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瞳は鋼の強さがある

 わたしが唯一、人に優っているともいえるのはこの視力である。今年の身体測定でも2.0だった。裸眼である。子供の頃から本はよく読むほうだったし、お世辞にも姿勢はいいとは言えない、布団の中で隠れてゲームをしたことは何度もあるし、親がいない時には部屋を真っ暗にしてテレビを見たことも数えきれない。それでも視力が落ちることはなかったのだから、多分本当に人よりも丈夫なんだと思う。

 中学くらいになると、周りの同級生達の視力は一気に落ち始める。それでもわたしの目は衰え知らずだった。が、思春期とは不思議である。心のどこかで目が悪くならないかな、という期待を持つこともあった。それは、視力検査の際に、「えー!わかんなーい!見えなーい!」という同級生達の後ろで、余裕で1番下まで見えていたものの、同じように「見えなーい」と可愛こぶってしまったことが原因だろう。本当は2.0は余裕だったけど、その年の視力検査では0.5とかだった。今までついた嘘の中で1番しょうもなかった。親は心配して、メガネを作りに行くか?と言ってくれた。そのメガネが一切役に立たないだろうことは、わたしがメガネ屋よりもよく知っている。そして、適当に、「もう少し目が悪くなってから考える」とごまかし、翌年からはふっきれ、わたしは自分の瞳に自信を持つことにした。

 未だにパソコンをどんなに使っても、夜中毎晩スマホで携帯小説を読み耽っても、視力が落ちる気配はないものだから、ずっとこのままいろんな景色を自分の目で、何のフィルターを通さずに過ごせるといいなと思う。

 視力に関するエピソードはまだありそうだから、気が向いたらまた書きます。ここまで読んでくれてありがとうございました。

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