[Episode.24] 関西インディーテクノレーベル連合「PHOZON united」
1996年の8月か9月だったか・・・。
神戸高専の学園祭で知り合ったTMKさんから、「関西のインディーテクノレーベルで協力して合同イベントを開催しよう!」という話が舞い込んできた。
※ TMKさんも「MUSE electronic Music Products」というレーベルを運営していた。
この企画は、インターネット通信のコミュニティから発足したが、当時のLove❤Kitchenにはネット通信環境が無かったため、TMKさんから間接的に話を聞く形となっていた。
正直、自分のレーベルのことで精一杯で、同じようなインディーテクノレーベルのことには精通していなかったが、「関西のインディーテクノレーベルが連合を組む」というコンセプトには、日常では味わえない「夢のオールスター戦」のような非日常感があって、すごく面白そうなので参加せていただくこととした。
集まったレーベルは5つ。
Kamishimo Records
TOY LABEL
Damth Sound Creative
MUSE electronic Music Products
SUBJECT RECORDS
Kamishimo RecordsとTOY LABELについては、以下のリンク先にレーベル発足時の情報が有るのでこちらを参照いただきたい。
【TOY LABEL】
http://chigai.pico2culture.jp/article/184462798.html
【Kamishimo Records】
http://most.bigmoney.biz/g0org/music/?cat=52
なお、「PHOZON」の立ち上げの経緯について、TOY LABELのBUBBLE-Bさんに当時の思い出を綴っていただいたので、以下に引用させていただく。
***** 引用ココカラ(BUBBLE-Bさん、ありがとう)*****
1996年3月。Windows95のパソコンを入手して、ずっとやりたかった「パソコン通信」を試してみようと、マイコンBASICマガジンの別冊にあった「草の根BBS電話帳」を調べ、「テクノ」などの音楽系の情報がありそうなところに接続してみる、という冒険をした。
その中の一つに「Kamishimo Transtation」というのがあった。
ここは、X68000だけでテクノを作っているレーベル「Kamishimo Records」が運営しているところで、当時MSXでテクノを作っていたこともあって、興味をもって迎えてもらえた。
そのKamishimo Recordsをやっていたのがhallyさんこと田中治久さんで、当時からテクノやゲーム音楽に並々ならぬ情熱を注ぐ方であった。
当時、Kamishimo Transtationにアクセスしていたテクノ好きの人達は、自分でレーベルを運営している人も多く、さらにはほとんどの人が関西在住ということもあったので、hallyさんより「関西テクノレーベル連合のイベントを開催しよう」とのお誘いに、TOY LABELとして受けることにした。
そのイベントの名前は「PHOZON」(フォゾン)。 パーツを合体させて一つの形を作るという、ナムコの古いアーケードゲームに端を発するネーミングだ。
PHOZONに集ったレーベルは、Kamishimo Records、MUSE electronic Music Products、DAMTH sound creative、Subject Records、TOY LABELの5つ。
そんな関西テクノレーベルが一同に会するイベント「PHOZON」は、当時難波にあったクラブ Cafe Blueにて開催されることになった。
まだリアルでは顔すら会わせていない者同士だというのに。 そしてPHOZON当日。お互いどんなことをするのか全く知らないまま、イベントスタート。 当然のことながら音やパフォーマンスは各自バラバラで、イベントとしての統一感はまるで無かったが、新たな出会いの刺激には満ち溢れていた。
もしKamishimo RecordsのBBSにアクセスせず、PHOZONにも参加しなかったら、今頃、また違う世界にいたのだろうと思う。
***** 引用ココマデ(BUBBLE-Bさん、ありがとう)*****
「PHOZON」の第1回目は、1996年10月25日(金) なんばCafeBlueにて開催された。
【写真:PHOZON#0 フライヤー】
SUBJECT RECORDSからは、DJでLove❤Kitchen、ライブP.A.には「Artists of Subject」として、Love❤Kitchenとughさん+Franzさんの連合軍で出演。
一括りに「テクノレーベル」と言ってもそのサウンドは様々で、それぞれのレーベルのサウンドらしさというのがあってバラエティに富んだイベントであった。
イベントのトリがTOY LABELのKARATECHNO(カラテクノ:このイベントが初ライブ)で、テクノの機材と空手の道着というビジュアルで、その名の通り空手とテクノが融合したステージを披露し、フロアを大いに楽しませてくれた。
「PHOZON」のイベントは、この後も継続的に活動を行い
1997/1/17 「PHOZON#1」 @ なんばCafeBlue
1997/4/3 「PHOZON#1.5」 @ 大津ハックルベリー
で開催されたが、それ以降は自然消滅する形となってしまった。
【写真:PHOZON#1.5のフライヤー】
短期間の「連合軍」としての活動であったが、この「PHOZON」を通じて、 京都在住の阿僧祇ことオノデラジュンペイさん(Asohgi)や、僕と同じ神戸市垂水区在住のMIXERことKANAGWAさんとの交流が深まることになり、後の僕のテクノ活動にも色々と変化をもたらすことになった。
ちなみに、 KANAGAWAさんは中学校時代にバッファロー吾郎Aさんと同級生だったとのこと。(神戸市垂水区民のテクノ豆知識)
あれから22~23年が経過したが、今もなお「PHOZON」のメンバーは様々なフィールドで活躍を続けている。
Kamishimo RecordsのHallyさんは「ゲーム音楽史研究家」として、またチップチューンの第一人者として、
【hallyオフィシャルサイト】
https://sites.google.com/site/hallyvorc/home
TOY LABELのBUBBLE-Bさんは日本国内を巡りに巡る DJ・トラックメイカー・飲食店1号店トラベラーとして、
【BUBBLE-Bオフィシャルサイト】
http://www.bubble-b.com/
同じくTOY LABELのAsohgiさんは電子音楽の制作だけではなく、即興演奏・演劇/美術展等への楽曲提供や出演などを行う電子音楽家として、
【Junpei Onodera Official】
http://asohgi.poolibra.net/
MUSE electronic Music ProductsのTMKさんは、 神戸、大阪を中心に活動を続けているテクノ・ハウスパーティー「WARSAW」のレジデントDJとして、
【WARSAWオフィシャルサイト】
http://www.warsaw.jp/
DAMTH sound creativeのノブナガさんは、残念ながら今は楽曲制作は行っていないが、SNSでの交流は続いている。
「PHOZON」に携わった皆さまは、現在はみんな40歳を超えていると思いますが、今後さらにめざましい活動をされることをお祈りしています。(お前が一番がんばれよ、という声が聞こえてきますね、ハイ。)
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