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CS-21工法 施工事例 / 新設 配水池の耐久性向上対策

【工事概要】

工事名称:施設再構築 長沢浄水場ろ過池・配水池等築造工事
工事場所:神奈川県川崎市
発 注 者:川崎市上下水道局
工 期 :2011年(平成23年)11月~2012年(平成24年)9月
使用材料:CS-21(【旧】CB-020055-VR 設計比較対象技術)
施工部位:配水池内面>外周壁・導流壁・柱・天井の全面
施工数量:約20,700m2

CS-21 荷姿5kg缶

【工法選定の経緯】

 本工事は、将来の需要予測に基づく給水能力の見直しと、老朽化対策・耐震性強化を目的として、潮見台浄水場・生田浄水場を廃止し、長沢浄水場に機能集約する再構築事業の第1期工事として発注された配水池などの築造工事である。
 鉄筋コンクリート造の配水池における内面防食対策は、防食塗料が一般的であるが、塗膜の剥離やコンクリートのひび割れによる影響といった課題があった。
 そこで、
コンクリート⼯学会の
・「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針
⼟⽊学会の
・「表⾯保護⼯法 設計施⼯指針(案)」
に準拠し、⼯法を検討した結果、
 膜を造らないため剥離の恐れがなく、表面からの目視では視認し難い微細ひび割れ部の修復、および表層部の緻密化により、躯体コンクリートの耐久性向上が期待できる『けい酸塩系表面含浸工法(けい酸ナトリウム系表面含浸材*)』が設計された。

*けい酸塩系表面含浸工法の最新指針、土木学会の「けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案) 」における分類では、反応型けい酸塩系表面含浸材に該当。

【使用材料の概要】

 当該配水池におけるけい酸塩系表面含浸工法の適用部位は、上水道水(飲用水)が直接触れる箇所であるため、使用するけい酸塩系表面含浸材には該当省令【水道施設の技術的な基準を定める省令(平成12年2月23日 厚生省令第15号)】を満たす安全性が求められた。
 当該工事で使用したけい酸塩系表面含浸材(CS-21)は、浸出試験【資機材等の材質に関する試験(平成12年厚生省告示第45号),水道用資機材の浸出試験方法(JWWA Z108)】の結果、所定の安全性が確認されており、水道施設の配水池・ろ過池・沈殿池などの構造物において、上水道水(飲用水)が直接触れるコンクリートに適用された実績が複数ある材料であることから採用した。

技術提案書(例)︓新設コンクリート構造物の表⾯保護
CS-21ネオ(NETIS︓CG-160013-VE 活用促進技術)

【施工手順】

① 下地処理(高圧洗浄)
CS-21(原液)塗布:150g/m2
③ 湿潤散水(水散布)
* ②・③繰り返し

02_塗布状況
横向き塗布
03_湿潤散水状況
湿潤散水

【施工効果確認試験】

 発注者より、大規模配水池でのけい酸塩系表面含浸工法の適用が初めてであり、施工の効果を検証したいとの要望があった。
 そこで、当該けい酸塩系表面含浸材の製造メーカーに協力を依頼し、発注者と共同で、検証行うこととなった。
 当該工事で実際に打設したものと同じ配合のコンクリートにより供試体を作製し、実験室での促進試験を1年間、供用開始後の配水池内における曝露・非破壊試験を3年間実施した。
 試験の結果、新設配水池のコンクリート内面防食対策として、けい酸塩系表面含浸工法は有効であると判断され、発注者より論文*発表された。

*全国会議(水道研究発表会)講演集,2017,P 518-519,配水池の経年劣化に対する「けい酸塩系表面含浸材」の効果検証報告

【今後の展望】

 今後も、コンクリート構造物の耐久性向上対策に有効な当該工法を活用し、コンクリート構造物の予防保全・長寿命化に貢献していきたい。

                アストン協会会員・(株)レスポンス 栗田 英之


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【新製品】新設コンクリートの表面保護材 CS-21ネオNETIS:CG-160013-VE 活用促進技術)、既設コンクリートの表面保護材 CS-21ビルダーNETIS:CG-170009-A)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。