見出し画像

孤高のトリプルコーク1440

小学校の卒業文集に書かれた将来の夢

スノーボードとスケボーで世界一になる

その少年は10年後夢をつかむ

北京オリンピック
スノーボードハーフパイプ決勝

既に銀メダル以上を確定した中での
最後の滑走

それでもこだわり続けた
史上最高難度の大技
トリプルコーク1440

完璧な空中姿勢と完璧な着地

あまりの美しさにテレビからは
何も聞こえてこない

わずかに響くのは
氷を削る滑走音だけ

ゴールした瞬間
静寂は歓声に変わった

すぐにボード外し
空高くボードを掲げた

平野歩夢

念願の金メダルが彼を待っていた


ここまでの道は平坦ではない

平昌オリンピックで
2度目の銀メダルを獲得してからも
ずっともがき苦しんでいた

東京五輪で出場したスケートボード
周りからの反対を押し切る形で出場していた

親和性がある競技ではあるが
スケートボードに集中することで
スノーボード特有のフォームが崩れる
ジャンプの感覚が変わってしまう

平昌のメダリストが
北京出場さえもあきらめる結果になる

誰もが
無謀すぎるチャレンジだ
そう思っていた
私もそう思っていた

それでも貫き通した

小さなころの夢
スノーボードとスケートボードで世界一になる

コロナでの1年延期
練習もままならない中での東京五輪出場
不本意ながらも予選敗退を喫した
現実の厳しさを突きつけられる

北京に間に合うのか
半年でフォームを戻せるのか

激しい葛藤はあったはず
想像を絶する努力があったはず
しかし
そんな姿は少しも見せない

どうしてもやりたかったんだ
今までは誰かに勝たないといけない!と感じていたが
自分がどこまで行けるのか?という挑戦がしたかった

今ようやく小さいころの夢が一つ叶った
やってきたことを出し切れた

スコアボードに記録が刻まれている
1 JPN HIRANO AYUMU 96.00 BEST SCORE

笑顔で表彰台に向かう彼がいた

written by Kaz Okayasu


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?