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ザ・スタンド/スティーブン・キング

スティーブンキングのザ・スタンド、1994年製作の映画をDVDで借りて見た。
これは小説も長くて四冊あった気がする。いや、今調べたら五冊か。
DVDも前後編2枚に分かれており、それぞれ二話ずつ収録されていて合計6時間の長い作品!

カリフォルニア州の細菌兵器研究所から有毒な細菌が流出し、逃げ出した門番によってウィルスが拡散してしまう。
強力なウィルスは瞬く間に全米に広がり、感染した人々はあっという間に死んでゆく。
そんな中で奇跡的に生き延びたごく少数の人たちは、夢に現れるマザー・アバゲイルに導かれ彼女の元へ集まる。
彼らはコロラド州ボールダーに共同体「フリーゾーン」を作り、そこで力を合わせ生活を営み始める。
一方、闇の男ランドル・フラッグはラスベガスに拠点を置き、悪の勢力を作り出す。

とんでもなく強力なウィルスが全世界に広まったら、、、という、あり得ないとは絶対言い切れない出来事が発端だ。
物語の経緯は、聖書の内容を思わせる展開。
闇の男が疫病を連れてやってきて、対抗する者たちは、聖なる犠牲によって悪の拠点に業火をもたらし、守られた地の人々を生かす。

流れがどうあれ、その中には人間ドラマが無数にあるわけで。
私は中でも、聾唖者のニックと知的障害を持ったトムが好きだ。
なんと言っても、最初のこの二人の出会いが面白くも大変で。ニックはトムに、自己紹介しようとするがトムは字が読めないのでなかなか通じない。旅の途中までトムはニックの名前を知らないままなのだ(^_^;)。
ニックは非常に賢くて、こんなに意思疎通が難しいコンビでありながら辛抱強くトムとの友情・信頼関係を築いていく。
互いに不完全な身障者をあえて出会わせるあたり、如何に困難な道行きでも人間は心通わせることができるのだという、暖かな気持ちにさせてくれる。
ニックは物語半ばで爆弾を防ごうとして亡くなってしまうが、残されたトムの夢に度々現れては仲間を助けるため手助けの指示を出す。

障害がありながら純朴で明るいトムは後々スパイとして敵地に潜入し、指示されたことを忠実に守り脱走に成功。帰還途中、骨折してベガス行きをリタイヤせざるを得なかったスチューを見つけ、彼を救出し連れて戻る。
映画ではさくっとその過程が流れたが、小説ではトムとスチューがボールダーへ戻るまでは大変な時間と、並々ならぬトムの介護努力があった。
スパイ任務のためというより、スチュー救出のためにトムは存在したのだろう。

夢の中のニックは喋れるし聞こえる。
小説の中でトムは、夢で聴いたニックの声を「とても良い声だ」と言っている。
現実で身体の不具合があっても、夢の中ではどこも具合の悪いところはなく、自由に動けるのだ。
それってわかるなぁ。
私も夢の中じゃ、メガネなんか要らないし 遥か遠くまで見通せる。
難聴の耳もクリアに聞こえる。

何故短いエピソードにこんなにも共感するのだろう?と自分でも不思議だが、キングは些細な部分に現実では補えないものの夢を見せてくれる。 それが一層心を傷つけることもあるが、幸せにもさせてくれる。私の場合は後者だ。

闇の組織を従えるランドル・フラッグは、以前見た映画「ヒッチャー」のジョン・ライダーによく似ている。外見が特に。
奴は普段人間の体をしているが、激昂すると正体を表す。側近たちはランドル・フラッグが人間でないことを知りながら従っている。

皆がうまくやっていこうとする中で、不満を募らせ裏切る者もいれば、一時は闇の男に惹かれながら、正体を知って自ら死を選ぶ者もいる。
仲間組織の機密を守るため、殉職する者も多数。
自分がどの道を選ぶかは、その場に立ってみなければわからない。
酷い病魔が齎した災厄。そこから辛くも死を免れた人々が闇の組織と闘い、生活を復興し、子孫を育む、長い物語である。

肝心なことを書き忘れたので追記!( ̄▽ ̄;)
この映画には若きスティーブンキング本人がかなりの割合で登場する!
フリーゾーンボールダーに集まる人々の群れの中に、ナディーンと一緒の車で来るんだったかな?
キング本人のお姿を間近?に見れて、すごく嬉しい限り!(*≧∀≦*) 長身でカッコいいのだ!
ぜひぜひ、原作者の姿を皆さんにも見てほしい。(//∇//)

書籍の表紙より。マザー・アバゲイル。
美女ナディーン。闇の男に魅入られ、ボールダーからベガスへ行く途中。裏切りを繰り返しながら。

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