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高校2年 冬④好きなことが見つかり始めた17の冬

冬休みも明けた3学期のある日

4月の新入生歓迎公演は、僕が1年生の時に全国大会で青森の高校が上演していた脚本でいくことになった。

これは生徒総会の前日を舞台にしたコメディ。


女子高生にやたらと不利な条件の校則を無理矢理通そうとするモテない副会長と、

そいつをただただおちょくりまつりあげる書記、

そして真正面から反対する女子生徒会長を軸として話が進むが

実は、前日に副会長が女の子に告白して振られたことで女子生徒すべてに復讐しようとしていることがわかり、

その場にいた全員に完全論破されて泣いて逃げ出すストーリー。


僕は、モテない副会長を演じることになった。

モテるのにそんな役じゃ困っちゃう(笑)てのは冗談だけど

超ハイテンションでねちっこくてウザくてモテない男を演じることの面白さを感じながら

テンポとか、面白いオチに向かって進めていく会話の流れとか

定期公演に向けた脚本を書いていた僕からしたらめちゃくちゃ勉強になった。


ちなみに定期公演に向けて脚本を書いてることを話していたら、作家志望のながぶーが浅田次郎の鉄道員(ぽっぽや)を貸してくれた。

この小説があまりに面白くて、TSUTAYAでビデオを借りて観てみた。

泣いた。

ラストエンペラーといい、戦場のメリークリスマスといい、坂本龍一の音楽は素晴らしい。

高校生ながらに、ものすごい引き込まれていった。


この頃、僕は定期券という特権をフルに活かして、学校帰りにターミナル駅で降りて街中を散策してから帰るのが習慣化していた。

駅の近くにある建物の2階にあった、広いCDショップではたまにサンプルCDのセールを行っていて

聴いたこともないアーティストをジャケ買いするのにもハマってみたり

ファッションビルの中のセレクトショップを回ってみたり

駅直結のビルにある美容室に通い始めてみたり

世界が大きく広がった気がした。


地元でファッションブランドをやっているというデザイナーのお店に通い始めたりして

FOTUSとか、e hyphen-66とか、当時流行っていたロックやビジュアル系のブランドのことも少しずつ知るようになった。

また、この頃には実は僕は家にあったデニムをリメイクしたリメイクジーンズを大量に作っていた。

元はと言えば、自分が着たかったから中学くらいから作り出していたのだけれど、

それを見た妹が私もほしいと言ってくれて

妹が僕の作ったデニムを穿いて、それを周りの友達から褒められて嬉しいとわざわざ言いにきてくれるようになったからだ。

洋服を作ることの面白さにハマるようになっていった。


ダンスも好きだ。

音楽も好きだ。

舞台も好きだ。

洋服も好きだ。

それまで、好きなものがなんなのかもあまりわからずに生きてきたけど

進路を考える時、少しずつ好きなものが頭をよぎるようになった。

とはいえ、じゃあそのために自分がなにをどうしていいのかもわからなくて

モヤモヤしながら春を迎えた。


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