占星術公転周期と天体回帰
西洋占星術では、太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星の10天体を用いて、個人の特性や人生の中の出来事を読み解いていきます。
実際の太陽系は太陽を中心に惑星が回っている「地動説」ですが、占星術は地球が中心に天体が回っている「天動説」で成り立っています。
ホロスコープの中心は、自分のいる場所を表します。
(出生ホロスコープでは出生地です)
自分のいる場所(地球)からみて、他の天体(惑星)がどの位置に見えるかを円の中に表しています。
実際の星が日々空を運行しているように、ホロスコープの星も動かすことができます。(三重円チャート)
星の動かし方にはさまざまな技法がありますが、ここでは基本となる「公転周期」についてお話します。
土星までの7天体は一生のうちでも何度も公転をくり返し、ホロスコープを一周して新たなサイクルに入ります。
これはリターンチャート(各天体の回帰図)として解釈できます。
土星だと2、3回。
木星だと6、7回のタイミングが、一生のうちに訪れる計算になります。
土星は再構築、やり直しの時期。
木星は12年に一度の幸運期が巡ってくるタイミングです。
土星のもたらす「リセット」は決して楽ではないので、「しんどい」と感じやすいかもしれません。
土星は結果を出す星ですから、努力と忍耐で乗り越える覚悟でついて行けば、必ず報われる日がきます。
木星の幸運は「当たり年」といえます。
さまざまな運に恵まれ、拡大と発展が望めます。
ゆえに、気持ちも緩みがちで、やっかいなものまで広げてしまう時期でもあります。両手放しで浮かれすぎないように注意も必要です。
土星のリセットも、木星のラッキーも、誰にでも等しく巡ってきます。
努力を重ねたり、幸運をあじわうチャンスは、みんな同じだけ用意されているということです。
星の動きは正確ですから、停滞期も幸運期も先の先まで予測できます。
前もって星の周期を知っていれば、急な事態にもあわてずに対処できます。
叶えたい夢に向けて、計画的に取り組む努力ならば、きっとキツイとは感じにくいでしょう。
未来予測の技法は、ホロスコープを読む醍醐味といえるかもしれません。
トランスサタニアンと呼ばれる、天王星以遠の星は、気の遠くなるような公転周期です。
人生百年時代といわれるので、天王星までの公転周期なら、一生のうちになんとか経験できそうです。
天王星は自由・改革の星。
土星までの社会的な責任を果たしたあとは、もう自分の好きなように自由に生きてよいのです。
これまでの経験を生かして、自由に独創的に毎日を過ごしていく。
これが理想的な老後の暮らし方なのではないでしょうか。
90歳を迎えて、健康で自立した生活を送るということは、めずらしいことではなくなってきました。
ご長寿のみなさまは、人間の意識の枠を超え、生きながらにして神秘的で超越した世界を歩んでいらっしゃるのかもしれません。
海王星は精神世界の星。
あいまいで、ぼんやりとした、言葉では表せないような、通常の意識からは離れた世界です。
海王星を思うとき、91才で天国に旅立った祖母のことを思い出します。
認知症だったので、最期は心配ごともつらい経験も、全ては忘れていました。「忘れる」ということは、最大の手放しであり、癒しなのかもしれません。(反対は「覚えていること」=執着です)
祖母は海王星の力を借りて、この世とあの世との境目を行き来しながら、次への準備をしたのではないかと解釈しています。
冥王星は冥界の星。「冥」は光が届かない暗い場所という意味です。
冥王星の世界観はきっと、この世で考えつく事柄では解釈しきれないでしょう。
180度の方向転換、破壊と再生を巻き起こすほどの、強烈な変容をもたらすのが冥王星です。
「現状」の真向かいにあるのが「破壊」ですから、軽い思いつき程度では到底とどかないでしょう。
全てをなげうつほどの、強い決意や執着が、現状を変えていくきっかけになるのかもしれません。
「執着」は生きる力(原動力)にも繫がります。
いいかえるなら「アクの強さ」「クセ強」「キャラクター」「個性」です。
そう捉えると「個性」=自分自身でいることは、最大の強みではないでしょうか。
冥王星は「生きる原動力」や「個性を輝かせるヒント」となる星だと、私は解釈しています。
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