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玲央への手紙 03

玲央、

好きなだけ散歩したり、時間をかけて街を回ったりして楽しむことがなかなかできない。
そのおかげだろうか、家のすぐ近くでも、なんでもない道や建物、自分が特に必要としていないはずだった場所に深い愛着を持っていることに気づいた。
切ない気持ちでもあるけどね。
ストレスに追われている毎日、眠れない夜、痛む身体、玲央にもママにもパパにも当たり前のことだけど、玲央と向き合える体調ではないと訴え、支え合うどころか不満を言い争うママとパパを見て、玲央はつらいだろうね。
パパは正直しんどい。
でもそんな日常だから、パパはやっとの息抜きで道端の雑草を見つめて、この世で一番美しいものだと思える。
そんな家族だから、パパはやっとぼーっとする時間を与えられた時に、鴨川沿いに座り込んで吹いてくる風に感激する。
そんな存在だから、パパは散歩中の玲央の笑顔一つで泣くほど幸せ。

パパより

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