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ナヤミタケ

「ああ、どうしよう・・・」
Lady Treeの周りをぐるぐる回りながら 
ナヤミタケは気がかりを訴える。

それは、Lady Treeに言っているのか?
独り言なのか?
そのどちらとも言える感じである。

今日の彼の悩みは、 
今年の夏至祭の係に選ばれたことなのだ。

大変な役に選ばれたのかというと…
そんなことは全くなく、
旗持って立っていればいいだけなのだが
ナヤミタケは起きてもいないことに悩む。

 ずっと立っていて疲れないだろうか?
 サポーターをしていこうか?
 途中でトイレに行きたくなったら?
 外国のひとに道を聞かれたら?
 何か事件が起きた時はどうするのか?

・・・悩み出すと、底なし沼のようになる。

もう何十周Lady Treeの周りを回ったことだろう?

普段からゼンマイ・ワラビ族のとりまきに
慣れっこのLady Treeだから
全く気にする風でもなく見守っていたのだが、
突然催眠術にかかったようにコクンと眠ってしまった。

それだけではなかった。
Lady Treeのみならずナヤミタケ自身も
自分の催眠術にかかって眠ってしまったのだ。

この日をきっかけに、
ナヤミタケの隠れた才能が知れ渡るようになった。


〈不眠でお悩みの方、
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