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創世の語り ユヴェール神騎士団領

もそもそ描いている一次創作漫画・龍の詩(ウタ)に登場するユヴェール神騎士団領に伝わる創世の物語について。随時更新。

◇ 最終更新:20210406_内容更新、一部修正(誤字脱字等)

創世記『ユヴェール神話』

【概要】
闘神の民(ユヴェール神騎士団領)に根付く創世記。
主神たる闘神ユヴェンヴァルナの闘争、世界支配が主軸。様々な神々、世界との闘争を経てユヴェンヴァルナが世界を完成させたという創世の物語。

【闘神の民と思想】
闘争を善とし、勝利と栄光を得ることを正義とする。非常に交戦的で、三国が成る以前から物語現在に至るまで、積極的に多民族(主に精霊の民)への侵攻を繰り返す。
戒藍皇国、リエント共和国との三つ巴の争いもありながら、領土南方に広がる砂漠地帯を境に戒藍皇国では「未だ見ぬ民」と呼ばれる民族との争いも度々抱えている。
戒藍皇国の皇暦1328年時点、下級騎士から成り上がりユヴェール神騎士団史上最大の革命を起こしたサイロン・ヴィアルグが神騎士長の座にあり、一層積極的な外征により、その版図も史上最大を誇っている。

世界と神々

【世界】
天界
神々が住まう世界。"命ある三世界"の一、全ての世界の頂点。天上。
人間界で正しい行いをし清浄な死を遂げた者は、冥界を通過した後、この展開に昇り、神々の兵士として新たな善と正義の道を賜るとされている。

人間界
人間を始めとする、母神アーネバティが創り出した人形たち(生物)の世界。"命ある三世界"の一。天界の下層、影。地上。

魔界
魔神ルディシュナが支配する。"命ある三世界"の一、人間界よりも更に下層、天界の影すら届かない地中。
「悪」の行き着く世界。魂を堕とした魔の者、不浄な死を遂げた者の魂が蠢く。
それらの魂は魔神ルディシュナにより魔界での命を賜り、ルディシュナの使役となり半永久的に苦しみ続けることになる。

冥界
 冥神リグニが支配する。唯一"命ある三世界"から逸脱し主神ユヴェンヴァルナの力が及ばない世界。
 音一つ無い静寂が広がっており、生と死の間をさ迷う魂の通り道でもある。正しき者は天界へ、悪しき者は魔界への道を行く。大半の命がいずれにも属さず冥界で静寂の一部になり、完全な無になる。

【神々】
闘神ユヴェンヴァルナ

 主神。闘争、勝利、希望を司る。4つの世界を同時に、常に見るように目が4対ある。人型、両性具有。男女どちらに偏って捉えるかは地域により異なる。
 母神アーネバティの好奇心と創作欲を買い懐柔し、様々な人形を作らせ、命の誕生のきっかけを与えた。
闘争や対話を経て、天界・魔界・人間界の"命ある3世界"を支配するに至った絶対神。

母神アーネバティ
 生物を創った女神。愛と大地を司る。芸術の神でもある。
4つの世界を抱く為の美しい腕が8本(4対)ある。腕は再生可能だが完全な再生までは文明が生じてから潰えるまでの長い時がかかり、世境タミサラで腕の喪失を嘆いて以降、その間には戦乱や天災が起こるとされる。(戦や革命等の動乱、ひとつの時代を紐づけた考え方)
 様々な形の人形を作り、表面のざらつきをならす際に息を吹きかけたところ命が宿った。この人形が生命の期限とされる。
 「世境タミサラ」の対話にて、冥神リグニが彼女の美しい腕を望み、闘神ユヴェンヴァルナはそれに応じた。彼女は闘神ユヴェンヴァルナの為と腕を捧げるが、創作が出来ない己の身体に落ち込み、世境タミサラに篭ってしまう。
その後「アジマンドラに於ける渦との闘争」は争いにこそ終焉を迎えたものの、アーネバティの腕が再生するまで、全ての世界で厄災は頻発した。

太陽神ジャディーラ
 火、風を司る。海神ヴァハタールと双子。人間の男の上半身だが、腕は鳥の翼。下半身は鳥。
 「ラグタヤ聖戦」の果てにユヴェンヴァルナに仕える。「ラグタヤ聖戦」の際には余波が人間界に至り、天変地異を引き起こした。
 「アジマンドラに於ける渦との闘争」で、魔神ルディシュナ軍勢として復活した双子の妹・海神ヴァハタールの堕ちた姿に嘆き、魔に囚われたままでは哀れであると自ら聖なる炎で海神ヴァハタールの身を焼き消滅させた。
このことから、雨は彼が愛しい妹・海神ヴァハタールの美しい肉体を消滅させたことを悲しむ涙であるとされる。
闘争の後、母神アーネバティが「世境タミサラの対話」にて腕を失い篭ってしまった折、彼は自らの翼で世界を抱き、崩壊から守った。世界の崩壊は免れたが、酷使した彼の片翼は爛れ落ち、骨になった。
 女神に関わる逸話が目立つことから、女難払いや魔女狩りの際に祭り上げられることが多い。

海神ヴァハタール
 水、雷を司る。女神。太陽神ジャディーラと双子。人間の女の上半身、下半身はイルカ。人魚説。
 双子の兄・太陽神ジャディーラが「ラグタヤ聖戦」にて闘神ユヴェンヴァルナに敗北し降る折、更なる混乱を及ぼそうと突如現れた魔神ルディシュナが兄・太陽神ジャディーラを背後から魔界に取り込もうとし、彼女はこれを庇い、魔神ルディシュナに深い眠りを要する瀕死の傷を負わせるも力尽き消滅。
「アジマンドラに於ける渦との闘争」の折、魔神ルディシュナ軍勢として魂を堕とされ復活。魔に堕ちた彼女には怒り・怨念・嫉み・強欲のみに縛られており、この負の力を以って闘神ユヴェンヴァルナ軍に大打撃を与えた。
その姿を嘆いた兄・太陽神ジャディーラが太陽熱で焼き払い、この時彼女の肉体は消滅した。兄・太陽神ジャディーラの聖なる炎に巻かれ、彼女は消滅する間際に本来の心を取り戻し、その思念は海そのものとして世に残った。
魔神ルディシュナ軍勢として復活した後の描かれ方から、しばしば女性の恐ろしい面を表現する際にも用いられ、女性蔑視を唱える学問派では男尊女卑や女性の激情や劣等を語る際の象徴とされることもある。だが、本来的には美しく兄想いの女神であり、悲劇性もあって信仰する者は多い。

軍神チャビヌ
運、叡智を司る。
元は人間の男で、古代の人間界の王。姿を変えることなく神格化。
「ラグタヤ聖戦」の余波が人間界へも波及し天変地異を齎したことに怒り、闘神ユヴェンヴァルナに挑んだ。闘争の折、力もさることながら智謀も発揮し、神々を目の前にしながらも度々運をも味方につけた。
この「タジャラビティ山の決闘」には敗北するが、他の世界との闘争の余波を人間界に至らないようにすることを条件に、闘神ユヴェンヴァルナに降った。
闘神ユヴェンヴァルナの髪を1本切った武勇を認められ、死後は闘神ユヴェンヴァルナの手により天界に召され、神格化された。

魔神ルディシュナ
死、破壊、混乱を司る。
犬の顔、人の男性の上半身、蝙蝠の羽(腕)、羊の角、蛇の様な尾、6本足の鹿の下半身。
闘神ユヴェンヴァルナと対立。「アジマンドラに於ける渦との闘争」の折、海神ヴァハタールの魂を堕とし支配し、無理矢理復活させ彼女の兄・太陽神ジャディーラと闘わせる等、非道な行いも目立つ。同戦にて、闘神ユヴェンヴァルナに手を貸した冥神リグニの力により一時消滅、亡骸は泥と化し蒸発し、毒霧の塊の姿の魂は新たな魔界の渦となり、その強すぎる渦により魔界は空間の歪と化し、時を彷徨うことになった。

冥神リグニ
魂、静寂を司る。
無性別の子供の姿で描かれる。3つの角、鱗のある肌。
闘神ユヴェンヴァルナとは協力も対立もしない。闘神ユヴェンヴァルナから完全に独立し、静寂の世界である冥界を築き上げた。冥界は魂の通り道であり、冥神リグニ自身と静寂以外、とどまることは他の神々であれ許されない。
「アジマンドラに於ける渦との闘争」の折、闘神ユヴェンヴァルナが協力を依頼する一節がある。(世境タミサラの対話)
冥神リグニは協力の代償として、母神アーネバティの美しい腕全てを差し出すよう闘神ユヴェンヴァルナに求めた。
彼(彼女)はここで得た母神アーネバティの腕を利用することもなく、今も冥界のどこかにある塒で鑑賞しているとされている。この"美しいものとして鑑賞する"という行為は、芸術も司る母神アーネバティへの敬意でもあり、また美術・芸術を愛でる精神の元祖ともされる。

伝承 - 神々と闘争 -

ラグタヤ聖戦
 闘神ユヴェンヴァルナと太陽神ジャディーラ・海神ヴァハタールの双子神との闘争。(編集中)

タジャラビティ山の決闘
 闘神ユヴェンヴァルナと人間界の王チャビヌとの闘争。
 「ラグタヤ聖戦」の余波が人間界へも波及し天変地異を齎したことに怒った人間界の王チャビヌが闘神ユヴェンヴァルナに挑んだ一説。
この一説で、人間界の王チャビヌはソルダンと呼ばれる牛に跨り、天界へ赴く。このソルダンとは、天変地異で空から降った槍に心臓を貫かれ死んだ後に蘇生した羽の生えた牛のことで、天変地異は天界から及ぶものであり、神意も含むそれはあらゆる生物にも変化を与えることを示している。
このことから生物の突然変異は"天界がもたらしたもの"であり、神意を受けた存在として地域の神殿に保護され巡礼や参拝の対象とされるか、神前儀式において高尚な生贄とされることが多い。アルビノやメラニズムは特に神聖視され、他にもあらゆる奇形が対象。
 決闘は闘神ユヴェンヴァルナの勝利で決着がつく。数多の神々が、人間界の王チャビヌを神に背いた者として罰することを望んだが、対峙した闘神ユヴェンヴァルナは彼の力は人間界の支配に有用と考え、降伏を提案。
人間界の王チャビヌは、圧倒的な力を持ちながら罰を与えず、生きる道に導いた闘神ユヴェンヴァルナの心に感動しながらも、他の世界との闘争の余波を人間界に至らないようにすることを条件に降伏を受け入れた。人間界の王チャビヌの降伏は、人間界の全てが闘神ユヴェンヴァルナの下に降ったことを示す。
 人間界の王チャビヌはこの決闘の後、長らく人間界を治め天命を遂げ、決闘の際に闘神ユヴェンヴァルナの髪を1本切った栄誉から、闘神ユヴェンヴァルナ自らの手により天界に召され神格化、軍神となった。

アジマンドラに於ける渦との闘争
 闘神ユヴェンヴァルナ率いる天界勢力と魔神ルディシュナ率いる魔界勢力との決戦。(編集中)

世境タミサラの対話
 アジマンドラに於ける渦との闘争の折、闘神ユヴェンヴァルナが冥神リグニへ共闘依頼をしたところから、世境タミサラに籠った母神アーネバティの世界への帰還までを語る一説。
世境タミサラとは冥界が天界に隣接した際に生じる空間の隙間で、黄金の空と絹のような雲だけが広がっているとされる。
 対魔界勢力との闘争への共闘を依頼してきた闘神ユヴェンヴァルナに対し、冥神リグニは協力の代償として、母神アーネバティの美しい腕全てを差し出すよう求めた。
闘神ユヴェンヴァルナは承諾し、母神アーネバティに腕を差し出すよう彼女を訪ねる。母神アーネバティは愛を以て腕を差し出すことを承諾し、4対の腕を自ら切り離した。闘神ユヴェンヴァルナは交わる(肉体的な愛を与える)ことで彼女へ恩を返すと、母神アーネバティは「主神へ4対の腕を捧げ、純潔を捧げ、女神としてこれ程の幸福はない」と喜んだ。
 しかし、母神アーネバティはやがて闘神ユヴェンヴァルナへの奉仕の喜びよりも、腕を失ったことで生物の創作が不可能になってしまったことへの虚しさに囚われるようになり、遂に心を閉ざし、世境タミサラに籠ってしまう。
母神アーネバティが世境タミサラに籠り、腕の再生を泣きながら望み始めると呼応するように魔界勢力との闘争は激化し、更に厄災に見舞われ"命ある三世界"は崩壊の危機に陥った。(編集中)

この他、数多の伝承あり。

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