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赤いポピーに祈る日

イギリスで開催されているCOP26。
紛糾しているようです。

このニュース画像に映っているシャルマ議長が衿元につけている赤い花のバッジ
これを見ると、ああ今年もこの季節が来たんだなぁ、と感じます。

リメンバランスデーの象徴となっている、赤いポピーの花。
私がそれを初めて知ったのは、イギリスに旅行した時でした。

訪れたのはちょうど11月初旬。
ロンドンの街を歩く人々が、胸元に赤い花の造花をつけていました。

よく見ると、街頭でこの花をカゴに入れて配っている人もいます。

なんだろう。
チャリティーかな?なにかのお祝いかな?

真っ赤なポピーに華やかなものを感じた私は、つい「おしゃれだな、私も欲しいな」と思いました。

ですがその列に並ぶ勇気もなく、諦めました。

諦めてよかった。
帰国してその意味を調べた私は、そう胸を撫でおろしました。
一介の観光客が興味本位で欲しがってよいものではありませんでした。

第一次世界大戦終結の日である11月11日に戦没者を追悼する、リメンバランスデー。
そしてその日に近い日曜日をリメンバランスサンデーと呼ぶそうです。
今年は明日11月14日がそうでしょうか。

日本では戦争というと真っ先に第二次世界大戦を思い出しますが、そうでない国や地域もあります。
第一次世界大戦で激戦地となったヨーロッパの歴史に、私たちはそれほど思いを馳せません。
そのことに改めて気付かされます。

戦場跡に咲いたと言われるポピーの花。
一面の焼け野原に咲き乱れた赤い花々は、傷ついた人々の目にどう映ったのでしょうか。

ヨーロッパに従軍したカナダ人ジョン・マクレーが書いた「フランダースの野に」という詩に、その光景が表されています。

In Flanders fields
the poppies blow
Between the crosses,
row on row
That mark our place

  「In Flanders fields」 John A. McCrae

一口に戦勝国、戦敗国といっても、見方を変えればその評価も変わるでしょう。
被害者が一歩間違えれば加害者ともなるように。

これ以上傷つく人が出ませんように。
さまざまな国のさまざまな思いをもった人が、心に花を抱いて祈る日。
リメンバランスデーはそんな日なのかもしれません。

軍医でもあり自らも戦死したジョン・マクレーの詩が、私たちにそれを教えてくれているようです。



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