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[Episode.36] ASTROID 誕生秘話

新レーベル「GYROTRAX」からのデビューに向けて、僕は新たなハードミニマル/ハードテクノなトラック制作に取り掛かった。

デビューに向けて、マリオさんからひとつ宿題を課せられた。「GYROTRAXでは、過去にリリースした名義を使わないこと」である。

覆面性や秘匿性を重視したレーベルコンセプトのため、過去にリリースをした名義の流用によって身バレを防止するためである。

僕自身の名義は、これまで「Aternal Mind 」→「Alteredg Electric Systems 」→「Alteredg Exp-Art Systems」という変遷を辿ってきたが、ここにきて新たな名義を考えることとなった。

もともと「Alteredg Exp-Art Systems」が読みにくい&呼びにくい名義だったため、これを機に名義を変えることについては特に抵抗は無く、とびきりステキな名義をつけようと考えてみた。

といっても・・・、あまり時間はかからずに新しい名義が浮かび上がった。

今も使用している名義でもある「ASTROID(アストロイド)」である。

1. これまでの名義の変遷からして最初に「A」をつけたかったこと
2. 宇宙を連想する名義にしたかったこと
3. 読み間違いが少なく呼びやすいこと

この3点から「ASTRO(宇宙の)+OID(~のようなもの)」で「ASTROID」とした。この名義を考えついた時には、「この名義は愛着が持てそうやな~。自分の名義はこれからずっとASTROIDで、もう変えることは無いなぁ。」と確信していた。

この名義を使い始めてから、たまに「アステロイド」と呼ばれることもあるが、「アストロイド」でしっかり定着したことで、自分の名義としてはとても気に入っている。

【アステロイド(星芒形)】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89_(%E6%9B%B2%E7%B7%9A)

※ 元々、覆面性を持たせる意味で新しい名義を考えていたのに、それを自分のメインの名義にしようと考えていた、というねじれたロジックになっているが、GYROTRAXの覆面性のコンセプトはレーベル立ち上げ後しばらくしてから解かれ、人前で堂々とASTROIDを名乗って良いこととなった。

ASTROIDのデビュー作の制作には、結構苦しんだ記憶がある。

相当気合いが入っていたこと、海外でリリースされることのプレッシャーがあったこと、また、自分の楽曲制作の未熟な部分についてマリオさんから指摘を受けて修正を繰り返したこと・・・、今となってはこうした緊張感の中で制作した楽曲がゆえに、満足のいく内容になったと感じている。

【写真:あまり意味は無い・・・】

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話は大きく変わって・・・、この頃にあったちょっとした事件について書いておこう。

当時、テクノを制作している若者が憧れていた「自分の楽曲が海外の有名レーベルからリリースされる」ということについて、僕自身もやはりとても大きな憧れがあり、その時の自分の曲をカセットテープに録音して、つたない英語の手紙を添えて海外レーベルに送ってみたりしていた。

「ORIENTAL FUNK」のリリースに向けての準備とGYROTRAXのレーベル立ち上げ準備の時期がほぼ同時に進行されている慌ただしい時に、1通のFAXが自宅に届いた。

英語のFAXのようで「?」と思ったが、そのFAX送り元を見て腰を抜かしそうになった。

何と何と何と「R&S Records」のレナート社長である!!

「R&S Records」と言えば、90年代のテクノシーンではトップグループを走っていた老舗レーベルであり、日本国内でも「電気グルーヴのテクノ専門学校」や「ソニテク」等で大々的にフィーチャーされていた誰もが知っているレーベルである。

そして、海外のテクノレーベルの中では僕自身が一番大好きなレーベルであった。

「R&S Records」からのFAXということは、僕のデモテープを聴いてくださって、デビューのオファーが来たのか? と妄想しつつ、英語の文面を辞書を片手にその内容を読んでいった。

文面を訳すと「R&S Recordsのサブレーベルからリリースしたい」とのことで、すぐに「喜んで!」とFAXを返送した。

しかしその後、レナート社長からは特に返事は無く、僕の夢のR&S(のサブレーベル)からのデビューは幻となってしまったのである・・・。

【写真:ASTROIDのデビュー作「Strong Style EP」】

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