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ちゃぶ台と手打ちうどん【#あの日の景色。あの日の味。】

私にとって、あの日の味は、祖母が作ってくれた『手打ちうどん』。

毎年お盆になると、田舎の祖父母の家は賑わった。

母方の兄弟は、母を含めて6人だったから、そこに集まる孫の人数も多かった。

食卓によくでてきたのが、祖母の『手打ちうどん』だ。

野菜がたっぷりと入った『手打ちうどん』は、麺の幅が広い。特に端っこが不揃いで、より太かったり、逆に細かったりしていた。出汁は、煮干しからとっていたのだろう、時々それも入ったまま。

とても素朴な味。

美味しかった。

そして、食事時、いつもの掘りごたつ式のテ-ブルでは間に合わず、登場していたのが、『ちゃぶ台』だ。
子供達だけで『ちゃぶ台』を囲む。ペタッと座ってごはんを食べる。
これが楽しかった。
普段、家では弟とふたりだけだったし、イスとテーブルで、こんな大人数でごはんを食べることはなかったから。

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『ちゃぶ台』に並ぶ、いくつもの味噌汁のお椀。え、

え、うどんって、丼で食べるよね、と思うけど、ここではいつも『手打ちうどん』は味噌汁のお椀に入っている。そして、ふつうにご飯茶碗にはご飯が入っている。

そう、『手打ちうどん』は汁もの扱い。

具だくさんだけど、汁もの扱いだから、ふつうに沢山のおかずが並ぶ。ご飯も普通によそってもらっていた。それが嬉しかった。

こんな風に、うどんを単品扱いしない食べ方をしていたから、自宅でも母は同じようにしていた。それで、父は、ご飯とうどんを目の前にして

「この炭水化物と炭水化物がふたつっていうのがなんだか…」

と納得しない様子だった。

えっ、普段よく、ラ-メンと半チャーハン、とか食べてない?
と思っていたけど、父はご飯には味噌汁の人だったから。


今ではもうあの『手打ちうどん』を『ちゃぶ台』で食べられないけど、あの日の景色とあの日の味は、楽しい思い出として私の心の中に残っている。


おわり


拝啓 あんこぼ-ろさんのこちらの企画に参加させていただきました。この素晴らしい企画のお陰で、楽しかった幼き日の思い出にひたることができました。あんこぼ-ろさん、ありがとうございます。


いつもは洋風な記事を投稿していますが、思いっきり和風テイストで挑戦してみました。あんこぼ-ろ先生、よろしくお願いいたします。

ちなみに いつものテイストはこのような感じです。

貼り付けちゃった。よろしくお願いします!

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