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FC岐阜vs Y.S.C.C.横浜 試合前考察

はじめに

2022明治安田生命J3リーグがついに開幕する。その開幕節でFC岐阜はアウェイでY.S.C.C.横浜と対戦する。浦和レッズから宇賀神友弥、ヴィッセル神戸から田中順也らJ3屈指の大型補強を行い、多くの顔ぶれが変わり、今季こそJ3優勝とJ2復帰を目指す。奇しくも初戦の相手は昨季まで岐阜のヘッドコーチを務めていた仲田健二監督率いるYS横浜。岐阜のチームカラーを知っているだけに、手強い相手であることは間違いないが、岐阜も三浦俊也新監督の下、ガラリと雰囲気を変えていて、試合の行方は予想がつかない。開幕戦ということで、お互いのカラーが随所に出る試合になるのではないだろうか。

両チームの戦力分析

今季も両チームのスタッツを比較するが、今回は開幕戦ということに加え、両チームともに戦力も大幅に変わっていることから、昨季のスタッツはあまり参考にはならないと感じ、両チームの現在のスカッドからチームカラーを分析していく。

a. 岐阜
まずは、FC岐阜。やはり目を引くのは、大型補強の数々だ。加入選手は以下の通り。

岐阜 移籍一覧

以上15名が今季の新加入選手だ。錚々たるメンバーがGKからFWまで揃っている。ここに、柏木陽介、舩津徹也ら既存の戦力を加えた33名で今季の戦いをスタートする。

注目はJ1クラブから多くの経験ある選手が加入したことだ。この背景には、小松裕志新社長と新たにチーム統括本部長に就任した山道守彦氏の効果がかなり発揮されている。両者ともに、浦和レッズで長らく活動していたことから、宇賀神友弥・菊池大介ら浦和出身選手の加入も目立つ。さらに山道氏が渡り歩いたV・ファーレン長崎、京都サンガF.C.からも加入選手がおり、この2人のコネクションから獲得に成功したと感じる選手は多い。

昨季までもJの経験が豊富な選手の獲得に成功していたが、今季の補強で1つこれまでと違うポイントがあるとすれば、宮崎から藤岡浩介、YS横浜からンドカ・チャールスを獲得したことだ。上のカテゴリーではなく、同カテゴリーで昨季活躍した選手の獲得に成功。これは経験値ではなく、J3での戦い方、得点感覚の鋭さが即戦力として発揮できる可能性が十分に高いことを示している。もちろん、経験豊富な選手は重要だが、J3というこれまでと違う舞台でのプレーはやはり適応するのにも少なからず時間はかかる。藤岡・ンドカは去年の経験からステップアップを遂げたことが自信となり、さらなる飛躍が大いに期待できる。

一般的な見解として、ベテランが豊富な岐阜というイメージが多い。もちろん年齢層は高いが、個人的な見方としてはバランスが取れた戦力になっていると感じる。

ただ、失った戦力も小さくないのが事実だ。甲斐健太郎がいわてグルージャ盛岡へ完全移籍、中島賢星がSC相模原へ完全移籍、昨季得点王の川西翔太がカターレ富山へ完全移籍し、DF・MF・FWのそれぞれの要を失った。特に中島と川西は同じJ3で昇格争いを繰り広げると予想されるライバルへ移籍しているだけにかなりの警戒が必要だ。補強ポイントとしては、川西の得点力は複数人で補うことができている。あとは中島の穴がしっかりと埋まっているかどうかだが、これはシーズンが開幕してから徐々に明らかになると感じている。

b. YS横浜
一方のYS横浜は、主に大卒ルーキーやJFLからの獲得が多く、Jクラブからの補強は決して多くはなかった。それでもやはり気になるのは、松井大輔の加入だろう。松井は昨季ベトナムのサイゴンFCに移籍するも、新型コロナウイルスの影響もあり、シーズン半ばで契約解除となった。その後の動きは驚きで、2021年9月にY.S.C.C.横浜フットサルと契約し、フットサルに転身。すると今オフには、横浜のトップチームに加入し、フットサルとサッカーの二刀流に挑戦している。

その松井と言えば、やはりテクニックに注目が集まる。ドリブル技術は一級品で、40歳の今でもフットサルに挑戦していることから、まだまだ衰えが見えないと感じる。サイドでのプレーから年齢を重ねるごとに中盤や最終ラインを務めるなどユーティリティー性も高い。

新潟医療福祉大学から内定した脇坂峻平にも注目したい。J1川崎フロンターレの脇坂泰斗の実弟で、兄のような巧みなボール捌きが持ち味。個人的な予想では開幕からスタメン争いに加わるのではないかと感じている。

ただ、こちらも失った戦力は大きい。まずは昨季の飛躍を牽引したシュタルフ悠紀リヒャルト監督がAC長野パルセイロの監督に就任。その影響もあり、船橋勇真、池ヶ谷颯斗、佐藤祐太らもシュタルフ監督とともに長野へ移籍。さらに前述の通り、ンドカも岐阜へ移籍した。それでもキャプテン土舘賢人や神田夢実らは残留。既存の戦力に加え、10人の若手主体の新戦力を仲田新監督がどのようにマネジメントしていき、昨季の8位を超える成績を収めることができるだろうか。

両チームの予想布陣

YS横浜 予想スタメン2022

開幕戦ということもあり、メンバー・布陣ともにどのようになるかは完全な予想ではあるが、上記のような並びになるのではないだろうか。

岐阜はオーソドックスな4-4-2。GKは桐畑和繁、松本拓也の昨季のゴールマウスを守った2人が中心となっていくだろう。4バックでスタメン濃厚なのは、フレイレと宇賀神友弥だろう。予想が難しいのは、右SBとCBだろう。ここでは右に藤谷匠、CBには大西遼太郎を予想した。宮崎でのキャンプを見てみると、大西はCBへのコンバートを試していたように感じる。実際に開幕から起用するかは不透明だが、面白い起用である。ベーシックに岡村和哉とフレイレのコンビや藤谷をCBに、舩津徹也を右SBという起用法も考えられる。

中盤2枚も誰が起用されてもおかしくない。ここではキャプテン柏木陽介とへニキを予想。ゲームメーカーの柏木はスタメン濃厚。対峙する横浜の選手を考えると、ドリブラーが多いことからボール奪取能力の高いヘニキ、あるいは、本田拓也も考えられる。さらには、柏木同様にパスで攻撃を組み立てる庄司悦大もいる。横浜のドリブル突破もある程度警戒したいことから、司令塔の柏木と刈り取り役のへニキ、本田拓也の組み合わせがバランス良いと感じる。両サイドは若い2人を予想。右に窪田稜、左に村田透馬だ。サイドにも特徴的な選手が多く、積極性や相手が3バックで来る予想をしていることから、その背後を突くドリブル突破や裏への抜け出しを期待してスピードに定評のある2人を予想。左は菊池大介、右は畑潤基や石津大介も起用可能だ。

FWも頭を悩ませる選手層だ。ここでは、藤岡浩介と田中順也の2トップにした。攻勢の状況でも劣勢の状況でもワンチャンスで得点が奪える田中はやはり欠かせないだろう。その相方には、昨季の活躍を見込んで藤岡を予想した。ここは古巣対戦のンドカも十分にあり得るし、石津や畑もいる。

一方のYS横浜は選手の特性や昨季の戦いを参考に3-4-2-1を予想してみた。3バックは宗近慧を筆頭に、ガイナーレ鳥取から加入した藤原拓也、西山峻太とした。ボランチにキャプテン土舘賢人とその相方には松井大輔を予想。右に河辺駿太郎、左に宮内寛斗。2シャドーには神田夢実と柳雄太郎。1トップに朝鮮大学校から内定の韓勇岐を予想した。中盤では、神田をボランチに、シャドーに菊谷篤資も考えうる。またワイドも昨季SB起用が多かった柳が右に入り、大卒ルーキー脇坂のシャドー起用も楽しみだ。トップもオニエ・オゴチョクウ、ピーダーゼン世隠ら強力な戦力も控えている。

YS横浜戦に向けた個人的見解による岐阜の戦い方

J3での2020年、2021年シーズンともに、岐阜は開幕戦ホームで迎えたものの、初戦というプレッシャーからか全体的な動きが固く、2年連続でスコアレスドローに終わっている。まずは、自分たちの持ち味と積極性を存分に発揮してほしい。YS横浜がどのように入ってくるかはわからないが、今年の岐阜はそれに動揺するようなチームではないし、選手層ではないと感じる。

警戒すべきポイントは、やはり神田や柳、宮内らの縦への仕掛けだ。昨季の躍進でより自信をつけたドリブラーも多く、そこに松井もいる。テクニックでかわしにかかる選手も多く、そこでチームが連動して、守備陣形を崩さないことが重要だ。

さいごに

ついにJ3の2022シーズンが幕を開ける。さらにこの試合はJ3のオープニングマッチでもあり、非常に楽しみな一戦である。岐阜は第2節のホーム開幕戦で昇格争いのライバル愛媛FCと対戦することもあり、このYS横浜戦は確実に勝利を収め、良いスタートを切りたい。三浦監督も話していた通り、昇格に向けてはやはり20勝、21勝がラインとなる。それを考えると、開幕5試合は最低でも3勝、さらには負けなしで乗り切り、この熾烈な昇格争いを牽引していきたい。


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