サマータイム(DST)の可視化

政府がオリンピックのためだとかで、DST (daylight saving time)を導入、しかも、2時間とか言っていますが、どんな感じになるかシミュレートしてみましょう。https://www.timeanddate.com を使いました。

まず、東京の場合。

この図は、https://www.timeanddate.com/sun/japan/tokyo に行くと得られるもの(上)を手で、4月のあたまと10月のあたまにざっくり2時間ずらしたものです。 /usa/newyork とかすると、出てくる図と同じです(向こうは1時間ですが)。

水色が日の出ている時間、暗いところが夜です。
例えば、4月の頭、東京では朝の6時にはもう完全に明るくなっていることがわかります。それが、DSTが実施されると次の日にはまだ暗いままです。春になってなんとなく日が伸びてきたところで、いきなりまた冬に戻る感じです。

一方、9月末、18時は日が落ちたばかりです。それが、DST実施翌日にはいきなり真っ暗になって、秋の夕暮を楽しみむ感じではなくなります。

DSTを実施すると、夕方の明るい時間が伸びる、と言われていますが(上図をみると明らかですね)、それは一局面だけで、その間、朝の時間はより暗くなりますし、不連続になっているところは朝夕で4箇所あって、それぞれ感じ方が違うわけです。

つぎに、この図が場所によってどう違うか(DST導入前)をみてみます。稚内と鹿児島です。

一見して、稚内の方が昼と夜の時間差の季節変動が大きいのがわかりますよね。6〜7月あたり、稚内では夜が非常に短くなっています。高緯度地域では、図の水色の部分(昼)が季節によって急に伸び縮みしているので、DSTによって、どこかのタイミング(一番変化の大きいところがよい)で1時間くらいずらしても影響が小さいのです。そもそも、夜の時間が短いですから。

ところが、鹿児島の同じ図をみると、変化がのっぺりしています(季節変動が小さい)。こういうところで、2時間も縦方向にずれたらとても不自然なのがわかると思います。低緯度地域では季節変動よりも、DSTによる変動の方がはるかに影響が大きい、わけです。

Day Light Saving Time導入論者はポジティブなところしか言いませんが、そもそも自然にないことをやっちゃうわけで、そんな単純なものではないのです。そもそも、場所(東西南北)によって太陽の当たり方は異なるのを無理やり一つのタイムゾーンで運用しているわけで、そこにさらにDSTのような不連続性を導入すれば、場所による違いがもっと顕著になってしまいます

北欧のように、夏と冬がわりとはっきりしているので、夏は思いっきり日光を楽しみ、冬は割り切って暗い中過ごすような国だとDSTはまだマシ(最近は結構反対している人も多いようですが)な気がしますが、日本みたいに微妙な季節の移り変わりがあり、それも南北で全然違う国には合わないと思います(IT関係の大混乱を除いても)。

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