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アズミ・ハルコは行方不明

女性たちから鬱映画だと口をそろえて評されるのを耳にしていたためか、なんとなく観るのを渋っていた「アズミ・ハルコは行方不明」。

敬愛してやまない蒼井優が主演ということでもずっと気になっていた作品でもある。

蒼井優演じるハルコはアラサー彼氏なし低所得、地方都市の実家暮らしOL。
職場はセクハラの巣窟で、退屈で陰鬱な毎日に倦んでいる。
スーパーで元同級生と再会したのを機に、セフレのような関係になる。 

とにかくこの映画に出てくる男はホンッットウにみんなそろってクズ博覧会状態。
原作は山内マリコだと思うけれど、山内マリコどんだけ男性嫌いなの? っていうレベルなまでに酷悪な描写をされている。 
嫌いというか、そこまで劣悪な立場を強いられてるんだよってことなのかな。

打って変わって、ハタチのアイナ(高畑充希)は、「なんとなく」キャバクラで働いている。
先輩から「これからは手に職だよ! 」と脅されネイリスト修業を始めるかたわら、成人式で再会したユキオと付き合い始める。

またこのユキオが信じられないくらいの差別野郎で、「アイナあいつ顔がかわいいからまだ許せるけど、ブスだったらマジでクソだよな!!」みたいなことを言って、ゴリッゴリのルッキズムを見せてくる。

結局はハルコもアイナも男にカラダだけで捨てられ、いろんな手柄を男にとられ、男より働いても給料は雀の涙、というミソジニーの底辺みたいな場所で暮らしている。
ここがちょっと、ワザとらしいくらいなんだけど…すべてを男尊女卑に還元しすぎているようで気になっちゃったけど。

ハルコは失踪し、その姿を落書きとしてユキオたちに拡散される…という。

気になったのは最後、アイナがやけを起こして遊園地に放火するとき、ハルコが突如現れて「優雅な生活は最高の復讐である」みたいなことを説き伏せるとこなんだけれど。

たぶん一番の見せ場、もっとも作者がカッコよくしたいであろうところだったのに、なんかツギハギ感が… 

いや、でも本当急になんでアズミハルコはこんなに急に神格化されてるの…
拡散で神格化されちゃってるけど、本当はふつーのOLだよねっていう感じだったんじゃないの…
ミソジニー社会に嫌気がさして失踪したってことでしょ? 

それが最後突然女の英雄みたいになるのはなに?
んでもってなんでスペインのことわざなんて知ってんの? しがないOLがふつーいいますかね、というかしってるかねこんなことわざを…? 

この言葉自体はすごくかっこいいんだけどね、理想の生き方なんだけど、なんでこう取ってつけたみたいにしちゃったんだろう。 

とは言いつつも途中まではすごく良かったと思う。鬱屈して、つまんなくて、だるくてだるくてイライラするクッソつまんねえ生活!!っていう感じはすごくよく出ていて、蒼井優はとても合ってた。

そんななかで、ひと旗あげたろうぜええ!とかクソみたいな悪事をいい歳してやってるヤンキーくずれもすごく田舎っぽくてよかった。 

世の中ここまでひどかったっけ…と思いながらも、ところどころ、ああわかるな、こういう人いるな、ということがあった

それにしてもあらためて、ホントジェンダーギャップをなんとかした方がみんなのためになるよ、日本、という気持ちになりました。 

むすがしいね〜

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