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NASA Space Apps COVID-19 Challengeのお話。

ここでは、私が参加したハッカソンについてお話ししようと思います。

ハッカソン
ハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語とされ、 プログラマーや設計者などのソフトウェア開発の関係者が、 短期間に集中的に開発作業を行うイベントを指します。
引用元

NASA Space Apps COVID-19 Challenge 公式HP
JAXAによるプレスリリース

NASA Space Apps COVID-19 Challengeとは

NASA Space Apps COVID-19 Challengeは、NASAをはじめとした機関が宇宙を利用してコロナの収束に向けて何かできないかと世界からアイデアを集めるため緊急開催したオンラインハッカソンです。
例年は10月に行われる国内予選にあたるものを突破したチームが、NASAにその成果を送り、審査を受けることになるのですが、この時はそれとは全く異なる形態で、直接NASAにプロジェクトを送る形になっていました。
また、このハッカソンは48時間つまり二日間に渡るものでした。

参加したきっかけ

(既出の記事『火星探査機エンジニアになることが夢になるまでのお話。』と重複している点があります。)

私は小学生の時に宇宙に興味を持ち始めてから、展覧会や講演会、そして天体観測会に参加してきました。しかし、高1の時に参加したWorld Scholar’s Cupで出会った海外の友達が、社会貢献に向けて活動しているのに触発され、受け身の姿勢を変えたいと考えていたその時、コロナウイルスによって学校が休みになりました。突然現れた空白の時間に、自分が学んできたことを生かして何かをしたいと考え、参加したのがこのイベントでした。

ハッカソンを始めるまで

一緒に参加してくれそうな宇宙好きの友達、ハッカソンが好きな友達を見つけられていない私は、とりあえず日本人参加者のコミュニティに入ることにしました。それは結果的に一人で大学生以上しかいない大人の世界に飛び込むことでした。
日本人参加者自己紹介を見ながら、他の参加者の技術力に圧倒され、それまで持っていた一人でもやり切る、という勇気を失ってしまいました。2日間だけのハッカソンで何もできないのではないかという焦りも生じました。しかし、このままではいけないと、自分にできることをアピールして、無事に一緒に組んでくれる方を見つけることができ、二人で参加することになりました。

プロジェクトについて

作成したロゴ

プロジェクトを決めた経緯

メンバーが仕事として、
CO2濃度を測定することによって、レストランやオフィス、学校など、身近な場所でコロナウイルス対策をしているかどうかを可視化するプロジェクト
を行なっていました。
なので、それに役立てるため、使用するCO2センサーのカリブレーションを衛星の二酸化炭素濃度データを用いて行いやすくするというプロジェクトを進めることにしました。

カリブレーション(calibration)
較正、校正、調整などの意味があります。 工学の世界では、標準器などでその機器の偏りを計測したり、正しい値になるように調整することを言います。つまり、測定機器の測定能力を標準に合わせることを意味します。 
引用元

プロジェクトのテーマ

このハッカソンは、以下12個のチャレンジの中から一つ選び、そのテーマについて一つのプロジェクトを完成させるというものでした。

公式HPより引用

私のチームは、したいプロジェクトが先に決まっていたため、それに1番ふさわしそうなPurify the Air Supplyを選ぶことにしました。

プロジェクトの概要

IoTのCO2センサーを好きな場所にセットしておけば、濃度が閾値を超えたら警告してくれます。それだけではありません。データを保存することもできますし、みんなに見せることもできます。このセンサーを使うことで、その場所において、換気を即し、他の人に換気の状況を知ってもらうことができます。
これに使うセンサーはとても安く、2000円ほどで買うことができます。 使用前にカリブレーションを行うのですが、その作業もそれほど難しいものではありません。カリブレーションモードにして、CO2濃度が400ppmになるような場所に20分ほどセンサーを晒せばいいだけです。
しかし、実験室のような400ppmのCO2が充満する場所を作るのは大変です。また、そのセンサーの校正を校正専門業者に依頼するとなると、かなりの費用がかかります。センサーが安くても、校正にお金がかかるようでは、センサーをうまく用いることができません。
そこで、400ppmのCO2濃度を持つ空気を簡単に手に入れるには?と考えていたら、GOSATとGOSAT-2の世界中の場所における1ppmの精度のCO2濃度データを見つけました。
そのGOSATの観測データを使って、このハッカソンではどの場所のCO2濃度が400ppmなのか、つまり、その場所が校正作業に適しているのかを示すマップを作りました。

実際NASAに提出したプロジェクトページ
作成した地図
プロジェクトコード
(私がGitHubのユーザー名変えたのでプロジェクトページのものと異なっています)

CO2センサーの精度や、科学的な観点からの妥当性など、気になる部分もありますが、「地球観測衛星を利用して、世界中に普及した安価なセンサーの校正を行う」というコンセプトは、夢のあるチャレンジだったと思います。また、それを2日間で形にするというのは、今回のハッカソンにふさわしかったと思うので、このハッカソンでこのプロジェクトを行うことができてよかったです。

ハッカソンに参加して

結論としては、自分で何かを発信するという目標とは程遠い、相手の方の会社が掲げているアイデアを何かしら形にしていくのに必死という状況になってしまいましたが、その中でも自分にもできそうなことは積極的に取り組むことができました。英語のゴロを考えたチーム名とロゴ作りを始めとし、互いに初めてとなるGoogle Map、そして研究成果の発表や記事の作成をやりきりました。衛星のデータを用いるのにあたり、一応使用経験のあるJava,Python,シェルの中でできることをしたいとお願いし、色々教えてもらいながら、シェルで必要なデータを扱うことができました。今まで独学でJavaでのアプリ開発、Pythonでのロボットプログラミングをしたことがありましたが、このような形で役立てることができてよかったです。
ここでの経験がその後いろんな活動につながりました。

ぼちぼち他の活動についても投稿していくので、よければまたそちらも見てください!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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