BOSS ODB-3でトランスペアレントなドライブペダルを作る
BOSSの有名ペダルを解析しながら自分好みのローゲインなオーバードライブペダルに改造する企画。
今回の素体はベース用オーバードライブの定番品。ベース用ペダルとしては一般的ですがオーバードライブサウンドとドライ音をブレンドして音作りすることができるのが特徴です。
ドライ音のブレンドはギター用のペダルではあまり聞かないですがバンドサウンドでは歪ませれば歪ませるほど埋もれてしまうので、ギターにもかなり有効だと思います。
ということで今回はギターにもベースにも使えるようにいじっていきます。
オーバードライブではなくディストーションペダル
オーバードライブと言うには歪みすぎます。回路もディストーション的でゲインが高すぎるし、ドライ音にオーバードライブを混ぜていくと低域のコシがまるっと削られてペラペラしたサウンドになります。
耳に痛いハイエンドも嫌われるポイントのひとつでしょう。
クリッピング部分は赤の発光ダイオードが二つ使われています。粗く歪むのでベースのドライブとしては分かりやすくて良いと思います。
ローゲイン化
クリーンチャンネル(R27: 10k、C14: 10UF)
後述するドライブチャンネルのゲインとバランスを取るためにクリーンチャンネルの増幅率を気持ち高くしておきます。
ドライブチャンネル(R10: 47k、R16: 2.2k、R17: 10k、C8: 1000PF)
R10では実は少し増幅率を上げています。これはこの後段で増幅率が下がるからです。
R16はC7と組み合わせて少しハイを落とす役です。-3dBカットオフ周波数723Hzになります。
ローゲイン化のキモはR17です。この抵抗を小さくすることでD2、D3のLEDのクリッピングの仕方が大人しくなります。
C8も耳に痛い帯域をロールオフします。330PFから1000PFにすることでLEDクリッピングの耳障りな部分を落ち着かせる効果があります。
EQの調整
ミッドカットをローカットに変更(C10: Jump、C11: Jump、R22: Remove)
このペダルで最も余計な回路がC10、C11、R21、R22で作るミドルカットだと思います。ドンシャリにしたかったのか、歪み成分だけ取り出したかったのか。ここで153Hz〜1kHzあたりが凹みます。
なのでここを少しいじってただのローカット(ハイパス)にしてしまいます。改造後はC9とR21で超低域をカットするカットオフ周波数15Hzのハイパスフィルターになります。
LOWの帯域変更(R31: 1k)
ローミッドを増やします。
HIGHの帯域変更(R30: 6.8k)
クリッピングの歪み成分の硬さ/柔らかさがこのツマミで調整できるようにします。
スパイス
バイアス電圧を下げる(R62: 8.2k)
いつものやつです。バイアス電圧を少し下げて少し濁ったサウンドに。
まとめ
ドンシャリが持て囃された時代もありましたが、今はギターやベース、アンプはビンテージ志向に回帰しており、エフェクトペダルもベーシックなものはなるべくナチュラルにというのが好まれているように思います。
数多く並べたペダルの一つとして飛び道具的に使いたい方は元々のODB-3をそのまま使うのが良いと思いますが、今回はスタジオに1つだけ持っていくペダルのイメージで「歪ませすぎ」「EQ補正しすぎ」というところを変更しました。
とても使いやすいサウンドになったと思います。
おまけ
ミッドカットの作業が面倒な場合はC10を1UF〜2.2UFに変更しても十分使えるサウンドになります。
LEDを他のダイオードに変更すると歪みのニュアンスが変わりますが、私はベース用のオーバードライブサウンドはLEDがあっていると思います。
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