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CS-21工法 施工事例 / 既設合成床版橋の長寿命化対策

工事概要

工事名称:防災・安全交付金事業 南郷通高架橋塗装工事
工事場所:北海道札幌市
発 注 者:札幌市 建設局 土木部
工 期  :2015年(平成27年)6月~12月
構 造 物:鋼コンクリート合成床版橋
              (橋長150m、3径間連続鋼製I桁)
施工部位:コンクリート床版下面
使用材料:CS-21(NETIS【旧】CB-020055-VR 設計比較対象技術)
工 法 名 :CSⅡ工法(CS-21・150g/m2×2回)
施工面積:約3,700m2

工法選定の経緯

 本工事は、札幌市が管理する1,200以上の橋梁について、具体的な補修工法・補修時期等を定めた修繕計画「札幌市橋梁長寿命化修繕計画」[以降、長寿命化計画とする]に基づき発注された橋梁補修工事である。

 当該橋梁は、長寿命化計画におけるグループで重要橋梁に分類され、目標耐用年数は100年、維持管理レベルは、長寿命化を図るため、損傷が軽微な段階で対策を行う予防保全となっている。

 前年には床版上面の補修工事が実施され、当該工事では、下面の鋼製桁の再塗装などにあわせて、コンクリート床版下面の予防保全対策が検討された。
 寒冷地に位置し、交通量も多く、供用開始から約40年が経過しており、経年劣化による微細ひび割れが発生していた。
 そのため、微細ひび割れ補修および中性化などの劣化抑制対策として表面保護工法による予防保全対策が検討された。

工法の選定にあたっては、
① 施工後も外観変がなく、躯体を直接目視点検可能なこと
② 河川上に位置するため、湿気の影響を受けにくく、環境への影響が小さいこと
③ 経年後の補修・補強工法が限定されないこと
が求められた。
そこで、土木学会の表面保護工法関連指針
表面保護工法 設計施工指針(案)
けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
に準拠し検討した結果、反応型けい酸塩系表面含浸工法による予防保全対策が選定された。

技術提案書(例):既設コンクリート構造物の表面保護
CS-21ビルダー(NETIS:CG-170009-A)

材料採用の経緯および材料の特徴

 当該工事で使用した材料:CS-21は、硬化後のコンクリート表面に塗布することで、目視では発見し難い微細なひび割れの深部を含む表層部の空隙を緻密化し、施工後新たに発生する微細空隙も充填する性能により、水や各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制することが、土木学会規準試験や、施工から10年以上経過した複数実績の追跡調査により確認されていることから選定した。

また、CS-21は、
①水和反応活性成分を含有しているため、材齢の古いコンクリートでも効果を発揮すること
②高濃度液(JSCE-K572乾燥固形分率31.9%)のため、空隙充填率が高く、ひび割れ補修効果に優れること
③水道水が触れる部分にも適用できる安全性が確認されており、配水池内面に全面塗布などの実績がある
-などの特徴がある。

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CS-21 荷姿5㎏缶

施工手順

① 下地処理(洗浄)
② CS-21(原液)塗布:150g/m2
③ 湿潤散水
*②・③繰返し

画像2
床板下面:上向き塗布

施工効果確認試験

 当該工事では、施工効果確認試験として表層透気試験(トレント法)を実施した。
 表層透気試験は、透気試験機により同一箇所の透気係数を施工前後に測定して比較し、表層部の緻密化による透気係数の減少を、劣化抑制効果として確認する試験である。
 試験の結果、施工後の透気係数は、施工前比平均約44.6%と施工前に比べて半分以下であり、CS-21塗布により耐久性が向上したことが確認できた。

画像3
表層透気試験 状況

今後の展望

 厳しい自然環境下にある道内の構造物について、予防保全による長寿命化に取り組み、アセットマネジメントによる維持管理費の平準化などに貢献していきたい。

              アストン協会会員札幌ペック(株) 矢萩 諭

 最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2016年2月号(P46-47)に掲載された「反応型けい酸塩系表面含浸工法よる既設合成床版橋の長寿命化対策」の転載(一部再構成)です。

 CS-21工法による表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
【新製品】既設コンクリートの表面保護材CS-21ビルダー(NETIS:CG-170009-A)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。