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「襲名」に思うこと

海老の絵に「襲名」とくれば、日常あまりご興味のない方でも「市川海老蔵、市川團十郎白猿を襲名」という歌舞伎界の一大イベントを連想される方もいらっしゃるかと思います。市川團十郎といえば歌舞伎界の名門中の名門ですので、色々なニュースでも取り上げられることが多かったですね。

「襲名」という言葉自体は、芸名を変えることも併せて古典芸能の世界のものという印象が強いですが、子供が親の家業を継ぐという形態自体は、ビジネスでも政治の世界でもよく見られるものです。政治の世界では、「世襲」は現在何かと批判の多い状況ですが、幼い頃から親の仕事を見て育ち、その色々な面を深く知っているというバックグラウンドには、独特の強みがあると思います。

私自身は、自営業の父の後を継がず会社勤めの道を選びました。サラリーマンの世界は世襲とは縁遠いもののようですが、長期間勤めてきて今思うと、周囲の人間とは「サラリーマンとしての前提知識」に差があったように感じる部分が多々あります。もちろん、自分が不勉強な面もありますが・・・

一方で、自営業だった父の影響はそれなりにあり、会社勤めの身にあっては「マイ・ウェイ」で進めるということができた方ではなかったかと思っています。
転職こそ未経験ですが、社内での異動回数はおそらく平均より多く、かつ「新規ビジネス」に携わることが度々あったので、上司の方の理解もあり、それまでの経験に捉われない自由な発想で「自分のやりたいように」アプローチができたように思います。新しい部門・仕事ゆえに拘束が少ない点を活かして、普段自分が違和感を感じていたことや、やってみたいと思っていたことを試行錯誤していく。
とは言え、どこまで会社に貢献できたかは何とも言えませんが(笑)。

会社として新しいことを始める時には、手がなかなか動かない人や、従来のフレームに何とか落とし込んで進めようとする人など、様々な模様が繰り広げられます。従来のフレームにはめた方が分かりやすいのでそちらで進みがちですが、どうしてもそれで進められない部分や、あえて新しい方法を模索しようという流れが出てきた時には、飛びついたものでした。

同じ部門に長く在籍してスキルを磨き、お客様との長期のリレーションを構築していく人を羨ましいと感じることもありましたが、「マイ・ウェイ」で振る舞える場を数多く持てたユニークな会社人生を送れているのではないかと、年末に歌舞伎座で観た襲名披露公演と併せて年度末のこの時にふと感じました。

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