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熱海の崖に家を建てる 施工会社見つかる!

施工会社が見つからない、と泣きをいれた記事を書いたのは昨年の9月。

いつになったら建つのだろう?
そもそも建てられるの?

皆様、ご心配をおかけしています。

おかげさまで施工してもよい、とおっしゃる会社と出会うことができました。しかも経験豊富な老舗企業。

熱海桜も見頃になってまいりまして、幸先よし。今日は前向きな話です。

熱海の崖に家を建てようと思います。
名付けて、熱海Case Study House
自腹でケーススタディしながら
今そこにある技術・アイデアを実装した
現代のCase Study Houseを目指します。
熱海Case Study House

まともに話を聞いてもらえない

見通しの悪い案件であることは、よーくわかっております。
見通しを悪くする条件がそろっておりますもの。

  • 傾斜地である

  • デジタルファブリケーションを用いた新しい工法

  • 経験の少ない若い設計チーム

基本設計がある程度進んだ段階で、そろそろ概算見積りをとらねば、、となり、VUILDさんが施工会社探しに取り組んでくださいました。
いわゆる電話作戦。施工してくれそうな100社くらいの会社リストをつくり、電話をかけまくる。クールな彼らからすると、マジか!という作業だったと思います。

中には話を聞いてくれる会社もあったようですが、チラと図面をみて「3億円です」的なあしらい。
残念ながら、ほぼ惨敗・・。ここで半年くらいスタックしておりました。

深層杭で支える

傾斜地での設計ですから、施工会社からすると、構造的な安心感がみえてないと、まともにとりあう気にはなれませんよね。

そこでVUILD設計チームは、構造設計の専門家をチームに加えました。
おそらくこれだけで1つの記事以上になる話ですが、今日は結論だけ。

建屋を3本の構造柱で支え、その間に盤を張って建屋を建てる工法です。3本の構造柱は深層杭で支えます。

ということで、深層杭に必要な深さを測るため、まずは建屋の中心点付近で地盤調査を実施。
3本の構造柱を支えるために、どのくらいの深さまで深層杭を打てばよいか明らかになりました。

奇跡の出会い

次の難関は、施工性とコストを加味した施工計画を具体化することです。この検討は、施工会社さんがいらっしゃらないと前にすすみません。

お電話作戦で惨敗していますから、普通に探しても見つからないことはわかっています。
困り果てた私たちは、土地の売買の時と同様、マチモリ不動産の三好社長に相談。

三好社長、今回も大活躍してくださり、O建設さんをご紹介くださりました。
(正式に契約できましたら社名ご紹介させてください!)

やはり、人のつながりがないと、難しい案件は先に進みませんね。。
三好社長には足をむけて寝られません。

O建設さんは、建設業としてはホテルや旅館等の建設から別荘や個人住宅の新築・リフォームまで、土木業としては公共工事から民間工事まで、また造園工事も手掛けられる、熱海の老舗総合建設企業です。

土木と建築の両方のご経験が豊富であること、特に熱海の傾斜地に慣れておられることが、私たちとしては願ってもないことでした。
奇跡的なパートナーを得た、というのが率直な気持ちです。

O建設さんに出会うまでは、道路際からクレーンを用いて杭を打ち込む工法を想定してました。かなり大がかりな仕掛けです。
ところがO建設さんは、杭打ちエリアだけ平に整地しその後埋め戻す方法をご提案くださりました。

結果、杭打ち費用が3分の1くらいまで縮小。
いやー、プロってこういうことですね!

夢のある建物を、若い人たちがどう建てていくか

三好社長に紹介いただき、熱海のO建設の事務所に本件のご紹介とご協力のお願いに伺った時のこと。一通り私たちの説明を聞いて下さった後、O社長はおっしゃいました。

「面白そうですね、デジタルファブリケーションで建材をつくるのですか。VUILDさんの工場をみてみたいな。」

そして、時間をおかず、本当に本牧の工場を見にいってくださったのです。杭の工法や見積りにもご協力くださっています。

とはいえ、老舗総合建設会社さんが本当にこの見通しの悪い本件にご協力いただけるのだろうかと心配は尽きず。

再び事務所をご訪問し、伺ってみたのです。

「どうしてご協力いただけるのでしょうか」

お願いしておいて、変な質問ですよね。あまりに惨敗続きだったので、理由を伺いたくなってしまったのです。

この私の問への回答は、とてもうれしいものでした。

デジタルファブリケーションを使って工場で切り出した建材で建物を建てるというのは、その時点でいわゆる建築家のイメージを超えているんですよね。
こうした夢のある建物を、若い人たちがどう建てていくかに興味があるのです。ぜひ実現したいなあと思います。
設計側にとっても、やりやすい案件ではないでしょう。それでも施主の意向をいかに実現するかに主眼をおいて取り組んでいる。経験豊富でないからこそ、様々なトライアルができるのではないかと思っています。

この回答は、VUILD ARCHITECTSがManifestでうたっていることでもありました。

設計者の思いが施工者を引き寄せたのか、施工者を引き寄せるように設計者が進化していったのか。こうして新しい物事は進んでいくのでしょうね。

物語がぐんと進んだ瞬間に立ち会えた、というと詩的すぎるでしょうか。

  • Collaborative / 体験をデザインすること

    • 施主の言葉に耳を傾け、理想や課題に寄り添いながら、双方向的で創造的な対話を通じて設計を行います。建築の民主化を掲げる私達は、「この建築は私達が作った」と施主に実感してもらうことを最終目標としており、施主に主体性を持って建築に参画してもらうための体験設計に尽力します。

  • Inventive / 構法をデザインすること

    • 建築の本質は抽象的な概念ではなく、手触りのある構築性にあると信じています。だからこそ私達は私達自身で生産手段を有し、作り方から着想することでデザインを構築していきます。このように私たちは「つくる」ことに立脚することで、経済性と実現性を担保しながら、プロジェクト独自の革新的な建築表現を探究します。

  • Regenerative / 環境をデザインすること

    • 快適な暮らしの実現と、地球環境の改善の両立を目指します。居心地の良い贅沢な快適性を、環境負荷を与えずに実現したい。そのために専門家と協働しながら、地域の気候風土の解析や環境シミュレーションなどを通じて、高い環境性能と環境負荷の低い建築を提案します。

  • Innovative / 仕組をデザインすること

    • 過程が変われば結果は変わる。だとすれば建築にイノベーションを起こすには、建築ができあがる過程を刷新すればいい。そのために私達は、設計と生産のデジタル化とサプライチェーンの再構築に挑みます。またこれらの実践で得た手法をシステム化し事業を通じて開放することで、建築の民主化という社会変革もたらします。

まとめ

設計、施工とメンバーがそろい、本格的に前に進める体制が整ってまいりました。基本設計も終わり、着工のスケジュールを具体化していきたいと思います。
あとはお金。これはまた落ち着いたら。
金融機関もいろいろです。

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