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FC岐阜 vs アスルクラロ沼津 試合前考察

はじめに

3月27日の第3節でFC岐阜はアウェイでアスルクラロ沼津と対戦する。岐阜は開幕2戦1勝1分3得点0失点と上々のスタートを切った。ホーム開幕戦となった前節は長らくJ2で戦ってきた愛媛FC相手に3-0の快勝を収めた。内容的には愛媛にボールを握られる展開が続き、ゴールを脅かされる時間帯も多かったが、宇賀神友弥の早い時間の先制ゴールが大きな意味を持ち、畑潤基の2ゴール、前線からのハイプレスがハマるなど、収穫と課題がたくさん得られたゲームとなった。前節明らかとなった課題を修正し、ここも「完封勝利」で連勝を飾りたいところだ。
 
一方、岐阜と対照的に、沼津は2戦2敗0得点6失点と苦しいスタートを切っている。前節はホーム開幕戦だったものの、福島ユナイテッドFCに0-5の大敗を喫した。ただこちらも昨季からスタイルを大きく変え、ポゼッションサッカーを主としている。開幕2戦はその狙いがうまくハマらず、逆にミスを突かれ大量失点となっている。沼津としては、ホーム連敗、ホーム連続無得点は絶対に避けたいと考えるところだが、岐阜としても、調子の上がっていない沼津から確実に勝ち点3を奪って岐阜に帰りたい。
 
両チームの過去の対戦成績は岐阜の2勝2分。アウェイ沼津戦は岐阜にとって2年連続でドローと苦戦を強いられている舞台。最後の対戦も昨季沼津ホームで1-1の引き分けだった。昨季と同様に雨が降った後のピッチで戦うことになるが、今季こそ沼津の地で勝利を収めたい。

両チームのスタッツ比較

沼津戦 スタッツ比較

上表は開幕2戦を終えた総合のスタッツだが、これを見て驚く人は多いだろうということは推測できる。攻撃ポイント、パスポイントで沼津はリーグトップの数値を記録している。2戦を終えた結果と順位を見ると、少し疑問に思う人もいるだろうが、実は試合を見ると、それほど驚きを感じる数値ではない。ここで整理するが、攻撃ポイントとはFootball Labが独自に算出しているパス、ドリブル、クロスの攻撃に関するポイントの合計である。パスポイントはリーグトップ、ドリブルも5位。ここにはないが、クロスポイントも3位と上位に位置している。今季の沼津の特徴として、愛媛と同じように自分たちでボールを握りながら、攻撃のチャンスを構築するスタイルだ。愛媛以上に細かくパスを交換し、左右にスライドしながら、相手ディフェンスとのギャップをつく縦パスで攻撃のスイッチを入れる。
 
一方の岐阜も沼津と比較すると、攻撃面のスタッツが低いように見えるが、そういうわけではない。何より2試合の平均であるため、まだまだゴロゴロと順位は入れ替わる。岐阜の注目すべき数値はチャンス構築率だ。2試合を終えて13.2%でAC長野パルセイロに次いでリーグ2位の数値だ。試合を見ていても、自分たちがボールを支配できる時間帯は、2-1-3-4に近い形で攻撃の厚みを増す。相手のサイドバックの裏を上手く突きながら、ゴールに迫っている。また岐阜は守備ポイントが22.78でリーグ14位となっているが、KAGI(守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったかを示す数値)では60.1でリーグダントツトップ。つまり、守備ポイントが低い理由は、それだけ相手に攻撃の機会を与えていないために、上がらないのだ。YS横浜戦、愛媛戦ともに、前線からのプレスが見事にハマっていることが証明されている。

両チームの予想布陣

沼津戦 予想スタメン

岐阜はいつも通りの4-4-2を予想。前節から大きな変更はないと予想している。GKは桐畑和繁。4バックも前節と同じ山内寛史、フレイレ、藤谷匠、宇賀神友弥。変更があるとすれば、ボランチだろうか。ここでは、これまで同様、庄司悦大とヘニキを予想するが、ここに、山内彰をスタートから起用も考えられる。怪我で離脱中の柏木陽介の状態もどうだろうか。サイドハーフは右・畑潤基、左・藤岡浩介だろう。2トップもンドカ・チャールス、田中順也で臨むだろう。
 
一方で、沼津は2試合良い結果は得られていないものの、今季新しいスタイルで臨んでいる以上、おそらくフォーメーション自体に大きな変化はなく、4-1-4-1で臨むだろうが、メンバーは多少変えてくるのではないかと予想する。GKは2戦連続で野村政孝を起用してきているが、失点が多いだけに、武者大夢にもチャンスはあると考える。4バックは福島戦と同じメンバーを予想。アンカーが難しいところだ。2戦菅井拓也がスタメンで起用されたが、福島戦前半30分で交代となった。その交代が怪我であるかどうかは定かではないが、試合を見る限り、戦術的な交代だろう。その後アンカーを務めた濱託巳をここではスタメン予想。菅井に代わって入った瓜生昴勢と鬼島和希を中盤に、右に染谷一樹、左に北龍磨を予想。1トップにはブラウンノア賢信を予想した。左サイド、もしくはトップに渡邉りょうの起用も考えられる。

沼津戦に向けた個人的見解による岐阜の戦い方

守備面でいうと警戒すべきは、愛媛戦のように、横パスでスライドさせてからのギャップを生ませ、バイタルエリアを突く縦パスだ。アタッキングサードでこの動きをされると、一気にシュートコースを開けることになってしまう。愛媛戦の佐藤諒のシュートがまさにその例だった。ポストに助けられたが、左右に揺さぶられながら、縦パスから細かいワンタッチでシュートまで持ち込む動きは沼津も狙いとしてくるだろう。

沼津戦 パスコース

最終ラインから攻撃を組み立てる時、沼津は4-2-1-3に近いようなポジショニングをとり、センターバックがボールを持った時は、常に4つのパスコースを作るように動きをとる。(GKへのバックパスを除く)相手がプレッシングを強めたとしても、ロングボールに逃げることは割と少なく、バックパスとキーパーを使って逆サイドに展開する傾向にある。岐阜の狙いとしては、これまで同様にボールホルダーに対して厳しくプレッシングをかけることだろう。福島戦でも散見したが、中盤が後ろ向きでボールを受けることが多く、このタイミングでプレスをかけると、ミスが目立っていた。今季の持ち味ハイプレッシングは沼津戦もかなり効果的と感じる。後は、2トップとサイドハーフ、ボランチの連動した動きで、この4つのパスコースを限定させ、サイドに追い込んで、ボールを奪い取る作戦も効果的だろう。逆にここを交わされ前を向かれた時、沼津の傾向として、ブラウンノアもサイドに流れ、サイドに人数をかけてくる。このブラウンノアの動きへの対応を考えると、今節も藤谷を起用してくるのではないかと考える。

沼津戦 狙い

一方で攻撃面では、やはり愛媛戦同様にサイドバックの裏のスペースを突くことが効果的と感じる。沼津の守備を見ていると、サイドハーフが中にポジションを移す動きに対して、サイドバックがついてくる傾向にある。上図はその狙いを表したものだ。フレイレがボールを運び、畑が降りてきて受ける動きを取り、それについてくる相手サイドバックの裏のスペースに田中、山内が走り込む。この動きは今節も必要になってくる。ここで怖さを出せれば、相手サイドバックも徐々に引き気味のポジションを取り、裏のスペースを警戒するため、その分、今度はセンターバックとの間のスペースも突きやすくなる。ボールを保持する時間は沼津の方が長くなりそうだが、それ以上に、決定機を構築できるのは岐阜だろう。毎試合だがこの試合もやはり先制点がかなり重要となる。愛媛戦のように早い時間に奪えれば、試合巧者に戦うことができるし、前半20分までに先制点が奪えると、より岐阜が試合をコントロールしやすい。

さいごに

開幕2戦良いスタートを切って迎える最初の鬼門であるアウェイ沼津。今節の沼津と次節のホーム鳥取戦を終えると、アウェイ富山とホーム松本山雅と強豪との連戦が待っている。良い形で4月の連戦に臨むためにも、2年連続ドローに終わっているこの地で勝ち点3を持ち帰ることができれば、さらに勢いは増していく。自分たちがボールを支配できる時間で大事に攻撃を組み立て、我慢する時間で失点せずに耐えることが求められるが、勢いに乗る今の岐阜なら勝利を収めてくれるだろう。大きな期待を持って、沼津戦を楽しみにしたい。



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