占星術で時期予測するマニュアル:結婚編

占星術を使った時期の読み方をいくつかのテーマで書いていくつもりです。まずは人生の一大イベントである結婚のタイミングを題材にしたいと思います。事例として扱うのは、出生時間がわかっている戸田恵梨香さん。最近でもないですが、昨年末に結婚を発表されました。

まずはネイタルで基本を確認

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ホールサインハウスを使用しています。現代占星術ではプラシーダスが流行しているので、馴染みのない方も多いと思いますが、読み方の要領に大きな違いはありません。

ホールサインハウスでは、1ハウスはアセンダントがあるサインになります。するとMCが10ハウスでなく、9ハウスや11ハウスに位置することもありますが、そのときはMCという社会的看板にそのハウスの意味合いが加味されることになります。この場合、MCは11ハウスなので、仕事としてグループや先進的な活動に関わる傾向があるということになります。

夫を示す太陽は8ハウスにあり、うちに籠るような印象。
戸田さんの結婚相手の松村桃李さんは、父親が大学の心理学の講師だそうですが、8ハウスには深層心理に関係があるので、そのような雰囲気を受け継いでいるかもしれません。
そして、獅子座にあるので、芸能人のような職業はフィットするし、趣味や遊ぶことに熱心というイメージになりやすいでしょう。

結婚相手の性質、タイミングとしては7ハウスが重要ですが、ハウスは蟹座であり、金星が在室しています。
金星は華やかさや、物質的に豊かさがある相手。
金星は、月、海王星、火星と活動サインのグランドクロスを作っていて、パートナー選びには積極的であり、拘りを持ちやすく、海王星が含まれていることも考えると、パートナーに夢や幻想を抱きやすくなります。

蟹座のルーラーの月は10ハウスにあり、パートナーは社会的に成功している人物であり、パートナーを通して自分の地位の向上にもつながりやすいという配置になります。

結婚のタイミングを読む上での重要項目は、女性のチャートの場合、夫を示す太陽と、7ハウスにある天体、そして、7ハウスのルーラーです。

これらの天体がアスペクトを形成するタイミングを読むことになります。

この人の場合は、太陽、金星、月を中心にチェックするということです。

三重円を表示しよう

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タイミングを読むときは、三重円を表示します。
内側から、ネイタル、プログレス、トランジットの順番です。

セカンダリープログレッション、進行図は、その人の個人的、内部的な動機の推移を表しています。つまり、人生のある時期に、どのようなことに興味を持ち、欲求しているかということを見ることになります。

一方、皆と同じ時を共有しているトランジット図は外界からの影響を表し、他者や社会などと関わるときにもたらされるチャンスを示します。

プログレス図の内部で作られるアスペクト、プログレス天体からネイタル天体へのアスペクトは、内面、欲求の発生に強く影響します。

トランジット天体からプログレス天体へのアスペクトは、その時々の動機への影響を示し、トランジット天体からネイタル天体へのアスペクトは、その人の変わらない基本的性格への影響を表すことになります。

ホロスコープによる時期予測においては、プログレス図の内部のアスペクト、プログレスからネイタルへ、トランジットからネイタルへ、そしてトランジットからプログレスへ、の全てを考慮します。
オーブは1度以内のものが有効です。太陽と月を含むアスペクトのオーブは、1プラス1/2度になります。

プログレスの太陽と月

プログレス図では、1日1年法という方式が採用されています。生まれてから1日後のホロスコープが、誕生から1年後の内面的状況の推移を表しているということになります。

そうするとトランジットで月は1日に約12度、太陽は約1度移動するため、プログレス図では、月は1年で約12度、つまり一月で1度、太陽は1年で約1度移動するという比較的スローな動きをします。

目的意識を示す太陽は、9ハウスにあり、遠いところを目指し、旅をするように探っている状況ですが、月は12ハウスにあって、世間から隠れようとする心境にあります。

太陽は乙女座の終盤の数え26度にあり、結婚や対人関係を意味する天秤座という次のサインに入る準備段階にありますから、結婚に意識が向きやすい時期ではあります。

太陽は結婚を意識しつつ、月は陽のあたる場所での活動から降りたがっていますから、時期としては適切なタイミングということです。

4年程後には、プログレスの太陽が天秤座そして10ハウスに入りますから、結婚相手との関係を仕事の場で生かしていく機会も増えます。

トランジットを読む

特徴的なのは、1ハウスに木星、土星、冥王星があって、自己管理、そして改造の時期にあります。1ハウスのウエイトが重く、負担も大きいですが、主体性はとても強力です。

牡羊座のルーラーを火星ではなく冥王星に当てはめると、4ハウスの家庭に関わることで1ハウスの自己を変革するタイミングにあります。

アスペクトのチェック

まずは太陽のアスペクトから見てみます。

プログレスのディセンダントがネイタルの太陽にコンジャンクション。
ホールサインハウスにおいても、ディセンダントは7ハウスの最も強い感受点であり、タイミングの計算に寄与します。

プログレスにおけるアセンダント、MCは1年で1度程移動します。このケースでは、現在戸田さんが住んでいると思われる東京にリロケーションされた図ですから、出生地の神戸でプログレス図を作成した場合には、このアスペクトはできません。つまり、プログレス図は現在位置で作成すべきといえます。

プログレスの太陽が、ネイタルとプログレスの土星、天王星のコンジャンクションに対してスクエア。
太陽=夫ですが、土星は形に落とし込む作用で、関係にけりをつけることになり、加えて天王星には突発性がありますから、結婚に踏み切るときに衝動的に決めた、ということも考えられます。

トランジットの太陽は比較的動きが早いので、タイミングを細かく見ることができて、イベントのトリガーにもなります。
トランジットの太陽は、プログレスの月にコンジャンクションです。
加えてトランジットのノースノードもコンジャンクションですから、パートナーとしては未知の、新鮮な刺激をくれるのではなくて、馴染やすく親しみ深い関係に入るということを暗示しています。ノードはカルマ的な深い縁を示すという意見もありますが、占星術の文脈では、そもそもカルマとはなんであるかという定義が不明です。ちなみにプログレスのヴァーテックスがネイタルのサウスノードにコンジャンクションしていますが、ヴァーテックスもまた縁、或いは運命に関係すると言われています。

次に金星。
ネイタル7ハウスの金星に対し、4ハウスのプログレス火星がスクエア。
家族に関することに積極的になり、華やかなパートナー像を刺激しています。
トランジットの天王星はネイタル金星に対してセクスタイルで、結婚へ勢いを与えるという意味にもなります。また、トランジットの金星はネイタルの太陽にスクエアになっています。

最後に月。
先に書いたように、プログレスの月はトランジット太陽とアスペクトを形成。
加えて、トランジット火星が、4ハウスからトラインを作っており、結婚のタイミングとして、強い刺激になっています。

加えて、トランジットの月は、この日ネイタルの月を通過しているので、いくつもの指標が、この日に結婚発表が行われることを指し示しています。

プログレスとトランジットの意味合い


トランジットが万人に共有されている、外界からの影響を表しているのに対して、プログレスは、個人の内面的な動機の推移を表現しています。
プログレス図においては、一ヶ月で12度進む月を除いて、天体はゆっくり移動していきます。
つまり、プログレス図とともに形成されるアスペクトは、内面的な動機づけを、比較的長い時間保ち続けることになります。
このように継続された心理的基盤をもとにして、トランジット天体からもたらされる、外界からの機会、チャンスが出来事を引き起こす指標になるのです。

相対的に動きの遅い、いわゆる外惑星の、木星、土星、天王星、海王星、冥王星のトランジットは、長期の影響を外側からもたらすため、これも天体配置が意味する機会を提供し、心理的に方向付けることになります。

このように準備された状況において、トランジットの太陽、火星は、具体的な出来事、行動が行われるタイミングのトリガーとなります。
このケースでは、結婚発表がなされた時期に、トランジットの太陽と火星がともに正確なアスペクトを作っていました。

天体の意味合いからいうと、太陽は人生全体、或いは立場、名誉に関わることのトリガーになり、火星は事故や、トラブル、男性に関わるイベントのトリガーになることもあります。

まとめ

このように、三重円を作って、お互いのチャートを見比べると、重要な出来事が起こるときには、複数の正確なアスペクトが形成されているということがわかります。

プログレス天体や、トランジットのトランスサタニアンからのアスペクトは、相対的に長期間持続しますから、これらの影響が大きなイベントを引き起こす準備的な要因になり、火星以下の動きの早い天体のトランジットが、具体的な出来事の発生のトリガーになるということができます。

長期に渡って継続する天体の作用が、如何なる状況を準備しつつあるのかを示すわけですから、実際の予測の現場では、この項目をもとにリーディングをするべきでしょう。

事後的に見れば、ピンポイントのタイミングがチャートにはっきり表れていることを確認することはできますが、やはり大切なのは、全体の時期的な状況をしっかりと把握しておくことです。

今回のリーディングでは、トランジット天体からプログレス天体へのメジャーアスペクトを含めて読む方法を使いましたが、マイナーアスペクトも含めて読み込んでいくという手法も、別の事例を用いて書いてみたいと思います。


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