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創世の語り リエント共和国

もそもそ描いている一次創作漫画・龍の詩(ウタ)に登場するリエント共和国に伝わる創世の物語について。随時更新。

◇ 最終更新:20210324_公開

創世記『精霊王リエントとニヒツ・ゲメルデ/色彩に芽吹いた精霊達』

【概要】
精霊の民(現リエント共和国)に根付く創世記。
精霊王リエントが灰色の塊だった世界の原形に降り立った後、八百万の色彩と精霊達が生まれ、世界を今の形へと作り上げていく物語。精霊王リエントと八百万の精霊を創世主とする。
「ニヒツ・ゲメルデ」は灰色の塊だった世界の原形のことであり、"無の絵画"という意味を持つ。
度々の闘神の民による侵攻と支配の為に、原形に近しい古代の文献の多くが消失・散逸、口頭伝承により何とか繋いだ時代もあり、関係する文献は非常に貴重なものとなっている。

【精霊の民と思想】
精霊王リエントと八百万の精霊が「生きとし生けるものは皆同胞である」としていることから、三ツ国の中で最も平和主義で反戦的。精霊王リエントが主であり"精霊王"の名を冠するが、ここでは元始の存在という意味であり絶対的な頂点ではなく、色彩の数だけ精霊は存在し、地域や一族によって複数の精霊を祭る等もする比較的自由な信仰。
穏やかな国民性と地がなだらかに繋がっていることから、国が成る以前から闘神の民の侵攻・略奪の餌食となっており、幾度か植民地支配も受けた歴史がある。
軍役に就きながら平時は農産業や商業を営む者が多く、臣民平等の意識が強い。

八百万の精霊達

精霊王リエント
風と全ての色彩を司る精霊。
元始の精霊。無形でありながら世界の全ての色を持つとされる。人に近い姿で描かれることが多い。象徴となる動物は鳥。

太陽の精霊ゾンネ
光と赤系の色彩を司る精霊。
   ニヒツ・ゲメルデの天井から吊り下がっていた球体の一つから芽吹いた。月の精霊モンテと双子の姿で描かれる。象徴となる動物は犬。

月の精霊モンテ
陰影と黄系の色彩を司る精霊。
   ニヒツ・ゲメルデの天井から吊り下がっていた球体の一つから芽吹いた。太陽の精霊ゾンネと双子の姿で描かれる。象徴となる動物は猫。

大地の精霊ネーアト
大地と緑系の色彩を司る精霊。
   ニヒツ・ゲメルデの床の凹凸の境目、‘‘凸”から芽吹いた。水の精霊メルジーレとは常に上下反転の姿で描かれる。象徴となる動物は蛇。

海の精霊メルジーレ
海と青系の色彩を司る精霊。
   ニヒツ・ゲメルデの床の凹凸の境目、‘‘凹”から芽吹いた。大地の精霊ネーアトとは常に上下反転の姿で描かれる。象徴となる動物は鯱。

この他、色彩の数だけ精霊は存在する。
精霊たちは精霊王リエントも含め皆が同胞或いは兄弟とされ、同等であるとされる。

伝承 - 世界の始まり -

世界は初め、灰色の塊だった。
色彩や命は無く、あらゆる造形の凹凸があるだけだった。
それは正しく"ニヒツ・ゲメルデ"(無の絵画)だった。

"ニヒツ・ゲメルデ"の上には色彩と風があり、それらが長い時をかけて集まって、やがて一つの塊ができた。その塊が精霊王リエントである。
ひとつの塊となって自由に動けるようになった精霊王リエントは、足元の更に深くには何があるのか興味が湧いた。
足元に一筋のヒビがあったので叩き割って見てみると、そこには果てしなく広がる、灰色の塊しか無かった。
灰色の塊は興味深い造形の凹凸を持つものの、己とは異なる塊だった。色彩も持たず、風に揺らぐこともない。

精霊王リエントは退屈を感じた。
広大な地にあって、この無彩色かつ無機質な世界は何である、と。
精霊王リエントはまず思うまま、その身にある数多の色を灰色の凹凸に分け与えた。
途端に世界は鮮やかで美しいものになった。
色彩を与えられ風を受けた凹凸は、得た色彩それぞれに動き始め、風に揺らぎ、新たに精霊が宿った。

精霊王リエントは精霊達が芽吹いたいきさつを皆に話した。
精霊達はわいわいと賑やかしく自身の誕生を喜び、精霊王リエントが更に「皆、我が色より生まれしもの、我らは兄弟であり友である」と宣言すると、精霊達は更に喜び世界を駆け回り、世界は更に鮮やかに彩られ、新しい凹凸ができて造形も豊かになった。
精霊王リエントもそれに喜び、笑い、歌った。

※以降、精霊達が世界をつくりあげていく話が続く。

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