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土と鉱物 焼き物に魅了された陶芸家 大森準平 

at:10 vol.001 「パラダイス、内包する記憶」に参加していただいた作家が、作品とどのように向き合ってきたかを聞き、作品の持つ価値を探っていこうと思います。

大森準平は、1979年愛知県名古屋市生まれ。京都精華大学芸術学部で陶芸を学び、ある博物館で縄文土器のなかでもより装飾的な火焔(かえん)土器を見て衝撃を受けて以来、「縄文」をテーマとした作品を制作しています。

近年では2019年にスイス「Art Barsel」への参加、2020年に個展「解放と構築」(MEGUMI OGITA GALLERY)など、国内に留まらず国外でも評価されています。

大森準平は、陶芸家なのか彫刻家なのか美術家なのか?
彼の作品と対峙していると、大森準平その人が作品でやろうとしていることの情報と質量の多さに圧倒されます。

彼の作品にはどのようなコンセプトや価値が込められているのでしょうか。


もの派からの影響と、物質との対話

大森氏と最初にアートの話をしたのは『もの派』という、1970年代日本にあったアートの流れがきっかけでした。
『もの派』の中での、イメージと物質の乖離について多く語ってもらった記憶が鮮明に残っています。

『もの派』を代表する作家、関根伸夫は「概念性や名詞性のホコリをはらってものを見る」と言い、物質そのものや行為そのもののエネルギーを浮き立たせようとし、李禹煥は「あるがままの世界との出会い」と言い、観念と物質を超えた自我の外側の世界を見ようとしました。

彼らのように『もの派』はイメージやコンテキストからアートを生み出すのではなく、マテリアルや行動そのもののエネルギーからアートを見出そうと試みています。

大森氏の作品制作プロセスを辿っていくと『もの派』がなそうとしていた行為と重なるところがあると感じました。
コンセプトから生み出されるアートの価値ではなく、物質そのもののエネルギーから価値を紡ぎ出す行為が、焼き物のプロセスの中にあると、大森氏自身も語っています。

「砂の状態から造形に昇華されていくプロセスに魅了されていく。物質そのモノの強い力をどのように造形に昇華できるのか、そのプロセスで鉱物を選び、鉱物の分量を測り、窯に入れて化学変化を起こさせ、毎回実験している感覚で造形物に仕上げていく。焼き物に携わると虜になるのはその点が大きいと思っている」

大森氏の頭の中から生まれてくる不思議な造形は、土や砂、鉱物との対話そのものを感じることができるものであり、様々な造形と質感が組み合わさった今回の作品から、大森氏が素材と対話してきた痕跡を多く視ることができます。

「縄文」をテーマにした火焔土器のシリーズ


内包する記憶の再構築『Interfusion series 2022』

「今回の作品は、素材と頭の中にある造形を実験しながら制作した。ある鉱物の分量を比率を変えて混ぜ合わせ、焼くとどんな表情を見せるのかの実験。立体構造のパターンを変化させていく実験。
その組み合わせは無限大で、物質として魅力をさらに練り上げていった」

「これまで制作してきた作品だけでなく、造形として取り組んできたが、うまくいかなかったモノがスタジオに多く残してある。失敗したモノでも、捨てることができずに自分の生み出された一部として残していた。
今回は、今まで生み出してきた造形の記憶を新たに再構築して新たな作品にしていった」

記憶をテーマに制作された『Interfusion series 2022』はこれまで大森氏が作り続けてきた頭の造形の記憶を呼び覚まし構築された作品。
色や形、様々な鉱物が混ざり合い、不思議な調和をみせる作品群は、彼の陶芸家として、砂と焼き物に向き合い続ける生命のような作品になっていると感じました。

大森氏のラフスケッチ。形が言葉に、言葉が形に。イマジネーションの進行形が垣間見れる。
京都に在る大森氏のアトリエ。光の色のエネルギーに包まれる空間。


マテリアル、エネルギー、宇宙の連鎖

「僕にとって、圧倒的な砂というマテリアルのエネルギーと向き合い続け、頭の中に浮かぶ造形を焼き物にしていくプロセスは、宇宙と繋がっていくことにもなる」

砂や土というマテリアルに触れ続けることが想像の原動力になり、作品として生み出されています。
マテリアルとの対話と想像の世界を感じることができる、大森準平の作品を、ぜひ体験してください。

『Interfusion series 2022』
左から「花の下の石」「8種の静寂と色」「フレームと背景の関係」「複雑な沈黙と形」
『Interfusion series 2022』
上「stem foam splash」、下「tube sky important」

re collection −パラダイス、内包する記憶−

2022年7月8日(金)正午〜7月19日(火)正午
期間限定オンライン展覧会

大森準平 陶芸家
小田切 真由美 mamerucu
坂井規予 nokos à l’étage

https://at10.online/exhibition/001/