占星術ファン10万人の12星座を調べてみた ①
調査の目的は「占星術は統計でどう見えるか?」を調べることでした。
占星術ファンを対象に、2010年から2017年にかけて集めた15万件の出生データを元に紹介していきます。
統計の幻想と現実〜統計は証明しない?
さて「統計」にはどんなイメージがあるでしょう。
自分は仕事で統計を使うまでは「なんかヤバい数式とか使って証明する技」と思っていました。ですから「統計は証明なんかしません」と最初の授業で教わった時は目の前がチカチカしました。
自分「えっ!?証明しないんですか?」
先生「しないよ」
自分「でも、統計で証明された、とか言うじゃないですか」
先生「それはウソです。柔らかく言うと誤認ですね」
自分(チカチカ)「じゃあ、統計ってなにをするんですか!?」
先生「主に仮説の検証です。集めたデータを分析したり検査します」
自分(????)「はぁ…?」
先生「証明までは複数のステップがあります。統計はその一部なんです」
自分「…一部…なんだ…」
先生「ガッカリしないで。仮説の検証は証明に必須だからね」
自分「検証できたら証明できる…と?」
先生「それは無理。でも世間ではそう思われているかもしれないね」
一般的に流布されている「統計が証明する」との理解は誤り。統計は実験や調査から得られたデータを使い、仮説を検証するための手段。だから実験の証拠にはなるが証明はしない。証明に至るには段階があり[1]、 統計はその一部に過ぎないというわけです。
「統計は証明する」は確かに誤ったイメージです。こうしたイメージの問題は「占い師には必ず霊感がある」「占い師は儲かる」など、実態を知る人とそうでない人の間で理解の差が激しいという特徴があります。それだけに、そのイメージを覆すのは容易ではありません。こうした状況は「占星術は統計で証明できる」または「統計的に誤りと証明された」、さらには「占星術は統計学」などの錯誤を育む原因でもあります。そうした言説で真実性や正しさの主張に、統計が誤用されていると言って差し支えありません。
統計は測る道具に過ぎない
統計は体重計と同じく「測る道具」です。そして計量の学問です。ですから正しく使えばとても有用です。
ここからの話は、あくまでも「占星術は統計でどう見えるか?」です。ですから、占星術を肯定も否定もしません。
よろしいですね?
OKなら、読み進めてください!お楽しみ頂ければ嬉しいです。
なにを10万件集めたの?
集めたのは、占星術ファンの出生情報(年月日時間)です。具体的には占星術ファン向けのウェブサイト[2]に登録してもらった人たちの生年月日と時間です。2010年から2017年にかけて15万件の情報を集めました。
なんで出生情報を集めたの?
占星術を客観的なデータとして見たら何が見えるのか、という関心があったからです。具体的にはサイン別の傾向の違い、サイン別に行動の特徴が現れるかなどです。もちろん個人的にはそうした違いがあると感じていましたが、あくまでも「主観的な感覚」として捉えていました。そうした違いは10万人を集めたときにも現れるのでしょうか? これについては極めて懐疑的でした。まず現れないと考えていました。
では、ここからどの様な結果が現れたのかを見ていきましょう。
仮説と誤算
『占星術はあくまでも個人の主観的な体験。客観的な統計では意味を為さず、大数の法則に従う』これが当初の仮説でした。
やわらかく書くと「占星術は当たるけど、それはあくまでも個人的な体験内でのこと。統計的には占星術の決めごとは特別な意味をもたない」です。
「大数の法則」は、たくさんのデータを集めるほど、真の傾向が見えてくる、という物理世界の法則です。正確に作られたサイコロを10万回振れば、1から6が出る確率は「6分の1」です。もし、5ばかりに偏るのなら、それは何か原因があるということです。
同じ様に「10万人の太陽星座の比率は、日本の誕生月別の出生数に従う」はずです。もしそうならないのなら、何か別の原因がある、ということになります。
日本の月別出生数は1月が最多
利用者世代と性別
2010年、役員4名ではじめたプロジェクトが「charapla.net」です。利用者の8割は20~40代女性。1980年代生まれの人たちを中心に、10万件以上の個別登録がありましたから、日本人の約1,000人に1人が、最低一回はサイトにアクセスして、生年月日を登録したことになります。
利用者の月サイン
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