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デジタリアンの大斎 - 小室哲哉という凡人について

と言う事で前エントリと対になる小室哲哉のどうにもうまく行ってないリリースを抜粋したりでっち上げたりする裏枠です。最初にキツめに方針を提示しておくとメンバーまで「売れなかった」とぼやくほどのH.A.N.D.みたいなところまで突っつくつもりはありません。単に何らかの意図でリリースされてるけど粗の部分に誰も触れてこなかったのでそれはさすがに冷静になろうよ、みたいな部分に振れていく感じです。
小室哲哉が好きなのか嫌いなのか、と言われても「そんな話はとうに終わっていますよ」、という返答になります。

表ダメダメ

恋しさと切なさと心強さと - 篠原涼子 with t.komuro

マジかと言われるかもしれないけど僕は大マジです。この曲、音数少なすぎません?何もやってないちゃいます?なんか前のエントリの最後にすごい熱量で語ったことと同じ評なんですけど、こっちは曲淡泊すぎるんですよ。なんか戦略的な部分が……申し訳ないけどこれに関してはそれを言わざるを得ないので、その戦略的な部分がどんどん前に出てくるイメージです。今聴いててもやっぱペラいし、曲の構成の間もなんか、継ぎ目があるような感じです。

言ってることに責任持たないとならないと思うし、じゃあリプログラムした2023版ってどうかな?とか思いながら改めて聴いてるんだけどやっぱペラいし、構成の継ぎ目も感じるし……歌としてよく出来てるかどうかって言われたら多分巧く出来てるんだけどなんか、どう思いますこれ?
この一連の記事書いてる間ちゃんと裏取れる話は確認したり、その過程で新しい話が分かって改めて深めていることとかあるんですけど……すいません掘り下げ散らかして言及元が見つからないんですけど、どうもこの曲からPCベース、具体的にはProToolsに機材を変えたらしいんです。というか扱っている仕事の量がシンクラビアじゃ到底間に合わない規模だったはずで。今こそもうPCベースのレコーディングは主要な方法なんですけど、実はそれが出来るようになったのってまさにこの頃だったんです。
で、どうも使う側もこの方法でどこまで行けて、どこからは行けないかを把握しきれていないんです。「どこからは行けない」ってなんのこっちゃねん、って話なんですけど、例えば音質面だとか。アナログの温かみの話をしたいんじゃなくて、我々が聴いている録音芸術というのは音が通るあらゆる地点の歪み……録音としてはエラーの部分をプレイヤー、コンポーザーも含めてプロジェクト全体で受け入れていく作業なんです、実は。それの矢面に居るのがミキサーとかエンジニア、と捉えてもらっていいかなと。でスジを戻して、PCベースにしたことでそれが内部的にはゴッソリなくなっていて、実は歪みが効果的だった部分までなくなっていたのでうまく対応できないということが起こるんです。はい、我々がアナログの温かみと呼んでいるのは一方では忌み嫌われる歪みそのものなんです。だから録音芸術という奴は難しいんです。憶測なんですけど、多分この曲でそういうことが起こっていたと思うんですよね。
原因が見えているからこんな無茶苦茶言ってるんです。曲が好きか嫌いかで言ったら好きになれないんですけどそれは個々の印象の話なのでオチとしてしか使いません。

補足として、じゃあデジタルオーディオワークステーションのハシリだったシンクラビアとか、詳しい方ならADATとかPCM-3348はどうだったんだ?って話なんですけど、恐らくは古い機材なりに、もしくは音楽的に歪みがあったんだと思います。逆にそれだけ当時からProToolsはクリアな……もしくは原音的な音質を目指していたんだろうなと。僕さすがに使ったことないのでちゃんと言えないんですけど、「ProToolsはクリアだけど淡泊だ」という話はエンジニアの間ではよく言われていたんだそうです。

WOW WAR TONIGHT 時には起こせよムーヴメント - H jungle with t

これも露骨に言います。今から見りゃ何もかもダメっすわこれ。
これ、言葉で何をどうというのは無理なので当時オンタイムでセレクトされてたトラック出すんですけど……

流石にコレ同じモンじゃないですって。こんなんなんですもんオンタイムで掘ってた連中に笑われて当然なんですよ。
一方で、多分クソほど時間なかったとか、絶賛音楽産業に巻き込まれ中の出来事なのでという分かりやすい問題はあったんだと思うんだけど、それを理由にしちゃいけない。芸事なので誰も彼も幸せにすることなんて出来ないんだけど、少なくとも我々ガキンチョに数年で破綻する夢しか見せられなかったことと、オンタイムで現場に居たBadboy達を失望させるような事してたのは間違いないです。前エントリで「揶揄されるべき」といった理由がこれですがこの件は後でもう一発入れます。

一緒になって罵るのも無責任なので実際はかなりちゃんとやろうとしてたという話もしておきます。この時のdeejayが長い仲になるMark Pantherっすね。コマゲン!

背徳の瞳 - V2

多分この話をし始める時点でてっちゃんボーカルの話をしてくるだろうなって思ってると思うんですけど、はい、します。

まず最大の誤算の話を出します。本来このプロジェクト、高見沢俊彦も呼ぶつもりだったんです。で、当時どっちもソニー系レーベルだったてっちゃんとYOSHIKIは(「本人たちが言い出すときかない」という理由もあって)さほどの障壁はなかったんだけど、ポニーキャニオン系だったtakamiyは無理だった、と。じゃあボーカルどうしようと思ってたら互いに「あっちが呼んでくるだろ」と思ってたので誰も来なかった、と。多分takamiyが歌う想定で進んでたと思うんですよね。そうなったらスーパーバンドだったんですよ。まぁそうはならなかったのでこれが出てしまったという。ただ前にも触れた通りこのプロジェクトやったことで自分でプロジェクト進めていくことの楽しさを知った、と言っているので……いや、うーん……うーーーーーーん。結局TMN終了した理由でもあるし、このあたりから完全にワーカホリック発症してるので本当に幸せだったのかなあって。この頃TMNはEXPOツアーだし、どうももうtrf始めてるらしいし、そんなんだったのでツアー中に過労で倒れてるんですよ。

で、まずはここでてっちゃんボーカルに慣れてもらうとして、揶揄されっぱなしのてっちゃんボーカルがじゃあ全部ダメダメなのかというと、なんです。流石にHit Factory位歌いこなせてなかったらアカンと思うんですけど。聴きなれたらそんなことないと思うんだけどそれでは皆さんご存知のアレも……。

聴きなれてくるとこれはこれで……は多分受け入れてもらえないんだけどこれに関してはちょっと面白いものがありまして。

流石にウツ歌い込み足りてないので同じレベルで歌えてないと思うけど、ウツの淡泊な声だと足りなくなるんですよ。足りなくなりません?多分てっちゃんって自分の変な声の乗せ方ちゃんと把握してるんだと思うんですよね。ただ「変な声」感は翻せないので。
まぁ散々揶揄したんだけど、完全にマッチさせればちゃんと美しく聴けます。同志諸君はこれで満足してくれますよね?

いつだったかの音楽ショーで展示されたクリスタルピアノとEXPOピアノ、生で見たかったなあ……。

裏ダメダメ

えー、覚悟してください、本当にダメなやつ出します。褒めるところが見つからない位ケチョンケチョンに行ける奴です。フォローするための他の曲も出せません。あしからず。

Get Wild (techno overdub mix) - TMN

言い訳は認めません、エンジニアとして100%ダメです。
かわいそうなのでフォローするんですけど、TMN CLASSIXってアルバム自体が2枚同時発売で、CLASSIX2の方に前エントリで絶賛した「U.K. PASSENGER」収録です。その時に「シンクラビアのオペレーション覚えたかったんだと思う」と触れてるんですけどその確信の原因がこれです。恐らくすべて自分でオペレーションしてます。別に余計なピロピロとかポンポンなってるキックが……いやもうこのキックダメでしょって言いたいんだけどそこは頑張って呑み込みます。
でも原曲とキックのアタマ合わないのは怒られていいですよね?

多分直せなかったんだと思うんです。これ現代でやるんならEQして、キックとベースだけちゃんと自分で入れなおすんですけど、正直自分でそれやったとして誤魔化せたとしても直せる自信ないです。これまた憶測なんですけど、多分マスターはテープだったと思うんです。で、保存状態とかマスターのトラブルとかあり得ることは色々ありそうなんだけど多分BPMが一定じゃなくなってしまった可能性があって。そもさBPMがテープに問題が出て曲の間で……たとえば0.04BPMくらいBPM変わったとしても多分気が付かないし、気がついても気にしないと思うんですよ。でも同期してなきゃそりゃズレも重なっておかしくなるわけで。もしくはシンクラビアが割り切れるBPMじゃなくなったとか。

CLASSIX、よく聴くと他でもBPM合わせられなかった疑惑のある曲があります。DIVE INTO YOUR BODYもちょっとズレてるんですよね。ミックスでギリギリ踏みとどまった気もするんだけど、今BGMで流してたらやっぱキック突っ込んでるので。これ視聴者の無責任で揶揄できるような簡単な作業じゃないです……けどこれでプロジェクトのお金動いてるとかじゃなかったら僕なら無理な方法を夢見てしまったとして作業やめて没にします。エンジニアの理屈だとどうやっても許しちゃいけないレベルなんです。かなしいなあ。

炎のミーティング - GEISHA GIRLS

てっちゃんとジャングルの話は散々揶揄したのであまり突っ込んであげないことにします。ただまぁやりたいことにスジは通してて、どこかで「炎のランナーみたいな手触りにしたかった」って話をしてた気がします。うーん、それが成功したかどうかはともかくとして、トラックの温度感とかビートの組み方自体はそこまでへたくそだとも思えないし、ぶっちゃけたらここまでコキ下ろすほど嫌いなわけでもないんですよこの曲。「こういうプロジェクトですし」みたいな嫌な温情もかけられるんですけど……同じアルバムにテイトウワがですね。

圧が違い過ぎるんですよ。こっちがエグ過ぎる。僕、ここで小室哲哉が遅れてる側に居るって気がついちゃって。「幾ら敏腕プロデューザーの顔しててもDEEE-LITEから現場に居続けた人間とこの位差があるよ」っていう証左になっちゃったんです。そういう意味でダメダメというより、相手が悪かった。そしてそれが思い上がりかどうかはともかく、「音楽で身を立てるんだ」と啖呵を切った僕はこの差を理解して、「自分はどうやって小室哲哉を超えていくか」をビジョンとして持つべきだと知るに至るんです。仕方ないじゃないですか、モノ作ってたらいつかは夢だって剥がれ落ちちゃって、そこから孤独にやれないと前に進めない日が来るんです。

Mozart in the house - 小室哲哉

切り伏せます。コレ本当にダメ。冒涜ですって。
よしんばクラシックサンプリングするのはいいけど、こんな雑に使い捨てます?勿論賛否両論あるのかもしれないけど、これは僕フォローしたくないくらい本当に許せないんです。気を悪くしたらすいません。


藪睨みと独自の憶測ばかりで嫌になった方はすいません。ちゃんとリスペクトしてる方もよろしければ是非。

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