フーコーによるローマ時代の恋愛小説について(追記)

先日、小説
カリトン「カイレアスとカリロエの恋の物語」
アキレウス・タティオス「レウキッペとクレイトフォン」
ヘリオドロス「エティオピア物語」
についてフーコーの「性の歴史」に出てくると紹介した。
 となると性の歴史4巻にも小説が出てくるといいのになあ、と思い始めた。

 つまり、このローマ時代のギリシアの小説が当時の実践を示してくれるならば、フーコーの「肉の告白」で置くべき小説や文学はなんであろうか?と考え、フーコーの講義集を調べてみた。
 結論から言えば講義録9巻、11巻には見つからなかった。10巻はまだ日本語訳が出ていないので私の学力では調べようがない。
 わかったこと:上記小説が講義に取りあげられたのは11巻「主体の解釈学」1982年3月17日の講義の503ページから2ページほど。オデュッセイアへの付け加えの物語として、ただし結末はオデュッセイアのように我が家への帰還、生は一つの試練であるとしますが、神との和解ではなく、自己の清らかさ、純血性=処女性としています。これは「性の歴史3巻」と同じ見立てです。これがキリスト的霊性に再び見出される、としています(講義11巻pp504)。となるとそのような物語が10世紀までにあるでしょうか。時代を下れば薔薇物語、黄金伝説、さらにファウストを持ってくればいいでしょうし。いかがでしょうか。


wikipediaの中世文学は以下のとおり

著名な作品

ラテン語哲学の慰めボエティウス
アベラールエロイーズの書簡
神学大全トマス・アクィナス
カルミナ・ブラーナ
デンマーク人の事績サクソ・グラマティクス


フランス語ロランの歌
狐物語
薔薇物語
マリー・ド・フランスレー
ランスロまたは荷車の騎士クレティアン・ド・トロワ
トリスタンベルールブリテンのトマなど)


イタリア語太陽の賛歌英語版)(アッシジのフランチェスコ
黄金伝説ヤコブス・デ・ウォラギネ
デカメロンボッカチオ
新生ダンテ・アリギエーリ
神曲(ダンテ・アリギエーリ)
世界の記述(東方見聞録)(マルコ・ポーロ


スペイン語わがシッドの歌


英語ベーオウルフ
ブリュ物語ラヤモンウァース
カンタベリー物語ジェフリー・チョーサー
アーサー王の死トマス・マロリー
農夫ピアズウィリアム・ラングランド
ガウェイン卿と緑の騎士
ジョン・マンデヴィルの旅行記


ドイツ語ニーベルンゲンの歌
トリスタンゴットフリート・フォン・シュトラースブルクなど)
パルツィヴァルヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ


ノルド語詩のエッダ
散文のエッダスノッリ・ストゥルルソン
ヘイムスクリングラ(スノッリ・ストゥルルソン)
エギルのサガ
ニャールのサガ


ウェールズ語マビノギオン


アイルランド語クーリーの牛争い


東スラヴ語イーゴリ軍記


ギリシア語アレクシオス1世伝アンナ・コムネナ
ディゲニス・アクリタス


英雄の歌 (ゲルマン人)

https://ja.wikipedia.org/wiki/中世文学

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