~1960年代…Crown Trifari©(Tの文字の上に王冠)
1950年代~1960年代…T文字のハングタグ
1970年代~1980年代Trifari©
1980年代~1990年代…Trifari ™

いかがでしたでしょうか?
トリファリというブランドの歴史について詳しく知ることで、よりジュエリーの魅力を感じて頂けましたら幸いです。

今後も色々なブランドやアイテムのご紹介をしていく予定ですので、またご覧頂けますと嬉しいです。

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