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【航空管制官】採用試験に独学で一発合格する方法【マインド・環境構築編】


【航空管制官】採用試験に独学で一発合格する方法


こんにちは、【元航空管制官が試験対策講義作ってみた】です。

管制官歴は6年。訓練監督者経験あり。
スピードコントロールのみでスペーシングするのが得意です。
3次試験レーダーベクター対策講座を完全オンラインで展開中。

今回は航空管制官の採用試験を受験される方のために私が独学一発合格した際に得たノウハウを言語化しようと思います。

本記事では各科目の具体的な勉強法ではなく、勉強をやり切るためのマインドや環境構築の部分をお話したいと思います。

あと今回は少しスパルタな記事になってます。

試験に最短で合格するためにはどうしたら良いかを本気で書きましたので、スパルタな表現の部分はご容赦ください。

人によっては耳が痛い内容かもしれませんが、本当のことなので参考にしてもらえれば幸いです。

敵を知る

まずは皆さんが受験する航空管制官採用試験の競争相手について説明します。

この過程を経ておくとライバルを可視化でき、一刻も早く勉強をしないといけないという焦燥感に駆られ、怠け防止になります。

航空管制官の出身大学


一番簡単に学力を測る指標はやはり出身大学です。

根拠は上位ランク大学卒業の同期や先輩は皆、採用試験でも好成績を修めていたからです。

ということでまずは同期の出身大学を列挙します。

・東京大学
・京都大学
・一橋大学
・東北大学
・大阪大学
・神戸大学
・北海道大学
・名古屋大学
・早稲田大学
・慶応義塾大学

日本の大学の中でも上位ランク大学出身の人がゴロゴロいます。

(※保安大に入学した際に作るプロフィールにより大学名が同期に公開され判明しました。)

正直私もここまでの高学歴集団だとは思ってなかったので驚いたのを覚えています。

・アメリカの〇〇大学
・〇〇大学外国語学部

他にはこういった英語力オバケの人たちもいます。

航空管制官の試験に合格するということはこういう人たちと学力面で肩を並べることになります。

ここで言いたいのは管制官は頭が良いということではなく、皆さんは採用試験でこういったツワモノたちと戦わないといけないということです。

なのでまずはこの状況を真摯に受け入れてください。

合格するために必要な条件

合格するためには以下の公式を知っておくと理解が深まります。

「学習効率 x 学習時間 = 合格期待値」

合格期待値の数値が多ければ多いほど合格に近づきます。

合格期待値を上げたければ、学習効率 or 学習時間のどちらかを向上させればokです。

以下に学習効率 or 学習時間のどちらかを上げる4つの条件を書きます。

皆さんが以下4つのどのタイプに該当するか考えながら読んでみてください。

脳内の高性能エンジン


周りからは見えませんが、頭の回転が早い人は脳内にスーパーカー並みの高性能エンジンを積んでいます。

こういう人は学習効率が非常に良いです。

なので他の受験生より学習時間が少なくても合格できる可能性が高いです。

ただこのタイプは前述の超高学歴な人(東大・京大レベル)に多いので再現性は低めです。

英語に強みがある


航空管制官の採用試験において英語は試験全体の半分以上の比重を占めます。

ということは英語に強い人は脳内に高性能なエンジンを積んでいなくともハナから学習効率が良くなります。

知っている英単語の量が多く、英文をスラスラ読むことができて、リスニング力もあり、英会話もノープロブレムな人です。

これは海外の大学出身、外国語学部出身、中長期の留学経験がある方に多いイメージです。

勉強にお金を払う


塾の学費や過去問などの教材にお金を払うことで他の受験生がもたない知識や学習環境を手に入れて学習効率を向上させる方法もあります。

ポケモンでいう「わざマシン」を購入して、わざを瞬時に覚えさせてレベル上げの時間を短縮させるイメージです。


ポケモンのわざマシン

脳内に高性能エンジンを積んでいなくても、英語に強くなくても、お金を投じるだけで学習効率を上げられるので手っ取り早い方法です。

この勉強にお金を払うという行為も立派な戦い方です。

時間を大量投入する


脳内に高性能エンジン未搭載、特に英語に強いわけでもなく、お金を投入するリスクも負えない人が最後にとれる手段です。

時間を大量投入は上記の公式の学習時間を増やす戦略です。

この戦略は誰でも真似できるやり方ですが、これすらやらない受験生もいるので有効な手段です。

具体的には普通の人が1日5時間勉強するところを10時間勉強するといった感じです。

あとは単純に勉強開始時期を他の受験生より早めるだけでも、時間を大量投入することにつながります。

時間を大量に確保して物量で勝負するという根性が入った勉強は終盤にじわじわ効いてきます。

合格する人はどんな人?

学習効率 or 学習時間を上げれば合格する可能性が上がる、ということは先ほどお伝えしました。

ということは合格するために必要な条件

・脳内の高性能エンジン
・英語に強みがある
・勉強にお金を払う
・時間を大量投入する

これらを多く取り入れれば合格する可能性が上がります。

少し解像度を上げて説明します。

必ず合格する人の具体例

上記4つの条件全てを持ち合わせている人はどんな人でしょうか?

一つ具体例を挙げます。

・脳内の高性能エンジン→京大生
・英語に強みがある→オーストラリアに1年留学経験あり
・勉強にお金を払う→管制官試験対策の塾に通う
・時間を大量投入する→1日7時間勉強

英語圏留学を経験し、試験対策の塾に通い、毎日7時間は勉強する京大生。

たまにこういう完璧を体現した人がいるんですよね。

この方は間違いなく一発で合格し、かつ上位の成績を修めるでしょう。

ただこんな完璧な人は少ないわけです。

この方のように完璧に4つの条件を兼ね備えていなくても一発合格することは可能です。

おこがましいですが、私がその具体例です。

私の具体例

・脳内の高性能エンジン→なし
・英語に強みがある→TOEIC800&英検準一級&英国に留学経験あり
・勉強にお金を払う→英語面接対策にネイティブの先生と授業
・時間を大量投入する→1日8時間勉強

まずは脳内の高性能エンジンについて。

私は特に地頭が良くないことを自覚していたので、脳内に高性能のエンジンは未搭載でした。10年落ち普通車並みのエンジンです。

次に英語に強みがあるに関して。

恐らく航空管制官の試験を受験される方は英語が得意な人が多いと思うので、私の英語力は受験生の中では普通レベルだと思います。

唯一、留学経験をしていたのが自分の強みだと思ったのでそこに自信をもって試験に臨みました。

次に勉強にお金を払うに関して。

基本的に全て独学でこなしましたが、2次試験の英語面接対策だけはお金を払ってでも対人で練習したほうが良いと感じました。

そこでアルバイト先の塾にたまたまいらっしゃったネイティブの先生をつかまえて、英語面接対策の授業を特別に開いてもらいました。

授業料は少し高めでしたが、一発で合格できたのでお金を投入してよかったと思います。

航空管制官の英語面接対策については以下の記事にまとめたので参考になれば幸いです。

最後に時間を大量投入するについて。

毎日9:00~18:00までは1時間の昼休憩を除いて8時間は勉強時間を確保していました。

この時間を大量投入する行為は当たり前にできないと合格は夢のまた夢だという気持ちで、なんとしても毎日机にかじりつく行動を取り続けました。

最初は辛かったですが、習慣化してしまえばかなり楽になりますし、精神も安定化したので振り返ってみるとそこまで苦ではありませんでした。

ということでまとめると私は

・英語に強みがある
・勉強にお金を払う
・時間を大量投入する

の3つでこの試験を攻略しました。

以上のことから、合格に必要な条件最低3つを実践すれば合格は可能であることがわかります。

皆さんがとるべき行動

次に皆さんがとるべき行動について考えます。

とるべき行動を知るには自分はどこが強いのか?を洗い出しましょう。

例えば

・TOEIC900
・過去問を購入&講座を受講している

こういうポジションの人であれば

・英語に強みがある
・勉強にお金を払う

既にこの2点は達成している状態なので追加で

・時間を大量投入する

これを達成すればよいわけです。

つまり次にとるべき行動は1日7~8時間勉強することです。

これをするだけで下記3つの条件が揃うので相当負けにくくなります。

・英語に強みがある→TOEIC900
・勉強にお金を払う→過去問を購入&講座を受講している
・時間を大量投入する→1日7~8時間勉強すること

このように自分をメタ認知することで次にとるべきアクションが見えてきます。

不合格になる人の行動を想像する

これは自分の現在の行動を俯瞰的に見る時に使える、怠け防止テクニックです。

自分の現在の行動が不合格になる人の行動と被っていないかを定期的に確認してください。

不合格になる人の行動は例えば以下の通りです。

・スマホを開いて気づいたら2~3時間Twitterやインスタを徘徊している

・帰宅して勉強しようと思ったら長時間Netflixを見てしまっていた

・YouTubeのスクリーンタイムが1日平均で4時間超えている

これらの行動をとっている人はイエローカードです。

というのも合格する人というのはあなたがSNSで時間を浪費している間に黙々と勉強しているからです。

それが半年積み重なればその差を埋めることはほぼ不可能に近いです。

ということで自分の現在の行動がこれらに該当してないかを定期的に確認して、これらの行動と反対の行動をとるようにしてください。

当たり前かもしれませんが、不合格になる人の行動の逆の行動をとれば合格することができます。

マインド編

本当の敵は…


競争相手に高学歴の人が多いとはいっても、航空管制官採用試験はしっかり勉強を継続すれば合格できる試験です。

ただその「しっかり勉強を継続する」という行為が難しいんです。

怠けようとする自分をコントロールして勉強を強制しないといけません。

「疲れたからちょっとYouTube見よう → スマホダラダラ2〜3時間経過」

何度も言いますがこういう行動をとっていたら要注意です。

高学歴の人であろうが、愚直に勉強している人に最後まくられます。

SNSで試験情報を収集したりするのはアリです。

しかし勉強中にSNSの誘惑に負けてしまいダラダラ時間を浪費し、気づいたら思ったほど勉強できていないという状況が続くと、合格はほぼ不可能だと思ってください。

そう、本当の敵は自分だったりします。

とはいってもそういう人はたくさんいるので、勉強の継続に自信が無い方は後述の、怠けない環境を構築することをオススメします。

(私もダラダラしてしまうタイプだったので怠けない環境を構築したことは試験合格にかなり有効でした。)

なぜ一発合格なのか?

なぜ一発合格を目指した方が良いのか?

結論、一回不合格になると落ちグセがついてしまうからです。

一度不合格になることを経験してしまうことで、不合格への恐怖が和らいでしまうんですよね。

大学受験でよく浪人生より現役生の方が勢いがあるというのを聞きますが、それと構図は同じです。

人間はワクワクよりネガティブな動機付けで行動する生き物なので、不合格になることの恐怖(ネガティブ)を失うと途端に安心してしまいます。

そして安心してしまうとネガティブな動機付けが機能しなくなります。

試験で不合格

残念だけどまた頑張れば良いか

この「残念だけどまた頑張れば良いか」は前向きで聞こえは良いですが、一種の安心が介在してしまうので危険です。

「勉強を頑張ってさえいればたとえ結果が不合格でもしょうがない」とどこかで無意識に自分の不合格を正当化してしまいます。

こういう状況を避けるためにまずは一発合格を目指しましょう。

勘違いしてほしくないのですが、ここで一発合格できなかったら終わりということを言いたいのではなく、再チャレする方々もネガティブな動機付けをもち、再チャレを1回限りで終わらせて合格してください、ということです。

結果が全て

この考えも非常に大切です。

不合格になったけど勉強を一生懸命頑張った!」

これは他人から見たら全く意味をなしません。

ただの試験を突破できなかった人です。

「最下位だったけど採用試験に合格しました!」

これは他人から見たら難関試験を突破したすごい人です。

つまり合格 or 不合格の結果が全てです。

一生懸命頑張ったとか最下位だったとかは重要ではありません。

これは航空管制官になった後も同じです。

「一生懸命指示したんですけど、ぶつけちゃいました。」

これは他人から見たら管制官失格です。

一生懸命指示したとかは関係なく、最悪の場合は禁固刑に処されます。

つまり試験も社会も結果が全てなんですね。

少し厳しい現実ですが、航空管制官になる前に採用試験を通してこのマインドはもっておいてください。

一発合格のメリット

ここまで厳しいことを書いてしまったので、一発合格のメリットを紹介して中和させたいと思います。

・若い貴重な時間を温存できる

メリットはこれに尽きます。

1回目の試験で合格することと4回目の試験で合格することはどちらも同じ合格です。

違いは合格に1年かかったか4年かかったかだけです。

それなら明らかに1回目で合格する方が良いに決まってます。

なぜなら20代の3年間を温存できるからです。

20代の3年は人生を180度変えてしまうほどの威力をもっています。

若い20代の貴重な時間を試験勉強に費やしすぎるのはかなり勿体無いです。

ここでも言いたいことは早く合格しようです。

目標設定をする

私からのアドバイスとしては、1年でスパッと合格して保安大入学までの数ヶ月間にやりたかったことをやって時間を有意義に使ってくださいということです。

上記ツイート以外にも

・やりたかったゲームをやり倒す
・推しのアイドルのライブに行きまくる

などなんでもOKです。合格したら溜まっていた欲望を全て開放させてください。

ちなみに私はずっと行きたかったラスベガスに行きました。


ホースシューベンド

合格したら入省するまで数ヶ月の時間が生まれるので、若いうちにやりたかったことが沢山できます。

なので皆さんも一発合格を達成して、やりたかったことをできるだけ若いうちにやってください。

そして今から受験される方は「合格したらやることリスト」を作っておくと勉強への姿勢が格段に上がります。

例えば合格したら絶対に世界一周するとかでもOKです。

とりあえずドロドロと心の中から出てくる欲望を言語化してリスト化しましょう。(※ここ超重要です)

リスト化は具体的であればあるほど良いです。

世界一周の例なら

・具体的に行きたい国(フランス、タイ、ブラジルetc.)
・予算(30万円、50万円、100万円etc.)
・飛行機(LCCで格安旅、マイルでビジネスクラス旅etc.)
・宿泊(ドミトリー節約ステイ、ヒルトンでラグジュアリーステイetc.)
・旅費の工面(貯金を使う、バイトで工面、ワーホリで稼ぐetc.)

具体的であればあるほど、勉強に熱が乗ります。

これが1年後に叶うなら勉強をやり抜ける!というような目標を設定してください。

環境構築編

地味な行動の積み重ね

日々の勉強はとても地味な行動です。

毎日机の前で7時間も8時間も本と向き合うのですから、とても単調です。

人は単調な行動を繰り返すと何か刺激を求めるようになります。

そこで横にあるスマホで長時間ダラダラYouTube等のSNSを見てしまいます。

なのでこれには対策が必要です。

導入に音楽は最適

毎日勉強しているとやる気が起きない時がどうしてもあります。

しかし何かしら脳に汗をかいてもらわないと、学力は落ちていってしまいます。

そういう時には私は音楽を聴きながら勉強していました。

よく音楽を聴きながらの勉強は効率悪いと言われますが、確かにその通りです。

しかしながらそもそも勉強を始めないと効率悪いどころの話じゃないので、まずは勉強を始めるハードルを音楽によって下げてあげます。

そして音楽を聴きながら勉強していると、気づいたら集中して問題を解いている自分に気づきます。

勉強している間に音楽のプレイリストは再生され尽くされ、イヤホンをしながら無音の中勉強をしているはずです。

なのでやる気が起きない時には自分の好きな音楽を流しながら効率度外視で勉強を始めてみてください。

色々な勉強場所を作る

私は毎日同じところで勉強するのが苦手だったので、3つの勉強場所をローテーションしていました。

・大学図書館
・市の図書館
・マクドナルド

まずは母校の大学図書館を活用しました。

大学の卒業生は「卒業生カード」なるものを無料で発行してもらえ、図書館の自習スペースが使い放題になります。

私の母校の図書館には一つ一つ独立した学習ブースがあり、そこで朝から晩まで籠って勉強できました。

スケジュールとしては9:00に図書館に行き、4時間ほど勉強したら大学の学食でお昼ご飯を食べ、残りの14:00~18:00までまた勉強するといった感じです。

食堂のお昼ご飯がとても美味しかったので学食メシを食べるために勉強を頑張るといった感じでした。

次に市の図書館も活用しました。

なので、大学図書館での勉強に飽きた時は市の図書館に大変お世話になりました。

運が良かったのか、市の図書館がとても綺麗に改装されていて、自習室も無料で開放されていました。

大学図書館と違い、市の図書館では老若男女色々な方々が黙々と勉強されていたので、自分も負けていられないなと勇気を貰いながら勉強していました。

市の図書館の唯一のデメリットとして、お昼ご飯を食べるところがないので少し不便ですが、1日2食に切り替えて夜ご飯を多めに食べるとかで対応可能です。

最後にマクドナルドです。

私は朝マックが好きなので、それ目当てで勉強しにいってました。

ここに関しては別にマクドナルドでなくとも、スタバやタリーズなどのカフェでもokです。

自分が勉強したくなるような環境であればどこでも良いです。

マクドナルドのメリットはワンコインで飲み物と食べ物が提供される点です。

デメリットとしてはあまり長居しすぎると他のお客さんの迷惑になってしまうので、長時間滞在はできないことです。

SNS以外の刺激で囲む

刺激の対象をSNSにするのではなく、それ以外に転嫁してSNSが入り込む隙間を小さくしましょう。

・導入に音楽を聴く
・色々な場所で勉強する

これだけでも変化があり刺激が生まれます。

変化が少ないなと感じたら街中のカフェで勉強してみてください。

頼むドリンクの種類を変えてみてください。

大学図書館で周りの大学生たちと同じ空間で勉強してみてください。

環境に些細な変化を加えていけばそれが刺激になり、勉強を継続しやすくなるはずです。

各試験が実務でどう活きるか

これを知っていると、今勉強していることが航空管制官になった時にどう活きてくるのかをイメージしながら勉強できるので、勉強効率も間違いなく上がります。

イメージとしては皆さん高校で古文を教わったと思うのですが、古文の勉強は社会に出た時にどう役立つかを高校生のうちに知っておけば、学習効率は上がっていたはずです。
(私は古文は社会で役に立ちづらいと思っていたので、古文の成績は悪かったです。そして現に役に立ちませんでした。)

皆さんも管制官に英語は必要というのはぼんやり理解されているはずです。

ただ、例えば「記憶図って実務でどの場面で活きるの?」という問いに対しては具体的に答えられないと思います。

お伝えしたいことは、単に試験で点数を稼ぐために勉強するのではなく、今の勉強が将来どう活きるかを具体的にイメージしながらやると、勉強効率が良くなるということです。

ということで各試験で養われる能力が実務でどう活きるかを、管制官としての過去を振り返りながら私なりに解説します。

英語長文(1次)

英語長文の勉強で養われる力はもちろん英語のリーディング力です。

リーディング力は例えば「協定書」を読むときに使います。

「協定書」とはわかりやすく言うと、海外の管制官署との取り決めが英語で書かれている文書です。

海外の管制官署とは、一番イメージしやすいのはアメリカ空軍やアメリカ海兵隊です。

管制官はこの「協定書」にしたがって航空機を取り扱うので、保安大の研修が終了して海外官署と関係する現場に配属になると、必ず読まされます。

そしてそれを熟読して取り決めやルールを覚えていないと、現場配属後に訓練生を卒業することができません。

訓練生を卒業できないと1人で管制業務ができません。

つまり英語のリーディング力がないと、管制官として1人前にはなれません。

ということなので、管制官として1人前になるためにも英語長文対策には力を入れましょう。

基礎能力(1次)

基礎能力といっても色々な科目があるので、管制官の実務に活きるものだけ言います。

・文章理解(日本語)→メールや文書など、全ての業務で使う
・文章理解(英語)→例えば「協定書」を読む時に使う

正直この2つくらいですかね。

数的処理、判断推理、空間把握、資料解釈などで養われる能力が管制官の実務でどこに活かせるのか考えたのですが、正直そこまで活かされません。

なのでここは淡々と勉強するしかなさそうです。

記憶図(1次)

なぜ記憶図の問題が管制官の採用試験にあるのかずっと謎でした。

ただ6年間の管制官人生を通して理由がわかりました。

これは「ノンレーダー」に対する素質を見られています。

まず「ノンレーダー」とは何かというと、文字通りレーダー画面を使わずに航空機を管制することです。

皆さんはご存知ないかもしれませんが、実はごくごく稀にレーダー画面の表示が真っ暗になる時があります。

それはシステムの一時的な障害などで引き起こされる場合が多いのですが、その際に管制官は航空機の位置を把握していなければなりません。

管制官が航空機の位置を把握していないと航空機同士がぶつかってしまう危険性があるからです。

なので管制官はノンレーダーになっても航空機に指示を与え続けなければなりません。

ノンレーダー中に指示を与えるにはさっきまで画面上に見えていた航空機の位置や高度や進行方向を把握してなければなりませんよね?

ということで記憶図でその適性を見られているということです。

記憶図の試験が存在する理由はもう一つあります。

それは実務で何かインシデントが起こった時に、管制官はその状況をインシデント調査担当の方に報告しないといけないからです。

調査担当「13:45くらいにANA123は高度何フィートでeastboundしていたか覚えてます?」

管制官「〇〇山上空を35000フィートでeastboundしていました」

ということは管制官はインシデント前後のレーダー画面上の航空機の位置や高度や進行方向を記憶していなければなりません。

記憶図の問題で10分前に記憶した高度や進行方向がよく聞かれますが、これが実務なら1時間前の状況とかも普通に聞かれます。

なのでここでも記憶図で身につけた能力は役に立つわけですね。

まとめると

・ノンレーダーの時
・インシデント後の状況説明

上記は単なる一例ですが、実務でこれらのことが出来ないと管制官として仕事をするのが難しいです。

記憶図で養われる能力はこのように実務でも役に立つのでしっかり対策しておきましょう。

空間把握(1次)

試験に出てくる空間把握問題のように立方体を回したりというようなことは実務ではなかったです。

ただこの空間把握の力は実務においてアプローチの空域を把握することに役立ったと思います。

例えば空域が複雑で有名な横田アプローチを理解するためには空間把握能力がないとしんどいです。

出典:https://blog.goo.ne.jp/kix1855/e/7cb376c81502b6f3463b1a228641653e

管制官が扱うアプローチチャートは上記画像よりもっと複雑でもっと情報量が多いです。

もっと複雑な空域や空間を把握するためには、空間把握にある程度の耐性が必要になってきます。

なのでやはり空間把握の能力も実務で役に立つ能力として欠かせません。

※追記(2023/11/14)
空間把握問題の対策講座を3Dアニメーションで作成いたしました。

空間把握問題の対策でお困りの方は下記の記事をどうぞ。

英語ヒアリング(1次)

英語のヒアリング、これは非常に役に立ちます。

役に立つ例を挙げると

・パイロットとの交信
・国内管制官署との調整
・米軍との調整

これら全部に英語のヒアリングは必要です。

特に最後の米軍との調整に関しては、相手はアメリカ人なのでヒアリングの力がないと何をいっているのかわかりません。

訓練中に米軍との調整であたふたしていると、訓練監督者からすかさずカットインが入ります。

最悪の場合、業務に支障が出るので離席を促されるかもしれません。

そうならないためにもヒアリング対策は試験勉強中から抜かりなくやっておきましょう。

英語面接(2次)

英語ヒアリングも大切ですが、英語面接も非常に大切です。

これは上記ヒアリングのところで述べたように

・パイロットとの交信
・国内管制官署との調整
・米軍との調整

で必要になってきます。

相手の言うことは理解しているけど、自分が英語をアウトプット出来ないと当たり前ですが管制指示や調整業務も出来ません。

英語面接ではよく数字をメインに聞かれますが、実務の交信や調整でも必ず数字が出てきます。

また管制官になると「レベル4」という英語の試験を受け続けなければなりません。

そしてこの「レベル4」も英語面接形式なので、自分が英語をアウトプットすることを求められます。

この「レベル4」に不合格になると、管制官としての業務ができなくなるので絶対に落とすことが許されない試験です。

まとめると

・パイロットとの交信
・国内管制官署との調整
・米軍との調整
・「レベル4」英語面接試験

一例ですが英語面接対策の能力はこれらの実務で役に立ちます。

英語面接の対策でお困りの方はこちらの記事を参考にしてみてください。

日本語面接(2次)

日本語面接ではソフトスキルを見られます。

ソフトスキルとは全ての仕事で必要になってくるスキルです。

ということで、日本語面接で聞かれる能力は実務全般において役に立ちます。

面接シートに記入すべきことは以下の項目です。

・信念や目標を持って取り組んだこと
・経験や他者から学んだこと
・役割を果たすために工夫したこと
・人間関係を円滑にするためにしたこと
・迅速な決断が求められる状況において対処したこと

これをソフトスキルに置き換えてみると

・行動力&継続力
・向学心&学習意欲
・創造性&論理的思考力
・チームワーク
・柔軟性&判断力

こんな感じでしょうか。

これらのソフトスキルを多く持ち合わせている人がいればいるほど、業務の効率化や職場環境が良くなります。

なので最近はこのソフトスキルが重要視されています。

あと管制官の職場では訓練監督者の言動が議論されることがあります。

訓練監督者の中には罵詈雑言を訓練生に浴びせかけたりして、訓練生が病んでしまい、若手管制官が育たないといった問題もありました。
(現在はだいぶ改善されているので心配しないで大丈夫です。)

なのでそういった職場にとってマイナスな指導者をフィルタリングするためにも日本語面接でソフトスキルを見られているんですね。

レーダー管制(3次)

なんやかんやここが一番実務において大事です。

というのも皆さんが管制官になったらタワーと洋上以外はみんなレーダー管制をしなければならないからです。

例えば福岡空港に勤務したとしたら、管制塔から実機を目視で管制するだけと思っている方もいますが、福岡にはアプローチもあるので実際はレーダー室でレーダー管制もしなければなりません。

福岡空港勤務→タワー&レーダー業務

関空や中部も全くおなじです。

ということで実務ド真ん中でこのレーダースキルは使います。

3次のレーダー試験が不安な方はこちらの記事を参考にしてみてください。

まとめ

各試験の対策が実務にどう活きるかを先に知っておくと、今やっている勉強も長期的に意味があるものと理解でき、より一層身が入ると思います。

単調な勉強に疲れてきたら「各試験が実務でどう活きるか」を読み返して、今やっている勉強はちゃんと将来役に立つということを心に刻んでください。

全体のまとめ

ここまで冗長な文章を読んでくださってありがとうございます。

今回の記事が受験生の方々のお役に立てれば幸いです。

ここまで読んでくださり本旨を理解してくださる方はおそらく理解力があり、合格するマインドが備わっている方なので合格は難しくないと思います。

あとは慢心せずに常に心のどこかに「合格するか不安だな」というソワソワした感情をもち続けてください。

このソワソワした感情をもち続けるのはとても居心地が悪い行為ですが、このネガティブな感情が自分を勉強に駆り立てるということを忘れないで下さい。

なのでこの感情を試験合格まで大切にしてください。

それではまた次の記事でお会いしましょう。


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