Dishonoredでお前は選択を迫られることになる

お前は今、船に揺られながら、国へと戻ろうとしている。

仕える者へ、諸外国の返答を携えて。

お前の名は、コルヴォ・アッターノ。

諸島帝国を治める、ジェサミン・カルドウィンに仕える王室護衛官だ。


お前は今のことを知らなければならない

お前の戻ろうとしている帝都ダンウォールは黄昏の時を迎えている。

かねて問題視されていた貧富の差、更に突如発生したネズミがもたらした疫病により、出鱈目なまでの勢いで帝都は破滅へと突き進んでいる。

予防薬はあるものの、買えなければウィーパーという感染し、ゾンビのように成り果て、他者に襲い掛かる獣と成り果ててしまう。

そんな国の帝都に、お前は舞い戻ったのだ。

諸外国の、疫病で苦しむ貴国を助けることはできないという返事と共に。


お前は逃げ出さなければいけない

お前は返事をジェサミンに聞かせたがその直後、得体の知れない暗殺者たちに襲われる。

その暗殺者たちを一度は退けたものの、謎の力により拘束され、お前の目の前でジェサミンは殺され、彼女の愛娘のエミリーも攫われた。

全てが過ぎ去った後を見られてしまったお前は、女王殺しの汚名を着せられ、牢獄へと叩きこまれるのだ。

そして半年間、お前はやってもいないことで、拷問にかけられ、その果てに極刑を処されることになる。

その極刑が決まった時、ジェサミン亡き後摂生伯爵となったかつての王室間諜、バローズがお前の牢獄を訪ね、こう言うのだ。

「ジェサミンを暗殺するよう指示したのは私たちだ。お前は運悪くその場に居合わせただけにすぎない」と。

お前はその後、謎の人物の手助けにより、牢獄を逃げ出すこととなる。

復讐のために。


お前は『奴』から力を与えられることとなる

逃げ出したお前は、お前を逃がした者たちと出会うことになる。

バローズの支配を終わらせ、正統なるジェサミンの後継者、エミリーをこの国の中心に据えるため集まった王制支持派のメンバーだ。

そのアジトで眠りについたお前の前に、ある存在が現れる。

アウトサイダー、超常の能力を与えるもの。

奴はお前の手に奴の印を刻み、お前に超常の能力を使えるようにする。

壁の向こう側を透視する力、瞬間移動、疫病を抱えたネズミをけしかける力、あるいは憑依。

しかし、勘違いしてはいけない。

奴はお前の復讐を肯定しているのではない。

奴は多くの者に力を与えた。

それは、その力を持ったものがどう行動するか見たいからだ。

その力で善を成そうが、悪を成そうが、成功しようが破滅しようが奴にとっては全て娯楽でしかないのだ。

だから気を付けよ。

虚無に近づいた者は虚無に取り込まれるしかないのだ


お前は選ばなければならない

お前は遂に、復讐へと乗り出すこととなる。

お前は多くの装備を手に入れる。

折りたためる剣、ピストル、音もなく殺せるクロスボウ、手りゅう弾、あるいは地面に仕掛ける罠。

だが、お前はそれを使うかどうか考えなければならない。

お前は今、ダンウォールに混沌(カオス)を齎すか否かの分かれ道に立っているのだ。

お前は多くの経験を積んできた。

背後から近寄り、お前を捕らえんとしている衛兵の命を容易く奪えるだろう。

お前の持つボウガンは、遠距離から無音で衛兵の頭を撃ち抜くことが出来るだろう。

あるいは、そこらに落ちてる瓶を投げつけ、一か所に集まった衛兵たちの中心に手りゅう弾を投げ込み、一網打尽にすることが出来る。

そして、お前を陥れた者たちの命を奪う。

だが、そんなお前の姿を見て、ついていきたい、助けになりたいと思うものが何人いる?

復讐鬼に成り果て、多くの命を奪うお前の姿を見て、お前の仲間たちはお前を恐れるだろう。

衛兵たちの話を聞け。

彼らは仕事の愚痴を言ったり、あるいは弱い者いじめをしたりしているかもしれない。

しかし、中にはジェサミンの政治的手腕は評価できなくとも、彼女のことを好いている衛兵もいる。

そして、職務に燃え、ダンウォールの住人を不安がらせるお前を早く捕まえたい衛兵もいるのだ。

彼らはお前がどんな事態に巻き込まれているか知らない。

お前のことは、女王殺しの脱走犯としか知らないのだ。

だが、お前はそんな彼らの命を奪うのか?

言ってしまえば、彼らはお前をはめた者たちの手下だ。

だからといって、それだけでしかない彼らの命を容易く奪ってしまうのか?

そして忘れるな、この地に蔓延るネズミたちのことを。

奴らはお前が殺した犠牲者の死体を喰らい、鼠算式に増えてゆく。

そのネズミに襲われ、ウィーパーへとなる犠牲者も鼠算式に増えてゆく。

仮にそんな道の果てにエミリーを救えたとして、お前のその姿や、彼らの話を聞いて、良い影響を与えられると思うのか?

お前が復讐に狂った果てに待つのは、混沌に満ちた血塗られた未来しかないのだ。

だが、もう一つの道がある。

お前はそこでは苦労することとなるだろう。

お前は犠牲者を少なくしなければならない。

暗殺はご法度、お前を陥れた者たちですら、殺してはならない(その代わり地獄の責め苦を味わうか、表舞台から姿を消すこととなるが)。

気絶させた衛兵を地面に放置するな。

ネズミは衛兵を生きたまま食らいつくし、増えてゆくぞ。

感染者や不要不急の移動を妨げるために設置された光の壁や、監視砲台を狂わせ衛兵を殺してはいけない。

それらもいずれお前がやったことだと仲間にバレるのだから。

闇に潜み、素早く行動し、命を奪わず、復讐を成すのだ。

お前は地獄のような日々を過ごした。

仕える主を殺され、その娘は攫われ、濡れ衣を着せられ、拷問にかけられた。

だがお前は、それでも、高潔にあり続けるのだ。

その姿にお前の仲間は希望を見出す。

エミリーもお前の様に成長してゆくだろう。

お前はダンウォールに救いと光を齎すことが出来るのだ。


お前は選ばなくてはならない。

ダンウォールに混沌と破滅を齎す復讐鬼に成り果てるか?

高潔なる王室護衛官として、ダンウォールを救うのか?

道は、どちらかしか選べないのだ。

《完》





おまけ 終盤をプレイしていたころの俺


「うぉおおおおおおおおおお邪魔じゃお前らあああああああ!」

「多すぎるんじゃお前らあああああ!トールボーイ(竹馬みたいなのに乗った敵)の弱点はどこにあるんじゃああああああ!」

「おるぁ!手りゅう弾!散れ!」

「終盤まで殺さないように頑張ったからカオス値低いから殺し放題じゃああああああ!」

「1ステージで20人30人くらいやっちゃったけどカオス値まだ低いからOK!!!!」

「待ってろエミリーぃぃぃぃ!今助けに行くからなぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!」

《完》