見出し画像

縁側住人3人目「まっすぐな人」 ~ 後編 emiさん ~

このインタビュー記事は、
人と人とをつなぐ文筆家 二足のわらじに挑戦中の
“アスノコトノハ”が、
Voicyパーソナリティー 小川奈緒さんの元に集う
魅力的な皆さん(縁側の皆さん)の一ファン
として、書いています。
 
縁側の皆さんの魅力が少しでも伝わり、
お互いのファンになれたら、
誰かの新たな一歩を応援できたら
そんな願いを込めてお届けします。
 
記事を読んでの感想、リクエストなど
ぜひどしどしお寄せください。
私も取材して欲しい。
あの人のことが知りたいという
リクエストにお答えしながら、
縁側の活動がもっと魅力的になればと
願っています。
 
     アスノコトノハ

闘病から壮絶な不妊治療。
持っていると気づいたモノと諦めたこと。
苦しい選択を重ねて、今を生きる
emiさんを書いた。
後編は仕事への思いとこれからの夢。
噂のお相手についても語ってもらった。


仕事

新卒から20年以上、高齢者介護の道一筋に
歩んできた。大好きな母がする祖母の介護を
きっかけに、大学での学びたいと
考えるようになる。

介護は、「家事の延長」「嫁の仕事」の
イメージのせいで母は苦労した。
介護を看護のように専門職の仕事として
成り立たせることで助かる人がいる。
家族同士は一定の距離感を保つことで
良好な関係を保てる。
ただ、介護は治療ではなく暮らしの場であり、
高齢期の暮らしの専門家になりたい。
そんなことを思って始めた仕事。
現実は理想だけでは語ることはできないが、
今でもその志は変わっていない。

高齢者介護の魅力を聞いた。

「単純にお年寄りが好き。敬意と親しみが
あるからこそ、日常の中でほっこりとした笑いを
共有し合えることが何よりの喜びです。
意思疎通が難しい方でも、
こちらがしてあげることばかりではなく、
こちらを気遣ってくださることも多いです。
お互いのやり取りから相手の力が引き出せた時に
喜びを感じます。
地味なことですが、こういう積み重ねが
できることが介護の醍醐味の一つです。
もちろんしんどいこともたくさんありますが、
人の温かさに直に触れられる、
それは私にとってはこの仕事ならではの
ギフトです。」

Emiさんの普段の様子が分かるエピソードを聞いた。
ヘルパー時代、認知症のある100歳の女性宅へ
入浴支援の訪問していた時のこと。
高い確率で「入浴しない」と言う彼女がその日、
全く動いてくださらない。ふと思いつき、
emiさんも布団の横の畳に私も寝そべってみた。
上から言われたら嫌なのかも、
目線を揃えるとどう言われるかと思ったそうだ。
するとその方は、むくりと起き上がり
「あんた、どうしたんや。
いつもうるさいくらいに元気やのに。
具合悪いんか。」と。 驚いた。
自分を覚えて認識してくださっていたことに。
もう一つは心配してくださったことに。
当たり前だが、その方も母として子育てをしたり、
色々な役割を持って活動しておられた。
何もできないと決めつけてはいけないと
自分の未熟さを思った。

現場では色々な方から、
たくさんのことを教えてもらった。
食事を共にしながら、魚の骨の取り方や、
季節の食材や調理法、散歩に出かけた道端に
咲く花の名前や地域の昔の様子。
あるときは、「口のきき方」についても。
その話し方がユーモアたっぷりに
上手に話してくださる方が多く、
そこに人生の経験値を感じるものだった。

私や私の家族、大事な人が介護に必要になった時、
emiさんが指名できないだろうかと考えてしまう。

それが仕事だからとは言っても、
「人と人とのつながりを大切にする。」
私の仕事とも共通する、大事なエッセンスだ。

今は、現場から離れ、
組織の労務管理や運営に関わることをしている。
色々あってもご縁を感じ、
「置かれた場所で咲きなさい」を胸にやってきた。
けれど今は、それでいいのかなと、
疑いはじめている。

組織に属しているからこそできることもある。
でも、役割だけの時間が続くと、
本来の自分の思いとの乖離が
辛く感じることも増えた。
仕事である以上、仕方ないことも分かる。

でも、自分がやりたいことを
もっとシンプルに考えた時、
組織にとらわれなくてもいいのではないかなと
最近は考え始めた。
まだ具体的には形にできていない。
でも本当に困っている人に、
自分のやってきたことが届くような、
何かができないか。
Emiさんは試行錯誤を続けている。

これからの夢
「漢方と薬膳の講座を勉強し始めました。
子育てはできなかったけれど、
両親のために自分が興味を持って信じることで
役に立ちたい。介護現場でも、
「自然な流れ」「本来の自分の力」
「家族や大切な人との繋がりの力」
の強さを感じる場面にたくさん出会います。
老いてできなくなったことを補うだけではなく、
それを受け入れ、今までとは違うけれど
そのままでも楽しめる人生、
そんな暮らしを実現させたい。」

今までを見直して「これがいいんだ」
と言えることをやりたいというemiさん。

風の時代に身を任せ、自分の感覚を信じて
何かが見えてくる気がしている。
縁側の皆さんとの繋がりはその象徴。
楽しみたい。と答えてくれた。

お相手
これを聞かないわけにいかない。
今の夫さんの存在だ。
どんな出会いだったのか聞いてみた。

「特にドラマチックなことはなくて。
色々なことがあったが、タイミングが重なった。
「このままで良いか」に違和感を感じ、
相手に伝えたら同じように結婚したいと
思っていたようです。
何度か私にアプローチして玉砕したと
認識されていました。
私はまるでそんな覚えはなく・・。
話してみるって大事ですね。」

なかなか天然なところもおありな様子。笑 

夫さんは、良くも悪くも素直で無邪気、
言動に嘘を感じないので信頼でき、
基本的にいつも機嫌のよい人。

Emiさんのことを
「しっかりしてるかと思えば、抜けている。
会話の中の言葉の選び方が面白い。
可愛らしい人。」と言われたそうだ。
愛されてますね♥
8歳年下を意識することもなく、
互いに素でいられる関係だ。

最後に
こうと決めたら、それを貫くemiさん。
今でも語られる4歳の頃のこんなエピソード。

夜勤で不在の母にぐずるemiさん。
大人たちは「そのうち帰ってくるから、
もう寝なさい。」と嘘をついた。
帰ってこない母に剛を煮やした4歳の彼女。
懐中電灯を持ち、黙って母を迎えに行った。
会社まで車で10分。
家族とご近所総出で捜索され、
2キロほど離れた道端で発見された。

4歳児の足で。
電灯も無い田舎の道を。
てくてく怖がりも泣きもせず。
見つかってからも「母を迎えに行く」
と言い張った。

トトロのメイちゃんを思い出す。
なんともいじらしく泣ける。
やっぱり一直線。
愛する母に会いに行ったのだ。
母への愛を求め叶わなかった思いを、
介護の現場で発揮した。

なかなかうまくいかないことが多い人生。
それでも「人生、捨てたもんじゃないよ。」
と背中を押された気がした。

実は私、今回ほとんど文章を書いていない。
というのもメッセージのやりとりの中で、
もう文章が完成されているものがほとんどだった。
言語化がされているのだ。見事に。
このままご本人がnoteに出したらいいんじゃないか
とも躊躇したが、私のemiさんの人物紹介として
出させていただくことにした。

介護と教育という違いはあれど、
「生身の人間を相手にしている仕事」という
点において、emiさんは同じ課題に向き合っている。
私も違和感を覚えつつ、
葛藤を抱えながら仕事をしている。
Emiさんの試行錯誤に私も共感もするし、
刺激ももらった。

Emiさんの 明るさを、
      まっすぐさを、
      優しさを、
      厳しさを、
      愛を、
      考え方を。

自分も悩んだ時に指針の一つにしながら、
自分の在り方を見つめたいと思う時間だった。



前編はたくさんのスキ!をいただき、
ありがとうございます。
後編も。これ以降のnoteも。
どうぞこれからも読んでやってください。
感想もお待ちしております。

  アスノコトノハ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?