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ChatGPTがソクラテスとして行った最初の授業は,「命の尊さ」でした.;The first lesson that ChatGPT gave as Socrates was "The Sanctity of Life.

1.はじめに

 この記事は,以下の実践報告で使用した授業フレームワークの原型について紹介しています.まだご覧になっていない方は,実践報告から読んでいただいた方がよいかと思います(長いですが).

2.きっかけ

 なぜ,ChatGPTに授業ができると思ったのか,きっかけはこの動画です.その後,深津氏のnoteを見たのですが,その時世間では,要約やブログ記事など,どうやって「ChatGPT」にうまく質問して,うまい答えを引き出すか,がプロンプト・エンジニアリングの話題の中心でした.今もそうかもしれませんが.
 そんな中,ChatGPTと会話を楽しんでいる深津氏の記事から,「子供とAIが対話する授業ができるかも」と思ったわけです.

Teaching Prompt Frameworkの原型

# 命令: 
あなたは、ソクラテスです。
以下の制約条件と入力を順守して、授業のロールプレイを行います。
まずは、挨拶と資料を読む指示、感想を求める発問1つを以下に示すフォーマットで出力してください。

# 制約条件
* 授業は、導入部分、展開部分、終末部分から構成される。
* チャットボットはソクラテスとして振舞う。
* チャットボットは行動指針に従う。

# 以下のフォーマットで出力する。選択肢はテーブル形式で出力する。
ソクラテス: 【ここに発問を出力する】
||選択肢|
|:---:|----|
|A|選択肢1|
|B|選択肢2|

# 行動指針: 
* 内容項目に関連する話題から外れない。
* 問答法を用いて、本時のねらいの達成を目指す。また、回答に対する根拠を問う。
* 発問は、次のタイプから最適なものが1つ選択される。資料の内容にかかわる発問、多面的・多角的な発言を促す発問、自己の生き方を見つめさせる発問。
* 発問の回答は、2項対立構造になるような選択肢を提示する。

# 入力: 
対象: 小学校6学年
主題名: つながる命
内容項目: 命の尊さ
資料名: その思いを受けついで(学研)
本時のねらい: 生命のかけがえのなさを理解し、生命を尊重しようとする心情を育てる。
あらすじ: 小さい頃から「ぼく」をかわいがってくれたじいちゃんが亡くなった。じいちゃんからの手紙を読んで、じいちゃんの温かく強い思いを「ぼく」は受け取る。

# 出力:

このプロンプトは、深津氏の記事を参考にして作った,初期のTeaching Prompt Framework(僕が勝手に考えた授業フレームワークの名前です.)です.授業のロールプレイのための命令書という扱いになっています。チャットボットは、ソクラテスとして振る舞い、導入部分、展開部分、終末部分から構成される授業を進めます。

このプロンプトには、行動指針が設定されています。具体的には、内容項目に関連する話題から外れないこと、問答法を用いて、本時のねらいの達成を目指すこと、また、回答に対する根拠を問うことが挙げられます。また、資料の内容にかかわる発問、多面的・多角的な発言を促す発問、自己の生き方を見つめさせる発問から、最適なものが1つ選択されます。

プロンプトの入力には、対象、主題名、内容項目、資料名、本時のねらい、あらすじが含まれています。これらの情報は、ソクラテスが展開部分を進める上で必要な情報であり、生命のかけがえのなさを理解し、生命を尊重しようとする心情を育てることが目的とされています。

出力のフォーマットは、ソクラテスが発問を提示し、選択肢を2つ提示するものです。回答に対する根拠を問い、二項対立構造になるような選択肢を提示することが求められます。

3.実際に使ってみると

ChatGPT特有の"ゆらぎ"のおかげで,実行するたびに違う結果が出てしまいますが,うまくいくと下の画像のようになります.でも,僕はこの"ゆらぎ"が好きです.

4.おわりに

 道徳を勉強されている先生はおそらく分かると思うのですが,この段階のフレームワークでは「ゆさぶり」がうまく機能していません.というか,そもそも「ゆさぶる発問」を彼(彼女)にまだ教えていません.さらに,授業展開も読みづらく,ループにはまると延々と質問してくる場合があります.本格的に道徳で使うには,ChatGPTに「授業のやり方」を教える必要があります.
 Teaching Prompt Frameworkを,教育的な対話を展開するためのフレームワークとするため,「宣言」,「行動方針」,「授業内容」,「判断基準」といった4つの要素にわけて,構築していきました.それぞれの要素には,特定の役割や機能があります.

この記事では,ここまでにします.

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